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土地探しについて
2022.08.25
家を取得する場合、大きく、建売住宅と注文住宅の2種類から選ぶことになります。
また、取得方法によって住宅ローンの申し込みができるかどうかも変わってきます。
たとえば、土地を先に購入してから建物を建築する場合、原則として住宅ローンの融資を受けられない可能性があるわけです。
こうした点を知らずにマイホームプランを立ててしまうと、後悔することもあるかもしれません。
多くの方は家の取得時に住宅ローンを組むことになるわけですが、もし申し込みができないという状況になってしまうと大変です。
ただ、住宅ローン以外のローンで対応できる場合もあるので、家の資金計画をどのように立てていくのかをきちんと考えましょう。
そこで今回は、土地を建物よりも前に取得する際、住宅ローンの申し込みが可能なのかどうかについて解説します。
ローン自体は借りられるが…
先に結論を伝えると、土地を先に購入する場合は住宅ローンを借りられません。
金融機関の多くは建物に対して抵当権を設定して融資を行っています。
抵当権は債務不履行となった場合に、担保についてほかの債権者に優先して弁済を受ける権利をいいます。
抵当権は購入する住宅の土地と建物ごとに金融機関が設定する権利であり、これらがないことには金融機関も融資できません。
当然ながら、土地があったとしても、建物が完成していない場合は融資が実行されないということです。
本来、土地と建物をセットで取得する建売住宅などは問題なく住宅ローンも組めるのですが、注文住宅となると話が変わってきます。
注文住宅は建売住宅とは異なり、土地を購入してから建物を建築していく流れとなります。
当然ながら、抵当権も設定できないため、住宅ローンは組めないわけです。
ただ、その一方で住宅ローンとは別で用意されている金融商品もあります。
それが「土地先行融資」と「つなぎ融資」の2つです。
これらは、土地を手に入れるための融資、もしくは建物が完成するまでの融資となるため、うまく活用すれば心強い味方となってくれるでしょう。
住宅ローンとは別に契約が必要となるため、ローン自体は借りられるものの住宅ローンとは別物であることを覚えておかなくてはなりません。
土地先行融資やつなぎ融資を利用する
マイホーム取得においては、建物については決まっていなくとも土地だけ前もって押さえたいという状況もあるでしょう。
良い土地はすぐに売れてしまうため、後からどうとでもできる建物に比べて先に取得しておきたい方も多いはずです。
その場合は、土地先行融資やつなぎ融資を利用しましょう。
土地先行融資とは?
土地先行融資とは、建物を建てる前の土地に対して受けられる融資です。
土地先行融資は先に土地分の融資を受け、後で建物分の融資を受けられるなど、利便性の高い融資方法となっています。
そのため、土地を先に抑えて建物を後から作りたいという方に最適です。
しかし、土地と建物の審査は別途行われるため、どちらの審査にも通過しなくてはなりません。
逆に片方に受かってももう片方で落ちれば水の泡です。
通常の住宅ローンは仮審査(事前審査)と本審査があるわけですが、土地先行融資は土地と建物の審査がそれぞれあると覚えておきましょう。
つなぎ融資とは?
つなぎ融資とは、建物が完成する前の間に受けられる融資です。
つなぎ融資は住宅の引き渡しまで利息だけを支払い、その後に生活が始まってから住宅ローンと併せて返済していくのが融資方法となります。
そのため、まとめて返済計画を立てたい方に最適です。
住宅の完成までには、最低でも数ヵ月かかります。
当然、工事が始まってから着工金や中間金、竣工金などのお金がかかります。
本来、そうした工事にかかるお金は貯金などから賄ったり、両親祖父母から援助してもらったりするのが定石ですが、すべての方が思い通りに資金調達できるとは限りません。
土地の購入はもちろん建物の建築にかかるお金の補填として活用すべきなのが、つなぎ融資です。
土地先行融資・つなぎ融資のメリット
土地先行融資もつなぎ融資もデメリットがある反面、メリットが豊富にあります。
ここでは、それら土地先行融資とつなぎ融資の魅力についてまとめます。
特にどちらにすべきか迷っている方は、それぞれの良し悪しを把握してから選択しましょう。
土地先行融資のメリット
土地先行融資のメリットは以下の3つが代表的なものとなります。
土地先行融資は金利が低く設定されています。
実際に、土地先行融資は建物ではなく土地に抵当権を設定するため、金利も低いのが特徴です。
また、条件を満たせば住宅ローン控除を受けられるのも特徴となります。
そのほか、希望する土地を押さえた上で建築に取りかかれるのも魅力といえるでしょう。
つなぎ融資のメリット
つなぎ融資のメリットは以下の3つが代表的なものとなります。
つなぎ融資は無担保でも構いません。
実際につなぎ融資は抵当権を設定しなくて良いので、無担保で借りられます。
また、頭金も求められないため、自己資金が足りない方でも安心なのが特徴です。
さらに、分割して融資を受けられるので、着工金や中間金や竣工金ごとに合わせられるのが強みといえます。
融資額が決まるポイント。土地の評価額とは?
金融機関によって住宅ローンの融資額は異なります。
これら融資額は不動産の評価額によって決まるため、どのようにしてその価値が決まるのかを理解しなくてはなりません。
ここからはそれら不動産の評価額がどこから算出されるのかについてまとめます。
土地の評価額とは?
土地や建物などの不動産はそれぞれ評価額というものが設定されています。
それらの評価額は主に「公示地価・基準地価・路線価・固定資産税評価額・過去の取引事例と比較」の5つから決定します。
金融機関によって若干異なるものの、もし融資を受けるということならそれらの要素についても知っておくことが重要です。
まずは1つひとつ詳しく見ていきましょう。
▼公示地価
公示価格は地価表示法によって決まるもので、主に国土交通省が年1回発表しています。
公示価格は不動産鑑定士が評価していることもあり、その精度の高さでも有名です。
事実、金融機関の多くはこれら公示地価を基準に融資額を決めています。
その一方、公示地価は都市計画法による都市計画区域内の地域のみを対象に発表されるため、対象外の地域は含まれません。
その点は注意が必要です。
▼基準地価
基準地価は国土利用計画法によって決まるもので、主に各都道府県が年1回発表しています。
基準地価も不動産鑑定士が評価しており、その仕組みは公示地価とほぼ同じです。
ただし、基準地価は公示地価と違って都市計画法による都市計画区域外の地域も対象として発表しているため、対象となる地域も広いです。
より確実に融資額を算出したい場合は基準地価に注目しましょう。
▼路線価
路線価は市街地を形成する地域の道路に面する宅地1m2当たりの評価額として決まるもので、主に国税庁が年1回発表しています。
これら路線価は融資額の算出のみならず、相続税や贈与税などの算出でも活用されるのが特徴です。
路線価は相続税路線価や贈与税路線価の他に固定資産税路線価などの種類があり、目的ごとに算出方法も変わります。
▼固定資産税評価額
固定資産税評価額は固定資産税の課税額を決めるものであり、国によって定められている最終評価額のことをいいます。
これらは主に各都道府県の市町村長が決定し、3年ごとに発表されるのが特徴です。
これら固定資産税評価額は住宅を取得する際に頻出する用語なので、ぜひ覚えておきましょう。
▼過去の取引事例と比較
融資額については過去の取引事例と比較することで決まる場合もあります。
常に不動産の価値というのは変動しますが、その大まかな基準となるのが以前に行われた取引の前例です。
金融機関では昔の取引事例と比べて融資額を算出することもあるので、それらの決定方法があることも頭に入れておくと安心です。
土地についてのローンの注意点
最後に土地先行融資やつなぎ融資など住宅ローン以外のローンで気をつけたい注意点を確認しておきましょう。
これら注意点を知るのと知らないのとでは天と地ほどの差があるといっても過言ではありません。
1.名義が誰なのか
土地と建物を別途で取得する際、名義が別々になるという事態も発生します。
たとえば、夫婦で家を取得する場合、土地は旦那で建物は妻というかたちを選択する人もいるかもしれません。
しかし、別名義で契約してしまうと住宅ローン控除を受けられなくなる可能性があります。
たとえば、建物の名義を持つ妻は住宅ローン控除を受けられるのに、土地の名義を持つ夫は住宅ローン控除が受けられないという事態も発生します。
そのため、名義を誰にするかという点には注意しましょう。
2.計画が確実かどうか
土地先行融資やつなぎ融資は建物を建てることが前提となるローンです。
そのため、建物を建築する予定がないのに土地だけ購入するという場合は、審査に通らないこともあります。
特に、何も建物の計画が進んでいない状態で土地だけ取得しようとしても、土地先行融資やつなぎ融資を受けられない可能性があります。
金融機関の中には土地を取得してから数年以内に建物を完成させなくてはならないところもあるので、注意してください。
3.自己資金が潤沢かどうか
家の取得は人生で最も大きな買い物と揶揄されます。
それはつまり住宅ローンが人生で最も大きな負担の1つになることを意味します。
そのため、土地先行融資やつなぎ融資は極力借りないのが得策です。
どうしても良い土地があって手に入れたいということなら先にローンを組んで取得するのもありですが、いずれは建物の分を含めた住宅ローンとして返済しなくてはなりません。
そのため、そこは焦らずにしこ資金を貯めてから計画を立てていくのでも遅くはありません。
特に、あらかじめ数百万円で貯金しておくなど、事前の予防と対策が功を奏します。
4.二重ローンになっていないか
住宅ローンを考える上で返済負担率というものが非常に重要となります。
返済負担率は上限が30~35%とされており、それを超えるローンは原則として組めません。
この返済負担率はほかのローンも合算して考えられるため、仮にすでにカーローンなどを組んでいる場合はより返済負担率が圧迫されます。
さらに、土地先行融資やつなぎ融資は住宅ローンとは別のローンとなるため、二重ローンとなる可能性があります。
ほかに融資を受けていないかどうかなども含めて、適切な返済計画を立てましょう。
まとめ
建物の建築ではなく土地の購入を先に行う場合、住宅ローンは契約できません。
しかし、別のローンとしてなら土地先行融資やつなぎ融資を受けられます。
これらはそれぞれメリットもあり、うまく活用すれば夢のマイホームを取得するのに役立ちます。
その一方でデメリットもあり、注意点と併せて確認しておくべきです
ただし、貯蓄から自己資金を捻出することが理想ではあるものの、どうしても良い不動産が見つかったということなら土地先行融資やつなぎ融資の活用も考えてみるのが良いかもしれません。