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資金(ローン)について
2023.01.27
住宅ローンを検討する際には「フラット35」というワードをよく目にしますが、実際にはどのような住宅ローンか把握していない人は少なくありません。
民間と公的の両機関で運営しているフラット35は、一般的な民間銀行で住宅ローンを借入する場合とは異なる点が多くあります。
そこで、この記事ではフラット35の特徴を利用条件、メリットとデメリット、民間銀行との比較について解説します。住宅ローンの借入先を検討している人は、最後までお読みください。
【この記事でわかること】
● フラット35の特徴 ● フラット35と民間ローンとの違い ● フラット35を利用する条件 ● フラット35のメリットとデメリット |
フラット35とは、住宅金融支援機構が運営する住宅ローンのことで、国土交通省住宅局が所管省庁となっている機構です。そのため、国のバックアップがある住宅ローンになります。
以上を順番に見ていきましょう。
フラット35の代表的な特徴は以下の通りです。
フラット35の返済期間は最長35年で、全期間固定金利です。ただし、借入が15年〜20年の場合と21年以上の場合で金利が変わります。
年収が400万円未満や勤続年数が1年未満といった、民間ローンでは借入が難しい属性でも利用可能です。さらに、団体生命信用保険の加入義務がないため、健康上の不安を抱えていても問題なく借入できます。
フラット35と民間のローンの大きな違いは、団体生命信用保険の加入義務がない点だといえるでしょう。
団体生命信用保険とは、借入者が死亡した場合、その時点で住宅ローン残債の返済義務が免除される保険です。多くの民間ローンは団体生命信用保険の加入が借入条件となっていますが、借入者が悪性腫瘍や糖尿病、てんかん、うつ病などの治療中である場合は加入できません。
このように、民間ローンの借入が難しい場合に、フラット35でフォローする位置づけです。
ただし、団体生命信用保険の違い以外にも、返済手数料の差があり、団体生命信用保険に加入が可能であってもフラット35を利用するケースも増えています。
そのため、フラット35と民間ローンは並行した検討をおすすめします。
フラット35には、住宅性能によって好条件を提供できる「フラット35S」のプランがあります。この商品は、条件を満たした住宅の場合に借入金利を一定期間引き下げてくれます。
該当する住宅は長期優良住宅、省エネ住宅、高耐震性住宅であり、以下に挙げる3種類のフラット35Sのうち1つが利用できます。
商品 | 金利引き下げ期間 | 金利引き下げ幅 |
フラット35S【ZEH】 | 当初5年間 | -0.5%/年 |
6年目~10年目 | 0.25%/年 | |
フラット35S【金利Aプラン】 | 当初10年間 | |
フラット35S【金利Bプラン】 | 当初5年間 |
高性能住宅に関する金利優遇制度は民間銀行にもある一方で、フラット35の場合はフラット35Sが該当すると覚えておきましょう。
※参考:【フラット35】S:長期固定金利住宅ローン【フラット35】|住宅金融支援機構
この章では、フラット35を利用するための条件を解説します。民間ローンで審査が通らなかった人は、この章で解説するポイント2つを確認しましょう。
順番に解説していきます。
フラット35を利用する条件として、以下の2項目があります。
上記以外の明確な基準はありませんが、年収400万円をラインに借入基準が設定されており、ほかの借入の有無も審査に影響します。
フラット35を利用する際には、不動産会社経由で相談しましょう。
フラット35は契約者だけではなく、購入する住宅にも以下の床面積が条件としてあります。
したがって、小さすぎる建物の購入には利用できない可能性があるため、注意しましょう。
住宅の種類 | 最低床面積 |
一戸建て | 70㎡以上 |
マンション | 30㎡以上 |
フラット35Sで借入を受ける際には、高性能住宅の条件があります。
フラット35S【金利Aプラン】とフラット35S【金利Bプラン】を利用する場合には、以下の技術基準もクリアする必要があります。
したがって、フラット35Sを利用する前提で資金計画する場合には、技術基準をクリアできるかを事前に確認しましょう。
〈フラット35S【金利Aプラン】の技術基準〉※いずれか1つを満たす住宅であること
性能 | 技術基準 |
省エネルギー性 | ・断熱等性能等級5以上の住宅かつ一次エネルギー消費量等級6の住宅 |
耐震性 | ・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)3の住宅
・免震建築物 |
バリアフリー性 | ・高齢者等配慮対策等級4以上の住宅 |
耐久性・可変性 | ・長期優良住宅 |
〈フラット35S【金利Bプラン】の技術基準〉※いずれか1つを満たす住宅であること
性能 | 技術基準 |
省エネルギー性 | ・断熱等性能等級4の住宅、かつ一次エネルギー消費量等級6の住宅
・断熱等性能等級5以上の住宅、かつ一次エネルギー消費量等級4または5の住宅 |
耐震性 | ・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅 |
バリアフリー性 | ・高齢者等配慮対策等級3以上の住宅 |
耐久性・可変性 | ・劣化対策等級3の住宅でかつ維持管理対策等級2以上の住宅 |
ここでは、フラット35と一般的な民間銀行の住宅ローンを比較していきます。
ただし、民間銀行は条件が違うケースもあるため、おおまかな目安として確認しましょう。
住宅ローン | 金利タイプ | 手数料 | 保証料 | 審査基準 |
フラット35 | 固定金利 | 融資額×2.2% | なし | 団体生命信用保険
加入義務なし |
民間銀行 | 変動金利
固定金利 |
1万円~2万円 | 融資額×2.2% | 団体生命信用保険
加入義務あり |
民間銀行は金利タイプが変動金利と固定金利とあるのに対し、フラット35は固定金利のみです。また、手数料と保証料の扱いがほぼ逆になっている点には注意が必要です。
前述した団体生命信用保険の加入義務については、フラット35を選択する大きなポイントにもなるため押さえておきましょう。
多くの利用者を抱えるフラット35が選ばれる理由は、フラット35にしか実現できないメリットがあるからです。
フラット35を運営する住宅金融支援機構によると、2021年度のフラット35利用者数は4期連続で減少したものの、約65,000件(※)でした。
この章では、フラット35のメリットについて4点解説します。
順番に解説していきます。
※参考:2021年度 フラット35利用者調査|住宅金融支援機構
近年、ゼロ金利政策が展開されて住宅ローンの低金利が維持されましたが、今後どのような方針になるのか不透明です。
変動金利を選択すると金利高騰などのリスクを抱えますが、フラット35は固定金利であるため、金利が変動しません。
そのため、金利変動を心配したくない人には大きなメリットといえるでしょう。
フラット35は保証料がかからない商品であるため、民間銀行のように保証会社への信用担保が不要です。ただし、保証料と同額の手数料を支払わなければならないため注意が必要です。
繰上げ返済とは返済期間中に多く返済する返済方法で、返済期間を短くしたり月々の返済額を減額したりできます。
繰上げ返済する場合、多くの民間銀行で最低繰上げ金額や手数料が定められています。一方で、フラット35は手数料も最低金額の設定がないため、安心して繰上げ返済ができます。
フラット35は勤続1年未満であっても、病歴があっても問題なく審査できます。このように、最低勤続年数と団体生命信用保険の加入義務がない点が、フラット35を利用する動機でしょう。
フラット35には多くのメリットがある一方、デメリットもあります。フラット35の利用を検討する際には、この章で解説するデメリットも合わせて確認しましょう。
順番に見ていきましょう。
変動金利は0.5%前後で設定される場合が多いのに対し、住宅金融支援機構が公開しているフラット35の金利は、返済期間15年〜20年であっても1.52%となります(2023年1月時点)。
そのため、月々の返済額が変動金利より高くなるケースや、借入可能な総額が減ってしまうといったケースがあるため、注意が必要です。
※参考:【フラット35】融資手続・必要書類:長期固定金利住宅ローン【フラット35】|住宅金融支援機構
フラット35は金利変動の影響を受けない固定金利型のため、金利が上がっても返済額は変わりません。
そのため、市場金利が下がっても返済額は高いままです。金利の状況次第では変動金利に比べて相対的に損する可能性があるといえます。
フラット35は、民間ローンのように「物件価格+諸費用」を借入額の前提にしておらず、ある程度自己資金が捻出できる前提のものです。
したがって、融資額が物件価格の9割を超える場合は金利が高くなるため、物件価格に占める割合を慎重に検討しましょう。
どのような住宅でもフラット35を利用できるわけではなく、審査基準をクリアする必要があります。
築年数が経過しすぎている物件や、床面積が小さすぎる物件は審査対象にならない可能性があるので注意しましょう。
多くの人がフラット35を利用していますが、利用者にはある一定の傾向があります。
これを踏まえ、この章ではフラット35が向いている人の特徴について解説します。
上記4点の特徴を、順番に確認していきましょう。
金利は、為替や海外の金融政策の影響を受けるため、どのように変化するかが不透明です。
金利上昇により、将来返済困難になるリスクを回避したいという人に向いている住宅ローンだといえます。
団体生命信用保険に加入できない病気を抱えている人は、フラット35がおすすめです。
ただし、まず民間銀行の団体生命信用保険に加入できるかを確認してからフラット35の利用を検討しましょう。
住宅購入のタイミングだけではなく将来の支出を安定させたい人にも固定金利のフラット35が向いています。返済額が変わらない安心感で家計のストレスを軽減できます。
年収が400万円に満たない人や自営業の人は民間銀行の審査が厳しくなる傾向にあります。
しかし、年収は急に上がらず、転職も難しいため、民間ローンで厳しい審査結果を提示された場合にはフラット35を検討しましょう。
フラット35はメリットもデメリットもあるため、自分に合っているかを慎重に検討する必要があります。
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