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家づくりコラム
建物・家づくりについて
2021.04.28
家を建てる際、土地を購入して建物を建てていく、もしくはすでに建築されたものを購入するという方法が主流です。
しかし、建物を建てるのに十分な土地を持っていない場合、第三者から土地を借りて建物を建てるという選択肢もあります。その際に発生するのが借地権です。
今回は借地権とはどのようなものなのかを解説するとともに、その概要や種類だけではなくメリット・デメリットもご紹介します。
もし夢のマイホームを作るなら、土地は買うだけではなく借りるという手段があることも知っておきましょう。
ただし、建物を建てるからには知っておきたい注意点もあるため、併せて確認しておいてください。
借地権とはそもそも何かというと、とても簡単にいえば土地を借りる権利のことです。
本来、建物を建てる場合は土地を購入して建築に取りかかります。
しかし、その土地がなかなか見つからず、理想の場所がすでに第三者によって所有されている場合もあります。
そのような場合、建物を建てることを前提として土地を借りられるわけです。なお、自身で物件を取得する場合は所有権といいます。
当然ながら借地権は借り物となるため、地代を支払わなくてはなりません。
また、自身の所有となるわけではないので、半永久的に地主との関係を継続することが必要です。
そのほか、借地権には賃借権と地上権の2つがあり、両者はそれぞれ特性が異なります。
賃借権は第三者に売却する際、地主の承諾が必要となる権利です。一方で地上権は自由に売却できる権利となります。
なお、転貸する場合などもこれら借地権の性質で判断が変わるため、自身が持つ借地権がどの種類になるのか確認が必要です。
では、土地を購入するのと借地として借りるのとではどう違うのでしょうか。
これに関しては所有の有無が違ってきます。土地を購入すれば契約者の所有物となります。
しかし、借地として借りている場合は地主の所有物となるのです。
つまり、自分が持つ土地なのか地主が持つ土地なのかで権利が変わるということです。
お金に関していえば、土地を購入すれば住宅ローンなどを組んで返済していくことになります。
借地を借りれば地代を支払っていくことになります。
それらの経済的負担も大きく変わるため、買うのか借りるのか判断しなくてはなりません。
借地権には賃借権と地上権があると前述しましたが、それはあくまでも特性の違いとなります。
法律ではまた違う種類が定義されているため、それぞれの種類についても把握しておく必要があります。
以下、借地権の種類をまとめるので、併せて参照してください。
旧借地権とは現行の借地借家法が履行される前の借地法による借地権のことです。
旧借地権では借地契約を更新し続けることによって半永久的に借りられるという特徴があります。
これらは存続期間がない場合、建物の老朽化や劣化が進むと借地権も消滅します。
存続期間がある場合は建物が朽廃しても借地権は消滅しません。
以下、旧借地権の契約期間の早見表です。
構造 |
存続期間 |
最低期間 |
更新後の期間 |
木造等 |
30年 |
20年 |
20年 |
鉄骨造・鉄筋コンクリート造等 |
60年 |
30年 |
30年 |
普通借地権とは平成4年8月に制定された借地借家法による借地権です。
契約更新が前提の借地権であり、地主は正当な理由がない限りは契約を更新しなければならないのが特徴です。
借地権の存続期間は開始当初は30年ですが、更新後の1回目は20年、2回目以降は10年となります。これは自動車普通免許の更新のような感覚に近いです。
なお、普通借地権は旧借地権と違い、朽廃による消滅の規定はありません。原則として滅失となります。
特に契約更新後や滅失後の建物の再建・再築には注意が必要です。
たとえば、地主の承諾を得ていないにも関わらずに強行すると借地権を失うリスクもあるため、地主との関係には注意しましょう。
定期借地権とは借地契約に更新がない借地権です。期間が満了となると地主に返還しなければならないのが特徴となります。
存続期間は契約ごとに異なるものの、一般借地権であれば存続期間を50年以上とすることが多いです。
最初の契約期間が50年以上もあるため、永住する方であれば問題はありません。ただし、居住する地域が頻繁に変わる方には向いていません。
なお、定期借地権は主に一般定期借地権がありますが、ほかにも事業用定期借地権などもあります。
自営業の方は居住用ではなく事業用の借地権となる場合もあるため、事前に地主に確認することが大切です。
ここからは借地権のメリットについてご紹介します。
価格が割安
借地権は地代がかかるものの、土地を購入するのに比べて割安です。
地域ごとに相場が異なるため一概にはいえませんが、借地を借りるだけなら買うよりも6~8割ほど割安となります。
土地と建物がセットとなる戸建ては取得するだけでも、莫大なコストがかかります。
都心であればより高嶺の花となってしまうかもしれません。
しかし、借地権付きの建物であれば比較的安いです。
そのため、予算が限られているという方は借地権という手段も検討してみてください。
所有権と比べると2~4割ほど安くなるからこそ、選ぶ価値は十分にあります。
税金が不要
借地権は土地を所有しているのが地主となるため、本来土地にかかる税金が不要です。
たとえば、固定資産税や都市計画税などを支払う必要がないので、税金の負担を最小限に抑えられます。
ただし、これはあくまでも土地に対する税金のみとなります。
建物自体は自身が所有するものなので、建物に対する固定資産税や不動産取得税などは必要です。
すべての税負担がなくなるわけではないため、正しい理解が重要となります。詳しくは税理士などの専門家にも相談してみましょう。
借地権の種類によっては期間延長が可能です。
本来は期限付きが多いのですが、更新できる場合もあります。
もし最初は永住する気がなくても、後々に期間延長を望むなら地主と交渉することも可能です。
更新が許可されている場合は、そのまま延長して借りることもできます。
特に人生の節目で延長の選択を迫られることもあります。
たとえば、両親や祖父母が借地権付きの物件に住んでいた場合、それを相続するのか否かで変わってしまうわけです。
また、居住し続ける場合も期限切れとなれば再び交渉が必要です。
このように置かれている状況によって借地権は契約期間が異なるため、延長の有無も考えておきましょう。
ここからは借地権のデメリットについても解説します。
借地権最大の重荷といっても過言ではないのが、毎月支払うことになる地代です。
地代は地主に対して支払うものであり、原則としては毎月支払わなくてはなりません。
当然ながら、そのランニングコストがある限りは常に収支のバランスに影響を及ぼします。
特に、元気に働けるうちは良いですが、働けなくなった場合などは地代が大きな負担となることもあるでしょう。
もし建物の建築や購入に際して住宅ローンを組んだ場合は、その支払いも毎月降りかかります。
地代の支払いと住宅ローンの返済が毎月降りかかれば、ライフスタイルにも大きな影響が出てくるでしょう。
これは借地権の大きな欠点となります。
借地権はあくまでも地主から借りているということが前提のため、増築はもちろん改修の際にも許可が必要です。
建物を建て替えする際には地主の許可を得なくてはなりませんし、リフォームやリノベーションなど大規模な改築の場合も許可が必要となります。
地主によっては同じ面積で同じ構造であれば、設備や機材を自由に変更できる場合もあります。
ただし、原則は借り物という制約が常に付きまとうため、不自由を感じるかもしれません。
工事の規模や内容によっては地主に支払いが生じる場合もあるので、余計なコストがかかる可能性もあります。
借地権である以上はそれら地主との関係が常に発生するため、そこで気を遣ってしまうのも欠点といえるでしょう。
借地権付きの建物の場合、金融機関の担保評価が低くなります。
なぜなら、その土地を所有しているのは契約者本人ではなく地主だからです。
そのため、所有権と比べると借地権はどうしても担保評価が低くなってしまうのです。
それらが足を引っ張り、融資が受けにくいという状況にもなりかねません。
近年は融資のハードルも低くはなってきたものの、住宅ローンによっては審査の段階で落とされてしまうこともあります。
そうなった場合、人生設計にも影響を与えるため、住宅ローンを活用する場合は特に注意が必要です。
夢のマイホームを建てる場合、土地を購入するのか借りるのかで向こう数年の計画が大きく変わります。
特に借地権付きの建物は条件もいくつか設定されており、何をするにも常に地主の許可が必要です。
例外として地主との関係がそこまで深くない借地権もあるものの、原則としては気を遣ってしまう人も多いでしょう。
借地権について知らないままでいると、地主の許可を得ずにリフォームやリノベーションを進めてしまうこともあるかもしれません。
また、大規模な建て替えなどをしてしまう人もいるでしょう。そうなった場合、地主とトラブルになることも多いです。
あくまでも借地権は所有権とは違い、借り物ということを忘れてはなりません。
また、それぞれメリット・デメリットがあるので、そちらも性格に把握することが重要です。
借地権とは地主から土地を借りる権利のことを指します。
本来、住宅を持つ際には土地も併せて購入し、そこに建築していくというのが一般的です。
しかし、状況によっては地主から土地を借りて建物を作るということもあるわけです。
もちろん、借地権には所有権にはないメリットもありますが、それと同じくらいデメリットもあるため、きちんと考えなくてはなりません。
特にこれから理想のマイホームを夢見ている方は、どの選択肢が自身にとって最適なのかを慎重に判断してください。
家づくりをしたいものの何から始めればよいか分からないなど、住宅についてのお悩みがある方は、以下より来場にてお気軽にご相談ください。