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資金(ローン)について
2021.02.28
家を購入した際は住宅ローン減税を受ける方も多いです。
「住宅ローン控除」ともよばれるもので、正式名称は「住宅借入金等特別控除」とよばれます。
住宅ローン減税は、家を新築した際や増改築した際に利用できる制度となっています。
しかし、実はほかにふるさと納税なども併用できる場合があるのです。
今回は、住宅ローン減税とふるさと納税の併用について紹介します。
両者の特徴を解説するのはもちろん、手続き方法や計算方法についてもまとめます。
さらにはポイントや注意点も説明するので、住宅ローン減税とふるさと納税を併用したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
記事の最後には、年収別のモデルケースなども記載しています。
まずは住宅ローン控除とふるさと納税について知ることが重要です。
ここでは住宅ローン控除とふるさと納税がどのようなものか簡単に説明するので、最初に目を通しておくと、その後の説明も理解しやすくなるはずです。
住宅ローン控除とは所得の合計3,000万円以下の方が一定の住宅ローンを利用して新築・増改築する場合に利用できる制度です。
これらは、その年に納税した所得税から控除されるもので、住宅ローンの年末残高の1%、最大40万円までが控除されます。
また、長期優良住宅であれば最大50万円まで、個人間売買の中古物件であれば20万円まで控除される制度です。
住宅ローン控除の期間は10年間と定められており、11年目からは通常の所得税を支払うのが特徴です。
ただし、最大限まで活用すれば1年で最大40万円の控除を10年間受けられるため、10年で最大400万円まで控除を受けられることになります。
住宅ローン控除を受けない手はありません。
ふるさと納税とは、納税者が自ら選んだ応援したい任意の自治体に寄付することをいいます。
国民の税金に対する意識向上や地域社会の活性化を目的としたものです。
ほとんどの場合は返礼品などが用意されており、単なる寄付というよりも希望の返礼品が目当てで寄付する人が多いです。
これら寄付をすることで、最低自己負担金2,000円を除き、寄付の金額がそのまま所得税などから控除されます。
また、住民税などからも控除できるのが特徴です。
ふるさと納税は、寄付した方の年収などによって上限が設けられているのですが、返礼品によっては最大3割相当の返礼品を受け取れます。
かつては上限が定められていなかったのですが、近年はふるさと納税の返礼品の競争が激化したことで、上限が定められるようになりました。
ただ、納税すれば税金の控除を受けられるため、返礼品のみが恩恵ともいえません。
節税という観点でいうとメリットが大きいものです。
ここからはふるさと納税の控除手続き方法について説明します。
住宅ローン控除手続きに関してはわかりやすいですが、ふるさと納税の控除手続きは少し煩雑なので注意しましょう。
ふるさと納税は確定申告による方法で手続き可能です。
まずは寄付する自治体を選びましょう。
その後、寄付の申請をして所定の方法で入金するかたちとなります。
寄付が完了すれば、自治体から返礼品と併せて確定申告に必要な寄付金受領証明書が届きます。
これを使って翌年の2月16日~3月15日までに確定申告するだけです。
一見するとややこしいように思えるかもしれませんが、実際にやることはとても簡単です。
ふるさと納税はワンストップ特例制度による方法でも手続き可能です。
まずは確定申告による方法と同じように、寄付する自治体を選びます。
その後、寄付の申請をして所定の方法で入金します。
ここまでは確定申告による方法と同じです。
ただ、そこからワンストップ特例制度に必要な「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を入手しなくてはなりません。
これらは総務省や自治体のホームページやサイトから入手し、翌年の1月10日までに届くよう必要事項を記入して寄付した自治体に送付します。
ここからはふるさと納税と住宅ローン控除併用時の計算方法を見ていきましょう。
なお、ここではわかりやすくするために、所得税10万円、住民税15万円(所得割14万円)、所得税率10%、住宅ローン控除額20万円を例に計算します。
まずは所得税から住宅ローン控除額を控除します。
今回の場合は所得税が10万円で住宅ローン控除が20万円なので、10万円ほど余る計算です。
その余った10万円分を住民税から差し引きます。
今回の場合は住民税が15万円なので、10万円で住宅ローン控除を使いきれる計算となります。
以上の計算から、残り5万円までふるさと納税の控除を受けられる計算となります。
ただし、今回は住民税の所得割が14万円と仮定しているため、その場合のふるさと納税の控除上限は2万8,000円となります。
そこからふるさと納税できる金額を計算すると、3万7,000円になります。
なお、ワンストップ特例制度を受ける場合は、所得税から住宅ローンの控除額を控除しなくてはなりません。
その際、控除しきれなかった分は、控除残額につき住民税から控除限度額まで控除できます。
これらは所得税の課税所得金額7%(最大13万6,500円)までとされています。
最後に、残った住民税からふるさと納税の寄付金額を控除するかたちです。
住宅ローン控除とふるさと納税の併用に関しては、いくつかのポイントと注意点を把握しておきましょう。
ここからはそれらのポイントと注意点を簡単にまとめるので、ぜひこちらも目を通しておいてください。
住宅ローン控除とふるさと納税はそれぞれ条件に応じて所得税や住民税から控除が受けられます。
これらは納めた税金以上の金額は控除されないため、住宅ローン控除を利用しても控除しきれない場合に、ふるさと納税による控除が真価を発揮します。
実際に住宅ローン控除では所得税や住民税から控除しきれない分が発生することも多いです。
その際、ふるさと納税を行っておけば、その分の控除が受けられます。
ただし、確定申告の際、ふるさと納税の寄附金額は本人の所得税から控除される仕組みとなっています。
そのため、所得税が減ることで、同じく所得税から控除する住宅ローン控除の金額が減ってしまう可能性もあります。
また、住宅ローン控除では所得税から控除しきれなかった額がある場合には住民税からも控除できますが、その上限は課税される所得金額の7%(最大13万6,500円)までとなっています。
必ずしも併用によって恩恵を最大限に活用できるわけではないことを念頭に、計算してみる必要があります。
住宅ローンとふるさと納税を併用するのなら、ワンストップ特例制度を活用するのも良いでしょう。
ワンストップ特例制度は、条件次第で確定申告を介さずに控除を受けられる制度です。
この特例を利用すれば住民税の控除というかたちで控除されます。
この特例の場合は所得税から控除されないため、住宅ローン控除に与える影響も小さくなるわけです。
この方法を活用すれば上手に住宅ローンとふるさと納税を併用できるでしょう。
しかし、住宅ローン控除の1年目に限り、ワンストップ特例制度は利用できません。
また、そのほかの確定申告が必要となる場合もワンストップ特例制度が利用できません。
そのため、あくまでも条件次第となることを覚えておきましょう。
確定申告は事業所得がある方や不動産所得がある方のほか、給与収入が2,000万円を超える会社員や副業収入が20万円を超える会社員なども必要です。
さらに医療費控除の手続きや投資をしている方なども必要となってきます。
これらの点には注意が必要です。
最後に住宅ローン控除とふるさと納税を併用している方のモデルケースをまとめます。
ここでは日本のおおよその平均年収とされる400~600万円の場合をモデルケースとしてまとめます。
年収400万円の場合、ふるさと納税の上限は約4万2,100円となります。ここではより計算をわかりやすくするため、所得税を9万円と想定します。
この場合、住宅ローン控除20万円を所得税9万円から差し引くわけですが、-11万円の余りが生じる計算となります。
この-11万円を住民税から差し引く計算です。
そうして割り出されるのが4万2,000円となります。
ただし、住民税からの控除は上限があるので、すべて控除できるかどうかは微妙なラインです。
ぜひ一度、自分の条件に当てはめてシミュレーションしてみましょう。
年収600万円の場合、ふるさと納税の上限は約6万9,000円となります。
ここではわかりやすくするために、所得税を18万円と想定します。
この場合、住宅ローン控除30万円を所得税18万円から差し引くわけですが、-12万円の余りが生じる計算となります。
これら-12万円を住民税から差し引く計算となります。それによって割り出されるのが6万9,000円となります。
これらも住民税からの控除に上限があるため、すべて控除できるかどうかは条件によって変わる可能性があります。
住宅ローン減税とふるさと納税は併用できます。
所得税から差し引くのはもちろん、住民税からも差し引けます。しかし、併用によってはどちらかの控除に条件が発生することもあり、両者の恩恵を最大限に活かせない場合もあります。
住宅ローン控除やふるさと納税に強い専門家に相談するなど、控除を最大限に活用できる方法を模索しましょう。
住宅資金に不安がある、家づくりをしたいが何から始めれば良いか分からないなど住宅についてのお悩みがある方は、以下より来場にてお気軽にご相談ください。