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2021.12.28
不動産関係の言葉でよく耳にするのが土地の権利書や登記簿です。
しかし、両者の違いについて明確にわかるという方は少ないのではないでしょうか。
土地を売買する際には権利書はもちろん登記簿についても把握しておく必要があります。
そこで今回の記事では土地の権利書がどのようなもので、登記簿とはどのように違うのかを解説します。
また、紛失してしまった場合や盗難に遭ってしまった場合など不測の事態に陥ってしまった際の対応方法についても説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
まず土地の権利書と登記簿について理解するためには、不動産登記について知らなくてはなりません。
不動産登記とは文字通り、不動産の登記のことを意味します。
不動産というのは土地や建物など動かない資産のことであり、登記は権利関係を公に明らかにするために設けられた制度のことをいいます。
なかでも登記には無数の種類があり、その1つが不動産登記となるわけです。
これら不動産登記を行うことで、土地や建物などの不動産情報が記録されます。
特に、これら不動産登記の情報は一般にも公開されており、手数料を支払うことで誰でも閲覧可能です。
つまり、不動産登記は土地や建物などの不動産について情報を明確にしたものといえます。
土地の権利書は世間一般で使用されている呼称であり、これらの正式名称は登記済権利証となります。
これは土地や建物を売買した場合だけでなく、相続した場合などに交付されるものです。
しかし、2004年の法改正により、2021年現在は登記済権利証の発行が停止されています。
その代わりに登記識別情報というものが発行されています。
これらは英数字12桁の番号で提示され、これが土地権利書の代わりとなるわけです。
ちなみに、登記識別情報の発行には不動産の住所や番号だけでなく、登記の目的や登記名義人の名前などを登記所に提供する決まりとなっています。
その上で発行されるもの、それが土地権利書とよばれます。
登記簿は登記所に保管されている帳簿の呼称であり、不動産情報が記載されているものを指します。
これらは大きく分けて不動産登記簿と商業登記簿の2種類があり、さらに不動産関連の登記簿は土地登記簿と建物登記簿に分かれているのが特徴です。
登記簿は簡潔の法務局で手数料を支払えば誰でも閲覧可能な登記情報を指します。
いわゆる対象となる土地の経歴を見られるものを表しています。
その一方、土地権利書は登記された時にのみ発行される証明書のことを意味するため、また別物となるのが特徴です。
まとめると登記簿は継続的なもので土地権利書は一時的なものと覚えておくとわかりやすいです。
権利書は登記された時にのみ発行されるため、人によっては紛失してしまうこともあります。
ここからは権利書を紛失してしまった場合の対処方法についてご紹介します。
最初に行っておきたいのが、司法書士や弁護士などの専門家に本人確認証明情報の提供を依頼することです。
専門家に本人確認証明情報を書面で作成してもらい、それを登記所へ提出することが重要です。
管轄の法務局に提出するだけなので、難しいことはありません。
本来、権利書は再発行できませんが、これらの手続きによって再発行せずとも土地の所有者であることを証明できます。
次に行っておきたいのが、管轄の法務局の事前通知制度を使用する方法です。
まずは権利書を添付せずに登記申請を行いましょう。
そうすると後日、登記内容が記載された書類が本人限定郵便にて郵送されてきます。
この書類を管轄の法務局に返送することで、その土地の所有者であることが証明されます。
2週間以内に書類を返送しなくてはならないために意外とシビアですが、別途費用がかかることもなく安心です。
ただし、期限を過ぎると登記申請自体が却下されてしまうので、その点には十分に注意しましょう。
最後に行っておきたいのが、公証人立ち会いのもと手続きを行う方法です。
これは公証人立ち会いのもと手続きを行うことで土地の権利を証明し、その委任状を権利書として認めてもらう方法です。
この方法では本人が公証役場に出向かなければならないので少し大変ですが、専門家に依頼するよりは無駄に費用をかけずに済みます。
状況によっては権利書を盗まれるという事態に陥ることもあるかもしれません。
しかし、その場合も焦る必要はありません。
そもそも権利書だけで本人の名義変更などはできない仕組みとなっています。
そのため、仮に誰かから盗んだ権利書があったとしても、それだけでは土地の名義変更もできないのです。当然、売買もできません。
名義変更には権利書のほかに本人の実印ならびに3ヵ月以内に発行された印鑑証明も必要です。
それらが揃って初めて名義変更が可能となります。
もちろん、それでも権利書が盗まれるのは避けたいので、予防として「不正登記防止申出」「登記識別情報の失効申出」を行いましょう。
以下、それぞれの対策方法です。
不正登記防止申出とは、申し出た時点から3ヵ月以内に何かしらの申請があった場合に通知してもらえる制度のことです。
これらは3ヵ月以内という制限がありますが、それでも第三者が不正に登記しようとしていることが明確になります。
そのため、盗まれた疑いがある中で先に手を打っておきたい時に活用しましょう。
登記識別情報の失効申出とは、申し出た時点で不動産番号を無効にできる制度です。
これらは期限も設定されておらず、失効した情報の悪用を防げます。
完全に情報を抹消したい際にも活用できます。
もし仮に権利書を紛失している状態で土地売買を行いたい場合、前述の「権利書を紛失した場合はどうする?」でまとめた方法が活用できます。
まず、売買したい土地については本人が所有者であることを証明しなくてはならないため、権利書を紛失した際は司法書士や弁護士などの専門家に相談しましょう。
それら専門家に相談すれば本人確認証明情報を書面で提供してもらえるので、それらの書類があれば権利書が再発行できなくとも土地の売買は可能です。
また、コストをかけたくない場合は自身にて管轄の法務局で事前通知をしてもらうか、公証役場の公証人を通して証明してもらう方法もあります。
これらの方法を活用すれば権利書を紛失してしまった場合でも不動産の売買が可能です。
権利書を紛失してしまっても、方法によっては土地の所有者であることを証明できます。
そのため、人によっては「それなら権利書など必要ないのでは」と思うかもしれません。
しかし、例外として権利書が必要となる場合があります。
たとえば、相続などの際に権利書が必要となることがあるので注意しましょう。
本来、権利書は相続による登記において不要とされているのですが、ほかの必要書類で取得困難なものがある場合は必要となります。
その際、登記名義人を住民票の除票によって被相続人であることを確認する必要が出てきます。
登記されている所有者の住所が住民票によって被相続人の最後の住所と一致しているかどうかを確認しなくてはならないため、状況次第では権利書が求められることがあることを覚えておきましょう。
権利書を紛失した場合、多くの方は不安や心配に苛まれるかもしれません。
しかし、権利書がないからと言って土地売買ができなくなるわけではありません。
そのため、適切な対応をすれば焦る必要もないわけです。
もちろん、悪用されることもありません。
その一方、権利書を紛失した場合は代替の方法によって土地の所有者であることの証明が必要となるため、手間や面倒がかかるのも事実です。
そのため、権利書があることに越したことはありません。
可能であれば、土地の権利書はわかりやすいところに保管しておきましょう。
土地の売買では権利書の他に必要となる書類があります。
こちらも併せて確認しておきましょう。
以上の3つは必ず必要となります。
ここからさらに詳しくそれぞれの内容を確認していきましょう。
条件によっては結婚や離婚などで指名が変わった際、登記簿上の住所・氏名と登記名義人の住所・氏名が一致しなくなることがあります。
その場合、所有者である確認ができなくなるので、住所変更・氏名変更登記が必要となります。
これらの住所・氏名が一致しないと土地の売買が原則できないため、変更があった際は早めに変更登記を済ませておきましょう。
なお、変更登記には住民票と戸籍謄本(除籍謄本)が必要となります。
それに加えて収入印紙などで1,000~2,000円ほどかかるため、そちらの費用も用意しておきましょう。
仮に司法書士や弁護士に依頼するとなると1~2万円ほどかかるので、自分で手続することをおすすめします。
不動産を相続した場合、所有者が被相続人のままになっていることもあります。
その場合、相続人に所有権を移転させなくてはなりません。
その際に必要となるのが所有権移転登記です。
その際、以下のものが必要となります。
・実印
・印鑑証明書
・固定資産評価証明書
・遺産分割協議書
・遺言書
・戸籍謄本
・住民票
・除票
単なる所有権移転登記であれば実印と印鑑証明書と固定資産評価証明書の3つがあれば申請可能です。
しかし、相続の際などは他にも以上で挙げた書類が必要となるため、司法書士や弁護士などに確認することをおすすめします。
なお、所有権移転登記には3~10万円ほどかかるので、その点はあらかじめ予算を確保しておきましょう。
不動産の中には抵当権が付与されたままの土地もあります。
それらの土地を売買する際、抹消登記が必要となります。
これら抹消登記をするには以下のものが必要です。
・登記済権利証もしくは登記識別情報
・登記原因証明情報(弁済証明書)
・金融機関の代表者事項証明書もしくは商業登記簿謄本
・委任状
以上の書類をまとめて手続きをしなくてはなりません。
これらは自分でやる場合、3,000~5,000円ほどかかります。
しかし、確実に抵当権抹消登記を済ませたい場合は司法書士や弁護士に依頼するのが良いです。
なお、その際は1~3万円ほどかかるので、その点も注意しましょう。
最後に土地の権利書に関するよくある質問をまとめます。
原則として登記済権利証を登記識別情報として交換することはできません。
そもそも、法改正により、登記済権利証の発行は2004年で終了しているものの、土地を売買する際には既存のもので対応可能です。
そのため、登記識別情報に交換しなくても問題はありません。
登記済権利証や登記識別情報には不動産情報が記載されていますが、それだけで登記情報の変更はできません。
勝手に所有権を移されてしまうこともありません。
そのため、悪用される可能性は低いです。
ただし、これらは再発行が認められていないため、仮に盗まれたということであれば本人確認情報の作成など、そのほかの手続きが必要となるので注意しましょう。
土地は誰が所有者なのかを明確にすべく、権利書や登記簿にて管理されています。
それら権利書がないことには土地の売買ができません。
しかし、権利書を紛失した場合であっても、既定の手順を踏めば土地の売買は可能です。
そのため、権利書を失ったとしても盗まれたとしても、うろたえる必要はありません。
ただし、相続など不動産の所有権が移る際には、権利書だけではなくその他の書類が必要となることもあります。
その点は自身にて用意するか、もしくは司法書士や弁護士などの専門家に相談して準備を進めましょう。
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