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2023.03.30
希望のエリアで土地を見つけたとしても、必ずしも平らな土地であるとは限りません。
敷地内や敷地に隣接する部分に高低差がある場合、「擁壁」を組む必要があります。しかし、擁壁の造成費は高額になることが多く、資金計画が成立しないケースは少なくありません。
そこで本記事では、擁壁の種類や費用、注意点について解説します。擁壁を設ける必要がある人は、ぜひ最後までお付き合いください。
【この記事でわかること】
● 擁壁の種類 ● 擁壁のある家を建てる際の注意点 ● 擁壁がある土地を購入する際のポイント |
擁壁は「がけ」に隣接する土地で建築する際に、土圧や水圧によって地盤が崩壊し家が倒壊しないようにするための構造物です。
鹿児島県では地表面が水平面に対して30度を超え、さらに高さが2m以上ある高低差を「がけ」と定義しています。
このような「がけ」に隣接する場合、鹿児島県では建築基準法施行条例に戻づいた擁壁を建築し許可を得ることで、家の建築が可能となります。
擁壁を造成する箇所はさまざまな地形になっており、擁壁も地形や用途に応じて種類が分けられます。そこで、この章では擁壁の種類を解説します。
順番に見ていきましょう。
RC造はコンクリート製の擁壁であり、鉄筋の有無によってSRC造とRC造に分けられます。
垂直に近い擁壁を組むことに特化しているため、家のすぐ横に擁壁を組む必要がある場合に使用されます。
大谷石積み擁壁は「大谷石」と呼ばれる軽石凝灰岩の1種を積み上げた擁壁です。加工がしやすいことから、昭和時代に建築された建造物にはよく使われていました。
現在では、耐久性の問題から使用されることがほとんどない擁壁といえます。
間知ブロック積み擁壁とは、城の石垣にも使われている擁壁のことで、斜面を造成する際に利用するケースが多くあります。
RC造よりも耐久性が劣るケースもあることから、間知ブロックでは建築要件を満たさないとするハウスメーカーもあります。
そのため、間知ブロックで造成されている土地は、ハウスメーカーにしっかり確認してもらう必要があるでしょう。
土地に10m接面する部分に5mの擁壁を組んだ場合、一般的に600〜900万円の造成費が必要となります。そのため、安い土地でも結果的に予算を大きく超えるケースがほとんどです。
ただし、緊急性の高い擁壁工事については助成金や補助金が発生する可能性があります。
後述する条件に該当する場合は、積極的に利用することをおすすめします。
鹿児島県には「がけ地応急防災工事費補助事業」という補助金制度があります。
この制度によって、30度以上かつ高さ5m以上のがけに隣接する土地に住んでいる場合、崩落を防ぐために必要な経費の50%(上限30万円)を補助金として受け取れます。
全ての擁壁工事が補助金対象となるわけではないため、該当する工事かどうかは不動産会社もしくはハウスメーカー経由で鹿児島県市役所に確認しましょう。
擁壁を組む際には、いくつかの注意点があります。
擁壁のある家に住んで後悔しないためにも、上記の注意点を事前に押さえましょう。
擁壁は、住宅と隣接していることが多く、トラブルにつながるケースもゼロではありません。
擁壁には維持管理責任があり、擁壁の所有者は適切に維持管理し保全する義務があります。
そのため、もし擁壁が破損し土圧や水圧によって隣地に土砂が流れた場合には、擁壁の所有者として原状回復させる必要があるでしょう。
また、擁壁を組むことで隣地の土地に影響がでる可能性もあります。このようなことにならないためにも、擁壁による影響と管理の有無についてハウスメーカーに相談しましょう。
家と同じように擁壁も劣化し、耐久性が低下します。
また、建築許可を取得し造成した擁壁であっても、将来家や土地を売却する際には擁壁を解体し、再度造成する必要があります。
このことからも、擁壁は老朽化によって資産として残りにくいことを把握しましょう。
この章では、擁壁のある住宅を購入する際のポイントを解説します。
高低差のある土地は、必ず購入者が擁壁を組むのではなく、既に擁壁があるケースもゼロではありません。
このような土地は、擁壁の造成費が不要になることもありますが、思わぬトラブルに巻き込まれることもあるため注意が必要です。
現行の建築基準法を満たしているかどうかも、擁壁のある住宅を購入する上での注意点です。
大規模な分譲地であれば開発図面があり、擁壁の耐久力を調査した資料が残っている可能性もあります。資料があれば、現行法令に適合した擁壁のため、家を建築しても問題ないでしょう。
一方、個人が数十年前に組んだ土地の場合は現行の建築基準法に適合していない可能性が高く、その場合は解体し再造成する必要があります。
このようなことにならないためにも、開発許可の有無を確認することは重要です。
新しい擁壁を組んでいたとしても、適合していないケースがあります。
たとえば、高低差が2m以内のがけに対して組んだ擁壁は任意設計の扱いとなるため、そのことに気づかなければ後々「違反」と通報されるおそれもあります。
また、任意設計の擁壁は不完全な整備によって、土圧の変化などで崩落する危険もあるので注意が必要です。擁壁がある土地は、リスクを回避するためにもしっかり調査しましょう。
擁壁に関するトラブルで最も多いのが、擁壁の「足」にあたる部分です。
擁壁は土圧で倒れないよう地中に足があり、L字の形状となっています。そして、足にあたる部分には建築できません。そのため、建築許可がおりている擁壁を組んだ場合、検討しているプランが通らないケースもあります。
また、擁壁を組むことで日当たりが悪くなるケースも少なからずあります。
どちらのトラブルにおいても、事前にハウスメーカーなどへ相談し、シミュレーションしておくことで防げるでしょう。
最後に、擁壁に関するよくある質問を紹介します。
擁壁のある家は、日当たりがよく明るい家になる点がメリットといえます。
なぜなら、高低差があるため他の家よりも高台になるからです。
正式な擁壁の法令耐用年数はありませんが、RC造で35年〜50年といわれています。
ただし、使い方や周辺環境によってはさらに長く保持できる可能性はあります。
擁壁は、高低差のある土地で土圧や水圧で土地形状が変わらないようにするための建造物で、コンクリートブロックは土が流れないようにするための土留めです。
このように、擁壁とコンクリートブロックは用途が異なることを理解しておきましょう。
擁壁があることで地盤が本来あるべき状態から変化し、家に思わぬ影響を及ぼすことがあります。対策として、擁壁のある土地は地盤調査することがおすすめです。
国分ハウジングでは、擁壁のある土地で安全に家を建てるためのノウハウがあり、建築実績も豊富です。土地探しでお悩みの方は、ぜひ国分ハウジングまでご相談ください。