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資金(ローン)について
2022.10.14
2022年度を機に住宅ローン控除は従来のものと比べて大幅に変更が加えられています。
そのため、人によっては「住宅ローン控除はどう変わるの?」と不安になっている方もいらっしゃるかもしれません。
住宅ローン控除の恩恵は数十万円~数百万円単位となるため、心配される方は多くいらっしゃいますが、怯える必要はありません。
現行の住宅ローン控除について正しく理解しておけば何も怖いものはありません。
今回は2022年度から住宅ローン控除がどのように変化したのかをわかりやすく解説します。
ここでは各種変更点を中心に変更後の控除額がどのようになるのかについて説明するので、現在住宅ローン控除を受けている方はもちろん、これから住宅ローンを契約する方にもご参考いただけると幸いです。
住宅ローン控除とは文字通り、住宅ローンを契約している方が受けられる控除のことをいいます。
従来の住宅ローン控除はローン残高の1%が10年間だけ所得税(もしくは住民税)から控除されるという内容でした。
以下、従来の住宅ローン控除の簡単な内容です。
控除率 | ローン残高の1% |
控除期間 | 10年間(2021年は特例により13年) |
限度額 | 4,000万円(認定住宅等は5,000万円) |
所得額 | 年収3,000万円以下 |
これらを実際に計算してみると、仮に年末の住宅ローン残高が2,000万円だった場合、年間で最大20万円まで控除可能だったわけです。
これが2021年までの住宅ローン控除の内容でした。
なお、2021年は特例により控除期間が13年だったため、3年分多く控除できるという仕組みだったので、その点は注意が必要です。
以上を踏まえると従来の住宅ローンは最大で数百万円まで控除できる可能性を秘めた減税措置だったことがわかります。
しかし、2022年を迎えたことでそれら住宅ローン控除にも変化が訪れているため、内容についてはきちんと理解しておかなくてはなりません。
ここからは2022年度の住宅ローン控除改正により変わった点をまとめます。
特に、ここではわかりやすくするため、従来の住宅ローン控除と比較した表も含めて紹介します。
早速ですが、まずは以下の表に目を通してみてください。
項目 | 2021年度までの内容 | 2022年度からの内容 |
控除額 | 1% | 0.7% |
控除期間 | 10年 | 13年 |
限度額 | ・一般住宅:4,000万円
・認定住宅:5,000万円 |
・認定住宅:5,000万円
・ZEH:4,500万円 ・省エネ基準:4,000万円 ・その他の一般住宅:3,000万円 |
所得額 | 3,000万円以下 | 2,000万円以下 |
以上の表からわかる通り、主な変更点は「控除率」「控除期間」「限度額」「所得額」の4つとなります。
では、ここからさらにそれぞれの項目について詳しい変更点を見ていきましょう。
2021年までの住宅ローン控除では控除率が1%だったものの、2022年からの住宅ローン控除では控除率が0.7%へ引き下げられます。
これは単純計算で0.3%分の控除が減ることを意味します。
これら控除率が引き下げられた理由はいくつかあるものの、住宅ローンの超低金利が深く関係しているようです。
実際に、昨今の住宅ローンの中には金利0.5%前後の金融商品も散見されます。
これは住宅ローンの利息分よりも控除分が多くなる「逆ザヤ」状態を意味します。
その状態を避けるために、控除率が引き下げられたわけです。
当然、従来よりも控除率は0.3%ほど引き下げとなったため、控除額も目減りします。
2021年までの住宅ローン控除では控除期間が10年だったものの、2022年からの住宅ローン控除では控除期間が13年へと延長されています。
これは単純計算で3年分の控除が増えることを意味するわけです。
これら変更の背景には消費税増税による特例が関係しています。
2019年に消費税が増税となり国民生活への負担が懸念されたことで、控除期間が延長されたということになります。
ただ、あくまでも増税に伴う特例措置なので、実質は変わらないともいえるでしょう。
そもそも控除期間の延長は新築住宅のみで、中古住宅は従来通りです。
そこは環境に配慮した認定住宅を除き、2024年度には再び10年に戻る予定です。
従来の住宅ローン控除では住宅ローンの限度額が一律4,000万円まで(認定住宅は5,000万円まで)と設定されていたのですが、今後は住宅が持つ環境性能によって細分化されることが決定しています。
文章だけではわかりづらいので、ここでも表を使用してまとめます。
環境性能 | 新築住宅 | 中古住宅 |
認定住宅 | 5,000万円 | 3,000万円 |
ZEH住宅 | 4,500万円 | 3,000万円 |
省エネ住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 |
その他の一般住宅 | 3,000万円 | 2,000万円 |
大まかにまとめると、このようなかたちになります。
認定住宅・ZEH住宅・省エネ住宅は従来通の基準なので、さほど影響はないかもしれません。
ただし、一般住宅では1,000万円ほど限度額が引き下げとなっているので注意が必要です。
特に、環境性能を持たない一般住宅は2024年度から限度額が0円となるため、気をつけておかなくてはなりません。
それだけでなく2024年からは各種認定住宅も限度額が引き下げられる予定です。
そこは総じて500~1,000万円ほどの引き下げとなるので、より高額な住宅を取得しようと考えている方は要注意です。
契約者本人の所得額に関しては3,000万円までだったものが2,000万円へと変更されます。
高所得者は今後、住宅ローン控除の対象外となります。
逆に、中間所得者層が対象となるため、ある意味ボリュームゾーンに配慮した制度となったといえるでしょう。
そのほか「住宅取得資金の贈与税の非課税の特例」ついても継続されることが決定しています。
これはマイホームの購入資金を親などから受けた場合、環境性能を持つ住宅なら1,000万円まで、一般住宅なら500万円までが非課税となる特例です。
その適用期間が2023年までとなっているので、今後も特例を駆使した節税が可能となります。
新築住宅も中古住宅も住宅ローン控除は受けられるのですが、どちらから片方のみに変更が加えられている点もあります。
ここでは、新築・中古それぞれの変更点をまとめます。
1.床面積要件が緩和される
新築住宅の床面積については50m2までが適用要件とされていましたが、今後は40m2以上50m2未満の住宅も対象となります。
これらはマンションなどを取得する方にとっては効果も大きいかもしれません。
ただし、「2023年までに建築確認を受けること」「年間所得が1,000万円以下であること」という制限もあるので、その点は気をつけておきたいです。
1.築年数要件が緩和される
2.認定住宅にZEH住宅・省エネ住宅が含まれる
中古住宅の築年数については「既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書」か「耐震基準適合証明書(既存住宅性能評価書)」の提出が必要でしたが、今後1982年以降の新耐震基準に適合する建物に限り各種証明書の提出が不要となります。
そのため、中古で物件を購入する方のハードルが下がるといえるでしょう。
また、この変更により認定住宅にZEH住宅や省エネ住宅も含まれることとなり、最大控除額も年間20万円から21万円に増額されます。
住宅ローン控除は新築住宅と中古住宅の種類ごとの変更点もあります。
ここからは、それらの変更点も表にしたので、併せてご確認ください。
ただ、住宅ローンの状況によって控除額も変わるので、その点はご了承いただけますと幸いです。
▼新築住宅の控除額
住宅の種類 | 年間の控除額 | 最大の控除額 |
認定住宅 | 35万円 | 455万円 |
ZEH住宅 | 31.5万円 | 409.5万円 |
省エネ住宅 | 28万円 | 364万円 |
一般住宅 | 21万円 | 273万円 |
▼中古住宅の控除額
住宅の種類 | 年間の控除額 | 最大の控除額 |
認定住宅 | 21万円 | 210万円 |
一般住宅 | 14万円 | 140万円 |
従来の住宅ローン控除であれば新築は年間40万円まで、中古は年間20~30万円まで控除を受けられました。
合計で考えると、新築は最大400万円まで、中古は最大30~200万円まで受けられたわけです。
しかし、変更後の控除額は軒並み引き下げです。
認定住宅であっても新築で35万円までですし、中古だと21万円となります。
これが一般住宅となると新築で21万円、中古なら14万円となります。
そのため、環境性能を有していない住宅を取得するとなると大幅に控除額が減る計算となるでしょう。
今後も、さらに引き下げられる可能性があるため、2024年以降の動向にも注目しておかなくてはなりません。
ここまで住宅ローン控除の変更点を見ていくと「損しかしないのでは」と思う人もいるかもしれません。
実際に、控除額が目減りするため、どうしてもお得とはいえない状況です。
しかし、条件次第では従来の住宅ローン控除よりお得になるケースもあります。
なかでも、年間の所得額によっては控除額が増える可能性もあるわけです。
たとえば、年収600万円で配偶者や子供など扶養家族がいる場合、従来の控除額は年間で約30万円、10年間で約300万円の控除となります。
その一方、認定住宅など一定の基準を満たす住宅を建てるために4,500万円の住宅ローンを申し込む場合、控除額は年間で約26万円、13年間で約325万円となります。
今後の住宅ローンは控除期間が13年となっているため、むしろ長い目で見るとお得になるケースもあるということです。
環境性能を備えた住宅など条件こそあるものの、一定の基準さえクリアすればまだまだ節税効果も期待できることを覚えておきたいところです。
住宅ローン控除の変更については「改悪」だという声も耳にします。
たしかに、制度が大幅に変わることで困惑してしまう方もいるでしょう。
しかし、地球環境にとって優れた住宅を建てる場合は、むしろ控除額が増える場合もあります。
そのため、必ずしも損をするということはありません。
そこは条件次第とはなってしまうものの、住宅ローン控除が2022年を境にどのように変わっていくのかを正しく理解することで備えられます。
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