Blog / Column
スタッフブログ・コラム
家づくりコラム
資金(ローン)について
2021.03.09
どんな金融機関で住宅ローンを組むか決めるのは重要ですが、同様に返済方法を検討することも非常に重要です。
住宅ローンでは「元利均等返済」と「元金均等返済」という二つの返済方法から最適な方法を選ぶ必要があります。
それぞれどのような特徴があるのか、メリットやデメリット、向き不向きをあわせて解説していきましょう。
元利均等返済とは、住宅ローンの返済方法の中でも一般的な方法として知られている方法です。
具体的には、元金と利息を合わせ、いつでも均等の額を返済していきます。
金利が変わらなければ毎月の返済額は一定となりますが、元金返済額と利息額の内訳は変わっていきます。
返済をはじめてまもなくのあいだはローン残高が多く、その分利息の方が多くの割合を占めていますが、返済期間が長くなるほどに利息額が減っていくことが特徴です。
メリットとしては、毎月の返済額が変わらず安定しているため、月々の返済計画が立てやすいことが挙げられます。
また、比較的毎月の返済額が少なくなりやすいことも魅力です。
元金均等返済を選んだケースと同じ金額を借りて比較する場合、毎月の負担をできるだけ抑えながら毎月明瞭な返済計画を立てられるでしょう。
デメリットは、完済に至るまでの総返済額が多くなってしまうことです。
少しずつ支払う分にはなかなか自覚しにくいものですが、総返済額を改めて計算したとき、元金均等返済に比べて数十万円の差額が出てしまうケースもめずらしくありません。
また、返済をはじめてしばらくのあいだは利息が多く、ローン残高がなかなか減っていきづらい傾向にあります。
元金均等返済は、返済額ではなく元金に着目し、元金が均等になっていくように返済する方法のことです。
毎月、定められた元金の金額に利息を上乗せし、返済していくことになります。
利息分は支払いをはじめて間もない段階が一番大きく、そのあと元金が少なくなっていくに従ってゆるやかに毎月の負担も減っていきます。
そのため元金均等返済の場合は、返済しはじめてすぐの返済額がもっとも大きくなり、そのあと長い期間返済し続ける中で返済額が減っていくのが特徴と言えるでしょう。
メリットとしては、元利均等返済に比べて元金をスムーズに減らしていける点が挙げられます。
はじめのうちは返済額が多い傾向にありますが、しっかり支払っていけば着実に減っていくため、将来的には楽になりやすいのも大きな魅力でしょう。
総返済額も、元利均等返済に比べて少なく抑えやすいので、完済時にトータルの出費を抑えたいときにもおすすめできます。
デメリットは、返済をはじめたばかりの返済額が、元利均等返済に比べ高いという点です。
実際にどのくらいの金額さが生まれるかはのちほど詳しくご紹介しますが、返済をはじめたばかりで生活費のやりくりが難しい期間と、毎月の返済額が高い期間が被ることから、はじめのうちは生活が苦しく感じられるかもしれません。
長く支払っていくうちに返済額は少しずつ減っていきますが、月々に支払う金額が変動する分、返済計画を立てづらいと感じることもあるでしょう。
元利均等返済と元金均等返済のどちらを選ぶかは、メリットとデメリットの両方を確認した上で決定しましょう。
ここからはシミュレーションとして「借入額3,000万円、固定金利1.5%、30年ローン」のケースにおけるそれぞれの返済方法の金額について考えてみましょう。
上記の条件で、それぞれの返済方法を選んだときの違いを一年目に支払う「初回返済額」、住宅ローンの支払いが完了したときの「総返済額」、総支払額のうちの「利息額」としてまとめてみました。
【元利均等返済の場合】
初回返済額……約10万4千円
総返済額……約3,727万円
利息額……727万円
【元金均等返済の場合】
初回返済額……約12万1千円
総返済額……約3,677万円
利息額……677万円
こうして見ると元利均等返済のほうが、初回返済額に比べて1万7000円安くなっていることがわかるのではないでしょうか。
しかし総返済額については、元金均等返済のほうが50万円安く抑えられています。
毎月の1万7000円の負担の差について、大きい金額と感じるか否かは生活環境によっても異なるでしょう。
利息を少なくしたいのか、一度に支払う金額を少なくしたいのかどちらを優先するか考えておきましょう。
続いて「借入額1,000万円、固定金利3%、20年ローン」のケースでも考えてみます。
【元利均等返済の場合】
初回返済額……約5万5千円
総返済額……約1331万円
利息額……331万円
【元金均等返済の場合】
初回返済額……約6万6千円
総返済額……約1301万円
利息額……301万円
こちらも、初回返済額は元利均等返済のほうが1万1000円分安くなっています。
そして総返済額は、元金均等返済のほうが30万円安くなっています。
あわせて、返済期間が長くなっていく中で返済金額がどのように変動していくのかシミュレーション例を見ていきましょう。
以下は、「借入額3,000万円、固定金利2.0%、30年ローン」の例になります。
【元利均等返済の場合】 | 返済額 | 元金 | 利息 | 借入金残高 |
返済開始時点 | 9万9,378円 | 5万291円 | 4万9,087円 | 2,940万1,997円 |
返済5年目時点 | 9万9,378円 | 5万4,476円 | 4万4,902円 | 2,688万6,816円 |
返済10年目 | 9万9,378円 | 6万201円 | 3万9,177円 | 2,344万6,504円 |
【元金均等返済の場合】 | 返済額 | 元金 | 利息 | 借入金残高 |
返済開始時点 | 12万118円 | 7万1,428円 | 4万8,690円 | 2,914万2,864円 |
返済5年目時点 | 11万4,403円 | 7万1,428円 | 4万2,975円 | 2,571万4,320円 |
返済10年目 | 10万7,261円 | 7万1,428円 | 3万5,833円 | 2,142万8,640円 |
こうして見ると、元利均等返済であれば月々の返済額は変わりませんが、元金部分は元金均等返済に比べ割合が少なく、利息の支払額も大きくなっています。
元金均等返済なら元金は変わりませんが、返済を重ねるごとに毎月の返済額も減り、借入金残高に大きく差が出ることが分かるかと思います。
一方で、1年目の毎月返済額は元利均等返済に比べて2万740円高くなっています。
さらに「ボーナス返済(半年毎増額返済)」という制度もあります。
これは、毎月の返済だけでなく6ヵ月に一度、つまりボーナスのタイミングでさらに大きな額を返済できるサービスです。
ボーナス返済をする月は決められるので、職場のボーナス支給月が6月と12月なら、7月と1月をボーナス返済月にあてるとよいでしょう。
しかし、会社の状況によってボーナスがカットされる可能性もあることを忘れてはいけません。
特に最近では、新型コロナウイルスの影響により業種を問わず厳しい経営状況に陥っている企業が少なくありません。
突然、ボーナスカットや大幅な減額となる可能性も考えられるでしょう。
ボーナスをあてにして支払予定額をむやみに大きくしてしまうと、のちのち大きな負担になりかねないので注意しましょう。
ここまで、元利均等返済と元金均等返済の違いについて解説してきました。
どちらにも異なる特徴があるからこそ、自分に向いているのがどちらなのか見極める必要があります。
まず「元利均等返済」が向いているのは、とにかく月々の返済額を抑えたい人です。
特に借入当初は、現在の出費にくわえて新たに住宅ローンの支払いをしなければならず、お財布の状態を把握するのが厳しい状態にある人もいるでしょう。
そうしたタイミングで、上記のシミュレーションで出てきたように毎月1~2万円といった大きな出費が続くとなると、負担が大きく感じられてしまいます。
月々、無理のない範囲で返済していきたい人にとって魅力的な返済方法と言えるでしょう。
また、毎月の返済額が変わらないことから、将来の家計収支を予想しやすくなりますので、はじめにきっちりとした返済計画を立て、先々を見通すことに安心感を覚える人に向いていると言えるでしょう。
続いて元金均等返済が向いているのは、多少返済額が高くなっても、余裕のあるうちに返済しておきたいと考える人です。
余裕のあるうちになるべくスムーズに元金を減らし、のちのち支払っていく額を小さくしていくことにやりがいを感じられる人には、こちらの返済方法が向いていると言えるでしょう。
また、総支払金額をできるだけ抑えたいと考えている人にもおすすめです。
手持ちの資金や貯金にある程度ゆとりがある人で、長い目で見たときに損のない返済計画にしたいのなら、元金均等返済がよいでしょう。
また、例えば現在の仕事を数年後も続けているかわからない人、収入が減ってしまう可能性がある人、出産や子育てによって出費が増える可能性がある人にもおすすめです。
現在は無理なく返済できていたとしても、将来的にも同じ状態を続けていけるとは限りません。
数年後、子どもが高校や大学へ進学することになったとき、進学先によっては思わぬ高額の教育費に驚くことがあるかもしれません。
そうした予期せぬ出費があったとしても、元金均等返済ならはじめのうちに負担を大きくしておくことで、予測しにくい将来にはある程度負担を減らしリスクを抑えることができます。
住宅ローンを決めるにあたって、金利タイプや利用する金融機関を気にする人は多いと思いますが、元利均等返済と元金均等返済のどちらを選ぶか検討することについては忘れがちではないでしょうか。
返済方法が異なることで、月々の負担や総支払額が変わっていきますので、状況にあわせてどちらの返済方法のほうがいいのか、しっかり検討すべきでしょう。
必要に応じてシミュレーションも行いながら、自分にはどちらが向いているのか考えてみてください。
]
住宅ローンをはじめ、住宅についてお悩みの方は、以下より来場にてお気軽にご相談ください。