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資金(ローン)について
2021.03.29
住宅購入者の負担を軽減するために国が用意した制度の中でも特に利用者が多く、負担軽減効果が大きなものが「住宅ローン減税(控除)」です。
しかし、住宅ローン減税の恩恵を受け取るためには、一定の要件を満たした状態で申請手続きが必要。何もせず待っていても受け取れません。
そこでここでは、住宅ローン減税を受け取るための条件や、申請から減税適用までの流れをご紹介していきます。
住宅ローン控除は住宅ローン減税ともよばれる制度で、正式名称を住宅借入金等特別控除といいます。
住宅ローンを利用して住宅を購入した人に対し、負担を軽減するために生まれました。
毎年末時点の住宅ローン残高の金額の1%に当たる金額が、10年間にわたって所得税から控除されます。
所得税の金額が低く控除の枠が使い切れない場合は、一部、住民税からも控除が可能です。
令和元年10月1日から令和2年12月末までに入居を完了した場合は、控除期間が3年間延長される特例が施行されていました。
住宅ローン控除の対象となる住宅には、「新築住宅」「中古住宅」「増築やリフォームをした住宅」の3種類があります。
いずれの住宅でも控除を利用するためには、一定の要件を満たす必要があります。
いずれの住宅でも共通する要件には、次のようなものです。
住宅ローン控除の適用要件に「居住の用に供した場合」という文言があるので、住民票で居住の実態が確認されます。
住居の引き渡しを受けてからまたは工事が完了してから、6ヵ月以内に居住を開始しましょう。
住宅ローン控除の対象となる住宅ローンについては後述します。
一度住宅ローン控除を申請していても、所得が3,000万円を超える年には控除が利用できません。所得が多い人は注意してください。
床面積は不動産登記上の床面積に準じます。
戸建て住宅では壁心からの面積が、マンションなどの共同住宅では内寸が適用されるので、注意しましょう。
購入する物件の状態に応じた要件もあります。それぞれチェックしておきましょう。
新築物件の場合、建築確認申請を行うのですべての建物の設計が現行の建築基準法に準じています。そのため、床面積以外に関する特別な規定はありません。
建築基準法は災害が起こるたびに随時改正されているので、中古住宅には現行の建築基準と異なる基準で建てられているものがたくさんあります。
安心して住める住宅に住んでもらえるよう、住宅ローン控除には中古住宅の場合、「耐震性能を有していること」という条件が追加されます。
耐震性能を確認するための基準は、次の2つです。
アかイのいずれかを満たせば、耐震性能を有していると判断されます。
ア、築年数が一定以下である
イ、以下のいずれかによって、現行の耐震基準に相当する性能が確認できる
中古住宅の申請時には、これらを証明する書類も提出しましょう。
増築やリフォームの場合、次のような条件を満たす工事が控除適用の対象となります。
この制度には、耐震改修や省エネ改修、バリアフリー化といった工事内容に対する基準は設けられていません。
そのため、比較的使いやすい制度となっています。
なお、これらの工事に該当すれば、国が設ける他の優遇制度の対象となるほか、自治体が独自に設定しているリフォーム関連の優遇制度を受けられる可能性もあります。
自治体のオフィシャルサイトなどを検索し、制度の有無を確認してみましょう。
それらの増築やリフォーム工事に対して支給される補助金などを受け取る場合は、工事費全体から補助金等を控除し、残りが100万円以上となる場合で適用条件を満たしていれば住宅ローン控除の対象となります。
住宅ローン控除を受けるためには、対象となる住宅ローンを利用することが必要です。
住宅を購入するための資金を借り入れたからといって、すべてが対象となるわけではありません。
次の3つの要件をすべて満たす借入金が、住宅ローン控除の対象となります。
住宅ローン控除の対象となるのはあくまでも「住宅そのもの」ですが、住宅購入資金とともに借り入れる場合は、土地の購入資金も住宅ローン控除の対象となります。
土地の購入から2年以内に建てなければ控除の対象とはなりませんので、先の土地を購入する人は注意してください。
住宅ローン控除の上限額は、次の表のように設定されています。
年間の最大控除額は40万円ですが、新築・未使用の認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の場合は、平成26年度以降の年間控除額の上限が50万円に引き上げられます。
居住開始時期 |
~平成26年3月 |
平成26年4月~令和3年12月末 |
|
令和元年10月~令和2年12月末 |
|||
控除期間 |
10年間 |
||
控除率 |
1% |
||
最大控除額 (累計) |
2,000万円×1%×10年間=200万円 |
4,000万円×1%×10年間=400万円 |
1~10年目 4,000万円×1%×10年間=400万円 |
11~13年目 住宅ローン残高の1%または 建物の取得価格(上限4,000万円の2%÷3 |
|||
住民税からの 控除上限 |
1年あたり9.75万円 または前年度課税所得×5%のうち少ない方 |
1年あたり13.65万円 または前年度課税所得×7%のうち少ない方 |
1年あたり13.65万円 または前年度課税所得×7%のうち少ない方 |
では、次の例について、実際の控除額を計算してみましょう。
1月に住宅ローンを借り入れたと想定します。
年末 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
6年目 |
7年目 |
8年目 |
9年目 |
10年目 |
住宅ローン年末残高 |
約3916万円 |
約3831万円 |
約3745万円 |
約3657万円 |
約3567万円 |
約3476万円 |
約3383万円 |
約3288万円 |
約3192万円 |
約3094万円 |
年末残高の1% |
39.16万円 |
38.31万円 |
37.45万円 |
36.57万円 |
35.67万円 |
34.76万円 |
33.83万円 |
32.88万円 |
31.92万円 |
30.94万円 |
所得税額 |
32万円 |
|||||||||
控除対象住民税額 |
13.65万円 |
|||||||||
所得税+控除対象住民税額 |
35.65万円 |
|||||||||
実際の控除額 |
35.65万円 |
35.65万円 |
35.65万円 |
35.65万円 |
35.65万円 |
34.76万円 |
33.83万円 |
32.88万円 |
31.92万円 |
30.94万円 |
実際の控除額は、「40万円(年間控除限度額)」「住宅ローン残高の1%」「所得税+控除対象住民税」のうち、いずれかもっとも小さい額になります。
つまりこの例でいくと、5年目までは「所得税+控除対象住民税」が適用されますが、6年目以降は年末残高の1%が適用されることになります。
もちろん、通常であれば昇給などによって年収や税額が変動しますし、家族構成によっても税額が変わってきますので、どの数値が控除額になるのかは人それぞれです。
源泉徴収票と住宅ローン返済シミュレーションで出した返済予定表の金額を見ながら、ご自分の場合の金額をシミュレーションしてみましょう。
住宅ローン控除を受けるには、入居した翌年の確定申告期間に税務署で申請手続きを行いましょう。
一度、確定申告で申し込んでしまえば、給与所得者の場合翌年以降は職場の年末調整で手続きが可能になります。
【申請の流れ】
住宅ローン控除の申請で大変なのが、書類集めです。書類の種類によって入手先が異なります。
契約時の書類も必要になるので、住宅購入にかかわる書類はすべて1ヵ所にまとめて保管しておきましょう。申請時の負担が少なくなります。
必要な添付書類の種類 |
入手方法・入手先 |
住民票の写し |
市区町村 |
年末残高証明書 |
金融機関等 |
登記事項証明書 |
法務局 |
請負契約書または売買契約書 |
本人 |
源泉徴収票 |
職場 |
(中古住宅の場合) 次のいずれか ●耐震基準適合証明書 ●既存住宅性能評価書 ●既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書 |
建築士など 登録住宅性能評価機関 住宅瑕疵担保責任保険法人 |
このほかに、土地の購入資金も住宅ローンで借りた人は土地の登記事項証明書や売買契約書も必要です。
また、年間控除上限額が優遇される認定長期優良住宅や認定低炭素住宅を購入した人は、その証明も添付しましょう。
住宅購入後の税金負担を減らしてくれる住宅ローン控除について、詳しくご紹介しました。
手続きが面倒に感じられるかもしれませんが、書類さえ集めてしまえば所定の用紙に記入するだけで申請できます。
住宅ローン控除は累計で数百万円もの減税効果があるので、返済計画にも影響を及ぼします。
還付された税金を手元に貯めておき、控除期間が終わった時点で繰り上げ返済に当てる人も少なくありません。
繰り上げ返済をすれば利息負担も軽減できます。
上手に制度を活用し、お得に住宅を取得しましょう。
住宅ローンをはじめ、住宅についてお悩みの方は、以下より来場にてお気軽にご相談ください。