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2022.10.14

マイホーム購入時に親から資金援助を受けるときの注意点!

マイホームを購入する際「親から資金援助を受ける」という方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに、親から資金援助してもらえれば、夢のマイホームも手に入れやすくなります。

しかし、親からの資金援助には罠もあります。

それが贈与税です。

贈与税は年間110万円までは基礎控除されるのですが、それらの上限額を超える資金援助には課税されます。

そのため、購入資金を受け取る際は仮に親であっても注意が必要なのです。

今回の記事では、親からマイホーム用の資金援助を受ける際に知っておきたい注意点について解説します。

ここでは、「どうすればお得に資金援助してもらえるのか」についても説明するので、ぜひ特例などを活用して損しないよう、上手に立ち回りましょう。

贈与税とは

贈与税とは文字通り「一定額以上の贈与があった際に課税される税金」です。

現行の法律では基礎控除額として110万円までであれば申告の必要もなく、課税されることもありません。

しかし、逆にそれら110万円を超える資金援助を受けた場合、翌年には申告して贈与税を納める必要が出てきます。

そのため、親から年間で110万円以上の資金援助を受けた場合、翌年には申告して税金を払わなければならないということです。

これら贈与税は暦年課税制度という課税方式が採用されており、1年(1月~12月)までの間に行われた贈与が対象となります。

特に、この方式は1年(4月~3月)という年度と区別するために設けられているもので、純粋に1年間で贈与があった場合に自ら税務署に申告しなければならないと定められています。

ただし、あくまでも贈与税は110万円の基礎控除額を超過した分だけに課せられる税金となります。

それだけでなく「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」という特例もあり、条件さえ満たせば税金を大幅に節約可能です。

このように、節税についても考えつつ、うまく立ち回ることが重要です。

贈与を非課税にできる「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」とは?

ここからは贈与を非課税にできる「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」とはどのような制度なのかをご紹介します。

そもそも「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」とは何かというと、親など直系尊属から資金援助を受けた場合に一定の要件を満たしていれば贈与税が非課税対象となる制度をいいます。

「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」は最大3,000万円まで非課税となる制度で、マイホーム購入時に資金援助を受けるなら必ず活用したい制度です。

つまり、基礎控除110万円と併せると最大3,110万円まで控除されることを意味します。

ただし、これらの特例は特定の条件下で非課税となる金額も変わるため、以下の表も参考にしておいてください。

▼消費税8%のケース

契約締結日 省エネ等住宅 省エネ等住宅以外
2015/1/1~2015/12/31 1,500万円まで 1,000万円まで
2016/1/1~2020/3/31 1,200万円まで 700万円まで
2020/4/1~2021/3/31 1,000万円まで 500万円まで
2021/4/1~2021/12/31 800万円まで 300万円まで

▼消費税10%のケース

契約締結日 省エネ等住宅 省エネ等住宅以外
2019/4/1~2020/3/31 3,000万円まで 2,500万円まで
2020/4/1~2021/3/31 1,500万円まで 1,000万円まで
2021/4/1~2021/12/31 1,200万円まで 700万円まで

これら消費税の増税による影響も計り知れないので、契約締結日がいつなのかも把握しておきたいものです。

その上でマイホームが「省エネ等住宅」なのか「省エネ等住宅以外」なのかという点も考えておきましょう。

省エネ住宅なのかどうかで最大500万円ほどの差が出てくるので、そこはマイホームを計画する時点で考えておきたいところです。

人に関する条件

ここからは特例を受けるための「人に関する条件」を見ていきましょう。

  1. 直系尊属(父母または祖父母)からの贈与を受けた人
  2. 贈与を受けた年に日本国内に住所がある人
  3. 贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の人
  4. 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下の人
  5. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与された資金全額を充てる人
  6. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに入居する人または遅滞なく入居できる人
  7. 2009~2014年の贈与税申告で特例を受けていない人
  8. 契約の相手が自身にとって特別の関係がある人でない人

住宅に関する条件

ここからは特例を受けるための「住宅に関する条件」を見ていきましょう。

▼新築の場合

  1. 日本国内の居住用家屋である住宅
  2. 床面積が50m2以上240m2以下の住宅
  3. 床面積の半分以上を住居として使用する住宅

▼中古の場合(上記に加えて下記を満たす必要あり)

  1. 完成後に使用されたことがない住宅
  2. 築20年以内の住宅(耐火建築物は築25年以内)
  3. 耐震基準への適合を証明する書類のある住宅
  4. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに耐震基準への適合を証明できる住宅

▼増改築の場合

  1. 日本国内の居住用家屋である物件
  2. 床面積が50m2以上240m2以下の物件
  3. 床面積の半分以上を住居として使用する物件
  4. 工事費が100万円以上で半分以上が住居部分の工事に充てられる物件
  5. 増改築は自身が所有かつ居住している物件であり工事内容を証明する書類がある物件

住宅購入時に贈与税がかかる場合の計算方法

では、住宅購入時に贈与税がかかる場合、どのような計算方法で割り出すべきなのでしょうか。

これに関しては贈与税の計算式を覚えておくと便利です。

贈与税=課税価格(贈与財産-110万円)×贈与税率-控除金額

これらの計算式に当てはめながら贈与税を計算してみましょう。

ただし、課税価格によって贈与税率と控除金額も変わるため、以下の早見表と照らし合わせて確認しておきましょう。

課税価格 贈与税率 控除金額
~200万円以下 10%
~400万円以下 15% 10万円
~600万円以下 20% 30万円
~1,000万円以下 30% 90万円
~1,500万円以下 40% 190万円
~3,000万円以下 45% 265万円
~4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超~ 55% 640万円

たとえば、課税価格400万円の贈与財産がある場合、以下の計算式となります。

課税価格(400万円-110万円)×15%-10万円=33万5,000円

併せて課税価格1,000万円の場合と3,000万円の場合についても見ておきましょう。

課税価格(1,000万円-110万円)×30%-90万円=177万円

課税価格(3,000万円-110万円)×45%-265万円=1,035万5,000円

このように計算式に当てはめていくだけなので、難しいことは何もありません。

ただし、数千万円単位で贈与がある場合は税金も比例して膨らむので、親からどれくらいの贈与がありそうなのかは事前に確認しておくことをおすすめします。

特に、まとめて贈与すると多額の税金が発生してしまうので、状況によっては数回~数十回に分けて贈与することも考えておくと良いでしょう。

「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」の注意点

「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」はうまく活用すれば大幅な節税が見込めます。

そのため、贈与する際は必ず考えておきたいものとなります。

ただ、これらの制度には注意点もいくつかあります。

ここからはそれら特例における注意点を4つの観点からまとめるので、併せて参考にしていただけると幸いです。

1.住宅ローン控除との併用

住宅購入の際、条件を満たせば住宅ローン控除を受けられます。

住宅ローン控除とは、簡単にいうとローン残高の一部を10年間にわたって控除してもらえる特例です。

住宅ローンを契約するなら、これら住宅ローン控除はぜひ活用したい制度です。

しかし、住宅ローン控除の対象には上限が設けられており「住宅ローンの借入額」と「資金援助の贈与額」の合計が物件価格を超える場合は、一部控除の対象外となってしまいます。

そこは借入額と贈与額が物件価格を超えないよう注意しましょう。

2.贈与税が0円でも申告

「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」を受ける場合、贈与税が0円だったとしても税務署への申告が義務とされています。

特例を受けずに110万円という基礎控除内で贈与を行う場合は申告も不要ですが、特例を受ける場合は例外ということを覚えておきましょう。

申告が必要にもかかわらず怠った場合は、贈与税の特例を受けられなくなる可能性もあります。

このため、特例を受ける場合は、必ず管轄の税務署に申告するよう気をつけておいてください。

3.資金援助を隠すのは犯罪

なかには、親心から「子どものためにこっそりと資金援助しよう」と考えてしまう人もいるかもしれません。

ただ、資金援助したにもかかわらず、故意にそれらの事実を隠すのは犯罪です。

当然ながら基礎控除110万円の範囲内であれば申告も不要ですが、それらを超過する場合は必ず申告しなければなりません。

これらの贈与税は税務署が税務調査によって徴収しているほか、各種提出する書類によってもバレてしまいます。

税務署に発覚後、悪質な脱税だと判断された場合は追徴課税や重加算税も待っているかもしれません。

そこは魔が差さないよう、確実に申告してください。

4.贈与のタイミング

贈与税の特例を受ける場合、そのタイミングは居住する前が最適です。

むしろ、引っ越してから資金援助を受けたとしても特例の対象外となってしまいます。

実際にマイホームに関する資金援助は住宅購入が目的のため、住んでから申請しても手遅れの場合があります。

そこは必ず暮らし始める前に申請しておきましょう。

「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」を使用しないほうが節税できるケース

贈与税の特例は必ずお得になると考えている方もいるかもしれませんが、実は使用しない方が節税できるケースもあります。

たとえば、相続税の特例を使用した方が損をしないという場合もあります。

そこは必ずしも「贈与税の一択」ではないことを覚えておきましょう。

相続税の特例としては「小規模宅地等の特例」が用意されています。

これは、一定の条件を満たす人が相続した場合、最大80%まで控除されるというものです。

そのため、最大3,000万円という贈与税の特例と比べて、よりお得になる可能性もあるわけです。

どちらの特例を使用するかで損するかどうかも決まるので、そこは贈与税の特例だけでなく相続税の特例などもあることを知っておきたいところです。

ただ、これらは専門家でもないと最適解を導き出すことは難しいため、税理士などに相談するのもありかもしれません。

非課税限度額以上に贈与を受けたいときはどうする?

非課税限度額以上に贈与を受けたい場合、工夫次第でより贈与を受けられる場合もあります。

最後に、非課税限度額以上に贈与を受ける方法について、4つほどご紹介します。

これらの方法を活用すればより多くの資金援助を受けられるため、さらに夢のマイホームも実現しやすくなるかもしれません。

1.超過した分は贈与税を納税する

贈与税の非課税学以上に贈与を受けたいなら、その分だけ税金を納めるという方法があります。

税務署はきちんと申告して納税しておけば何も文句は言いません。

そのため、よりたくさんの贈与を受けたい場合は、素直に申告・納税するというのが王道の方法となります。

もちろん、税金をきちんと払うのであれば、限度額に関係なく贈与可能です。

2.毎年110万円ずつ贈与する

贈与税の基礎控除額は1年で110万円までが限度額とされます。

これは逆にいえば、110万円までであれば非課税となるということです。

そのため、仮に1,100万円を贈与する場合は1年で贈与するのではなく10年かけて贈与すれば問題ないということです。

これは極端な例ですが、要は毎年110万円を超えないように贈与すれば、合計でいくら贈与しようが税金を払う必要はないということです。

3.相続時精算課税を選択する

贈与税については親など直系尊属からの贈与について、相続時にまとめて課税される制度も設けられています。

それが「相続時精算課税」です。

この制度を活用すれば、贈与税の上限を考えずに済みます。

実際に条件さえ満たせば、通常の贈与税の非課税額3,000万円に加えて2,500万円まで非課税となります。

つまり、合計5,500万円まで非課税となるということです。

こちらの制度を活用すれば、通常の限度額より2,500万円多く贈与できます。

ただし、贈与する直系尊属は60歳以上という条件があるため、その点は親の年齢なども加味しておかなくてはなりません。

4.共同名義で所有する

贈与税に縛られたくないということなら、親と子供の共同名義で住宅を取得するのも良いでしょう。

その場合、両者の所有という扱いとなるため、そもそも贈与などは必要なくなります。

共同名義であれば親と子供で資金も共有できるので、非課税額にも影響しません。

しかし、家を取得する際に直系尊属が負担した金額の割合と違う割合で登記してしまうと、負担した金額と持分の差額が「贈与である」とみなされてしまいます。

そこは、登記する際に割合をうまく調整しましょう。

まとめ

マイホーム購入時には親から資金援助を受ける方もいるはずです。

その場合、基礎控除の110万円を超えない限りは贈与税も発生しません。

しかし、年間でそれら非課税額を超過する場合は超過した分だけ贈与税が課せられます。

そのため、できれば「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」などの制度を活用して、節税できるよう工夫しましょう。

これら税金をうまく節約すれば、多額の贈与税に悩まされることもありません。

当記事でまとめた内容を何度も読み返しながら、適切に税金対策できるよう立ち回りましょう。

 

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