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資金(ローン)について
2021.06.30
住宅ローンの中でも親子で利用できるのが、親子リレーローンです。
住宅ローンは本来契約者本人のみが返済していくものですが、親子リレーローンを活用することで親から子へと引き渡すかたちで2世代にわたって返済可能となります。
親と子で住宅ローンの負担を担えるため、二馬力で返済できるのが特徴です。
ただし、親子リレーローンにはメリットとデメリットがあります。また、親子リレーローンを組むためにもいくつかの要件をクリアしなくてはなりません。
そのため、今回の記事では親子リレーローンとはどのようなものなのかを解説します。
併せて知っておきたい親子ペアローンとの違いなどもご紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を最後まで読むことで、親子リレーローンと親子ペアローンの活用方法が見えてくるはずです。
まずは親子リレーローンがどのようなものなのかを理解する必要があります。ここでは親子リレーローンの特徴とメリット・デメリット、要件についてそれぞれまとめます。ぜひ、これから住宅ローンを組む予定の方や見直す予定の方は、選択肢の1つとして考えてみましょう。
親子リレーローンとは、簡単にいえば1つの住宅ローンを親と子の2人で返済していく制度のことです。通常、住宅ローンは契約者本人が返済するものですが、状況によっては1人では返済が難しい場合もあるでしょう。
そのような場合に親子リレーローンを活用することで、親から子へと住宅ローンを引き渡すことが可能となります。特に中高年に差しかかった親と成人した子のペアで融資を受け、負担を軽減しながら返済していく方が多いです。この場合、親が定年を迎えたタイミングで子へと引き継がれるため、老後の生活に不安や心配がある方にとって最適な制度といえるでしょう。
多くの方が利用する通常の住宅ローンは、原則として80歳までに完済するよう金融機関で定められています。そのため、中高年以上の方が住宅ローンを組む際、長期の計画では審査に通らないことがあります。当然ながら金融機関もリスクを負うことはできないため、60~70代の方が融資を受けようと思ってもほぼ全額融資を受けることは不可能に近いです。
しかし、親子リレーローンであれば、親が中高年以上でも子に引き渡されるので金融機関にとっても安心して貸し付けることができます。それが親子リレーローン最大のメリットです。当然ながら、単独で融資を受けるよりも借入額を増やせますし、住宅ローン控除の恩恵も大きくなるでしょう。
単純に収入が少なくて単独では融資してもらえない場合であっても、親と子がセットであれば住宅ローンが組めるケースもあります。また、返済期間が長くなるため、自然と月々の経済的負担も低くなります。さらに条件によっては高齢であっても審査に通りやすくなるのが、親子リレーローンのメリットです。
通常の住宅ローンでは契約者本人だけが負担しますが、親子リレーローンは親と子で住宅ローンをつないでいきます。これは一見すると返済の安定にもつながり、魅力も大きいと思いがちです。しかし、デメリットがないわけではありません。
たとえば、親子リレーローンは親と子の両方に責任が問われるため、片方が返済不可能となった場合に注意が必要です。
また、親と子で住宅ローンを引き渡していくため、ライフステージの変化でその物件に住まなくなった場合でも返済しなくてはなりません。親と子でペアとなって組む住宅ローンなので、生活の変化に対応するのが難しいです。
そのほか、親が定年を迎える前に亡くなってしまうこともありますし、相続などでトラブルになることもあります。そういった親の死亡に対して揉めてしまいやすいのが親子リレーローンのデメリットといえるでしょう。
メリットとデメリットのある親子リレーローンはよく考えて組むことが重要です。ただし、誰でも組めるのかというとそうではありません。親子リレーローンを活用するには、以下の要件をクリアしておく必要があります。
主な親子リレーローンの要件は上記の6つとなります。これのどれか1つでも欠けてしまうと審査に落ちる場合があります。
特に同居することが前提となるため、別居している親子はそもそも親子リレーローンが利用できません。また、親は借り入れ時、子は完済時の年齢が決められている点にも注意が必要です。そのほか、親から返済を引き渡す子は1人ではないといけないため、ほかにも兄弟姉妹がいる場合は親族間で協議しなくてはなりません。それでいて親子双方に安定した収入がなければならないため、条件自体は意外にも厳しかったりします。金融機関とも相談しながら判断していきましょう。
親子リレーローンと似たようなものに親子ペアローンというものがあります。結論を先にいうと、これらは別物です。まずは以下の早見表をご覧になり、それぞれの違いについて知っておきましょう。
内容 | 親子リレーローン | 親子ペアローン |
住宅ローンの契約数 | 1つ | 2つ |
返済方法 | 親から子へ引き継いで返済 | 親と子が同時に返済 |
団体信用生命保険への加入 | 親か子のどちらか1人 | 親と子の2人 |
住宅ローン控除の適用 | 持ち分に応じて双方適用 | 原則として双方適法 |
このように親子リレーローンと親子ペアローンでは明確な違いもあります。基本的に親子リレーローンは1つの住宅ローンを親から子へと引き継いで返済するのが特徴です。しかし、親子ペアローンは2つの住宅ローンを親と子が同時に返済するのが特徴です。そのほか、団体信用生命保険への加入も異なり、住宅ローン控除の適用も異なります。
それぞれを明確に理解した上で、下記のどちらが向いているのかについても併せて確認してみましょう。
親子リレーローンは親がリタイアしている場合や現役でも収入が低い場合に向いています。住宅ローンはすでに構築している資産よりも、安定かつ継続した収入を重視するのが特徴です。そのため、収入が年金頼りの場合や働いていても低い場合には、子がカバーすることで住宅ローンを組まなくてはなりません。そのため、総じて安定した収入がない親世代が住宅ローンを組む際には、子世代と一緒に組める親子リレーローンがおすすめだといえるでしょう。
親子ペアローンは親も子も十分な安定収入がある場合に向いています。特に親子二世代で住むような大きな家を建築・購入する場合、より充実した設備の導入などを考えることもあるでしょう。その場合は親子で住宅ローンを組んで支払っていくという方法が最適です。特に住宅を充実させると借入額も自然と大きくなるため、どちらか片方では審査に落ちる場合があります。そのため、より大きな融資を受けたいという方には親子ペアローンが向いているといえるでしょう。
親子リレーローンはどのような審査基準が設けられているのでしょうか。これに関しては具体的な基準について公表されていません。ただ、原則として通常の住宅ローンと同じ審査基準だと思っておけば問題はありません。
通常の住宅ローンでは返済能力がとても重視されます。また、借り入れ時年齢や完済時年齢も加味される他、職業や年収、経営状態や運営状況なども加味されます。それら契約者の返済能力が重視されると考えておいてください。
ただ、親子リレーローンの場合は親よりも特に子の返済能力が重視されます。なぜなら、親世代は子世代よりも先に亡くなる可能性が高いためです。子の経済事情が審査されるため、親子リレーローンを組む際には注意しておきましょう。
親子リレーローンは親と子が引き継ぐ形で住宅ローンを返済していきます。通常、親子リレーローンでは親が定年するまで返済を行い、その後に子に引き渡されるのが普通です。しかし、返済途中で親が亡くなってしまった場合はどうすれば良いのでしょうか?
もし親が先に亡くなった場合は、残された子が残りの住宅ローンを引き継ぎます。本来は親が定年まで返済することを前提として親子リレーローンを組むため、それよりも先に亡くなった場合は必然的に子の経済的負担が大きくなります。そうなれば、子の生活にも影響が出てくるでしょう。
ただ、親子リレーローンによっては団体信用生命保険への加入によって返済を肩代わりしてもらえる場合もあります。親子リレーローンの多くは親ではなく子が加入することを条件に組む場合も多いため、親が亡くなっても子の返済を肩代わりしてくれるケースは稀です。しかし、条件次第では団体信用生命保険でカバーできることもあるため、万が一のリスクに備えて加入しておきましょう。そもそも団体信用生命保険への加入は前提条件となっていることも多いため、親も子も加入に関しては必須となる場合が多いです。
どちらにしても返済途中で亡くなった場合は子の負担が増えるため、親の行く末に関しても返済計画に組み込む必要があるでしょう。どうしても返済が難しい場合は、売却などの方法も考えなくてはなりません。そのほか、住宅ローン特則などの個人再生を利用することで、返済計画の見直しができる場合もあるので、専門家などに相談しましょう。
親子リレーローンも親子ペアローンも、どちらも親と子が住宅ローンを返済する制度となるため、片方が欠けてしまうと返済計画が頓挫することもあります。そのため、あくまでも親と子が健在ということを前提にした制度であることを理解しなくてはなりません。
また、親と子が共同でローンを組むことになるため、万が一にも親が亡くなった場合などは子がトラブルに巻き込まれることもあります。特に相続などで揉めることもあるため、どうしても相続で揉めそうな場合は親族以外の第三者を交えて話し合うことをおすすめします。そのほかの注意点は前述の通りなので、メリット・デメリットも加味しながら判断してみましょう。
本人だけで住宅ローンの返済が難しい場合、親もしくは子が一緒に契約することで負担を軽減できます。特に親子リレーローンや親子ペアローンは、それら親と子が一緒に返済するという少し特殊な住宅ローンの制度となります。もし、これから住宅ローンを組むという方は、通常のものとは違う制度がないかどうか調べることで自分たちの条件に合ったものが見つかるかもしれません。ぜひ、それらの制度をうまく活用して、返済計画を立ててみましょう。
家づくりをしたいものの何から始めればよいか分からないなど、住宅についてのお悩みがある方は、以下より来場にてお気軽にご相談ください。