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資金(ローン)について
2022.12.27
住宅を購入する際は、多くの人が住宅ローンを利用します。
しかし、住宅購入にかかる総額を住宅ローンだけで賄う人は少なく、多くの人が購入代金の一部を頭金として自己資金で払います。
その際には、購入総額に対して用意するべき具体的な目安を理解しておくのが望ましいでしょう。
この記事では用意するべき頭金の目安に加えて、押さえておきたいメリット・デメリットについて解説していきます。
【この記事でわかること】
・住宅を購入する際に必要な頭金の目安 ・住宅購入の際に頭金を用意するメリット・デメリット ・頭金なしでも住宅購入は可能か? |
頭金とは、住宅ローンの返済負担を減らすために、最初に支払う自己資金のことです。
頭金を用意できれば、その金額分の利息を払わなくて良いのでメリットは大きくなります。
ここでは、自己資金として500万円を用意できたケースと、同額を住宅ローンで支払うケースにおける月々の支払額、および支払総額を以下の表にまとめました。
なお、ここでは住宅ローンの金利を2%、返済年数を35年と仮定します。
自己資金で支払い | 住宅ローンで支払い | |
月々の支払額 | 0円 | 16,563円 |
支払い総額 | 500万円 | 695万6,518円 |
上記の通り、500万円を住宅ローンに組みこんでしまうと、総額で700万円近く支払うことになるでしょう。一方で、自己資金を用意できれば200万円近くお得になるともいえます。
頭金は、金融機関の承諾が取れれば本人の都合により0円でも可能ですが、手付金は必ず支払わなければなりません。これが、頭金と手付金の大きな違いといえるでしょう。
手付金は契約の成立を示す証拠金であり、一般的に物件価格の5〜10%を建築費の一部として先払いします。
買主が、売買契約後に買主の都合で解約する場合は手付金を全額放棄、宅建業者である売主の都合によって解約する場合には、手付金を倍返しで解約できます。
手付金も自己資金で支払うケースがほとんどですが、必ず支払わなければならない点と解約手付金としての機能を持つ点で、頭金とは別物であると覚えておきましょう。
「2021年度フラット35利用者調査」によると、注文住宅の購入者が用意した頭金の平均額は約596万円で、必要総額の16.7%となっています。
一般的には、物件購入価格の20%程度、火災保険や税金、手数料などの諸費用も含めると25〜30%程度を目安と考えれば良いでしょう。
頭金を20%程度用意しておく理由の1つに、物件の担保価値があります。仮に、新築した物件をすぐに売却しようとしても、購入した価格では売却できないケースがあるでしょう。
その場合、負債として残ってしまうおそれがあります。
実際にすぐ売却する可能性は低いですが、頭金が新築物件の担保価値を補填する役割を担っていることは、理解しておきましょう。
また、20%以上の頭金を用意すると返済計画が楽になり、融資条件の良い金融機関を選びやすくなる可能性もあります。このような理由から、20%程度の頭金が推奨されています。
住宅を購入する際には、物件価格以外にさまざまな諸費用がかかり、目安として物件価格の7〜10%程度が必要になります。
諸費用まで含めたオーバーローンを組める金融機関は少ないので、これら諸費用を含めて25〜30%程度の頭金を用意する方が良いといえるでしょう。
諸費用にはどのようなものがあって、いつ必要かも事前に把握しておくことが大切です。
ここでは、住宅購入時に発生する諸費用を以下にまとめました。
契約時に必要な費用 | 引渡し及び引渡し後に必要な費用 |
・印紙代
・仲介手数料 ・住宅ローンの事務手数料 ・住宅ローンの保証料 |
・火災保険・地震保険料
・登記費用 ・登録免許税 ・不動産取得税(物件取得半年後程度) |
ここでは、住宅購入の際に頭金を用意するメリットを解説していきます。
順番に見ていきましょう。
頭金を用意する一番のメリットは毎月の返済額を低く抑えられる、もしくは返済年数を短くできることです。
ここでは、3,000万円の物件を購入する場合に頭金750万円(物件価格の25%)を用意した場合と、そうでない場合を比較してみましょう。
【条件】
・物件価格:3,000万円(税込) ・諸費用:180万円(税込) ・金利:2% ・返済年数:35年 |
頭金なし (借入額3,000万円) |
頭金あり (借入額2,250万円) |
差額 (頭金750万円) |
|
月々の返済額 | 9万9,378円 | 7万4,534円 | 2万4,844円 |
支払い返済総額 | 4,173万9,108円 | 3,130万4,331円 | 1,043万4,777円 |
支払い総額(※) | 4,353万9,108円 | 4,060万4,331円 | 293万4,777円 |
※支払い返済総額に対して、最初に拠出している頭金や諸費用などの自己資金を加算
頭金を25%程度入れることによって、月々の返済額も約2万5,000円減額となり、支払い総額も約300万円減額となります。
支払い総額をさらに下げたい場合は、返済額は頭金なしと同額にしてその分返済年数を短くする方法を選択しましょう。支払い年数が短くなるので、必然的にその分の利息を払う必要がなくなり、支払い総額は少なくなります。
頭金を用意する2つ目のメリットは、金融機関によって金利が安くなるケースがあることです。
ここでは、「フラット35(住宅金融支援機構)」の例を見てみましょう。フラット35では、融資率が9割を超えているか否かで適用金利が変わってきます。
つまり、頭金を自己資金で10%以上準備できれば金利が低くなるでしょう。
融資率 | 金利の範囲 | 最も多い金利 |
9割以下 | 年1.650%〜年3.00% | 年1.650% |
9割超 | 年1.910%〜年3.26% | 年1.910% |
住宅ローン返済は長期に渡るので、わずかな金利差でも支払い総額は変わってきます。
現在は、フラット50のように長期の50年で返済計画を組むプランもあるので、わずかな金利差も無視できないといえるでしょう。
頭金を入れることで返済比率が下がり無理のない返済計画が組めるため、金融機関から高い評価を得られやすくなり、その分で住宅ローン審査に通りやすくなります。
もちろん金融機関の選択肢も広がり、優遇金利などのサービスを受けやすくなります。
頭金を用意することで多くのメリットを受けられますが、頭金を作ろうとすることによるデメリットも発生します。
上記2点について、順番に解説していきます。
3,000万円の物件を購入する場合、25%の頭金となると750万円を用意しなければなりません。
これだけの資金をゼロから用意するとなると、場合によっては10年近くの準備期間が必要になり、その間に欲しい物件がなくなったり金利が上昇したりするおそれもあります。
その結果、いつまでも自分の欲しい土地やマイホームは購入できなくなってしまうでしょう。
このように、マイホームや土地を購入することが目的ではなく、頭金を作ることが目的になってしまいます。
気に入った不動産と出会うタイミングは巡り合わせのため、金融機関の融資可能枠内であれば頭金なしであってもフルローンで借入することは可能です。
そうした場合には、将来余裕ができたときに繰上げ返済して返済額を減らしたり、返済年数を短くすることを検討しましょう。
頭金を過剰に出しすぎると、急な出費に対応できなくなることもあります。
新生活を始めるためにも、ある程度の手元資金は必要になるでしょう。
したがって、引越し費用や当座で必要な家具、家電などが十分に用意できて、普段通りの生活ができる程度の資金は手元に残しておきましょう。
頭金なしでも、住宅購入は可能です。
購入物件の費用は全額借入、与信状況によっては諸費用も含めたオーバーローンが認められるケースもあります。
金融機関は、貯蓄の積み上げに対して高く評価する傾向にあるので、そうした積み上げの結果といえる頭金は、非常に説得力を持つでしょう。
ここでは、上記2点について解説します。
頭金なしで住宅ローンを利用する場合のメリットは、住宅ローン減税で控除される額が多くなることです。
頭金なしで住宅ローン減税の控除税額を増やせば、住宅ローン残高の1%以上の税金が戻ってくる可能性もあるでしょう。
個人の収入状況によっても異なりますが、頭金を入れずに住宅ローン減税の控除税額を増やした方がメリットの多い人はいます。また、手元に資金を残せられれば、その資金を事業資金や投資運用に回して資金を増やすことも可能でしょう。
ただし、これらは頭金を準備できる人向けのメリットであり、自己資金に余裕がない状況で頭金なしのフルローンを組むことに、それほどメリットはありません。
頭金を用意しない場合のデメリットは、住宅ローンの支払い総額や月額支払い額が多くなることです。
月額の返済負担額が増えて返済比率が30%を超えるようになると、家計のバランスが崩れ基本的な生活にも影響が生じるでしょう。
また、頭金がない場合、金融機関の選択肢が狭まり優遇金利も適用されません。
したがって、仮に頭金を出さないとしても金融機関の審査をスムーズに進めるためには、ある程度の自己資金は必要といえるでしょう。
最後に、住宅購入の頭金に関するよくある質問を紹介します。
順番に見ていきましょう。
頭金を用意できれば、頭金の方が望ましいでしょう。なぜなら、同じ金額であったとしても繰上げ返済は実行するまでの間の金利を負担しているからです。
したがって、損得を考えた場合には頭金の方がお得といえるでしょう。
頭金にプラスして、その額の20%程度(1.2倍程度)の金額は、手元資金として貯蓄しておくと良いでしょう。
新生活に備えるための費用や万が一の資金的な余裕は、健全に生活していく上で必要です。貯金をすべて頭金に回すことは避けましょう。
家の価格が3,000万円・4,000万円では、いずれも25%が理想です。
3,000万円であれば750万円、4,000万円であれば1,000万円になります。したがって、物件購入価格に対して20%前後、諸費用5〜10%を目安とすると良いでしょう。
住宅購入の際は、なるべく頭金を準備して無理のない返済計画を組みましょう。場合によっては、住宅取得資金贈与の特例を利用することも検討してください。
両親や祖父母などの協力を得られれば500万円、一定の優良建物の基準を満たしていれば最大1,000万円の特例を受けられます。
自分の生活を見据えて適切な額の頭金を準備し、住宅ローン減税の特例も併用しながら無理のない返済計画を立てましょう。
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