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2023.02.28
この記事では、長期譲渡所得や税額の計算方法などを解説していきます。
所有している不動産を売却する場合、購入したときの価格よりも高く売れた場合は利益に対して税金が発生します。この利益を譲渡所得と呼び、所有期間に応じて長期譲渡所得と短期譲渡所得の2種類があります。
この記事では、譲渡所得にかかる税金の計算方法や特例に加えて節税方法も解説するので、所有不動産の売却を考えている人はぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
● 長期譲渡所得とは? ● 長期譲渡所得と短期譲渡所得の違い ● 長期譲渡所得の計算方法 ● 長期譲渡所得の特例 |
長期譲渡所得とは、マイホームや土地を売却して発生した譲渡所得のうち、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える土地や建物を売却したときの利益です。
売却した日から5年を経過しただけでは、長期譲渡所得にならない点に注意しましょう。
長期譲渡所得と短期譲渡所得の違いは、譲渡した年の1月1日時点の所有期間が異なる点にあります。
長期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日時点での所有期間が5年間を超えている場合の譲渡所得です。また、短期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日時点での所有期間が5年以下の譲渡所得です。
所有期間が異なることによって、税率も大きく変わってきます。
以下で、税率と期間についてポイントをまとめています。
1つずつ解説していきます。
長期譲渡所得と短期譲渡所得では、発生した利益に対して課税される税率が大きく違います。
まずは、それぞれの税率を把握してください。
<譲渡所得税の税率>
長期譲渡所得税率 | 短期譲渡所得税率 |
20.315% | 39.63% |
短期譲渡所得は、長期譲渡所得の倍近い税率であることを認識しましょう。そのため、不動産売却のタイミングを間違えると、大きな損失が生まれてしまいます。
次に、譲渡所得税の中身を見ていきましょう。譲渡所得税は「所得税(復興特別所得税を含む)+住民税」で構成されます。
長期譲渡所得 | 短期譲渡所得 | |
所得税(復興特別税含む) | 15.315% | 30.63% |
住民税 | 5% | 9% |
計 | 20.315% | 39.63% |
※参考:長期譲渡所得の税額の計算|国税庁
※参考:短期譲渡所得の税額の計算|国税庁
復興特別所得税は、東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するために創設された税金です。平成25年から令和19年までの間、全ての納税者に課税されます。
復興特別所得税の税額は、基準所得税額の2.1%です。
長期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日時点での所有期間が5年間を超えている場合の譲渡所得のことをいいます。
短期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日時点での所有期間が5年以下の譲渡所得です。
例えば、取得日が2018年2月1日、売却日が2023年2月13日の場合を考えます。この場合、所有期間は5年を超えているため、長期譲渡所得のように見えますが、2023年1月1日時点では5年を超えていないので、実際は短期譲渡所得となります。
つまり、2024年1月1日以降でないと長期譲渡所得になりません。このように、誤って申告すると税率が倍近く異なるので注意しましょう。
ここでは、長期譲渡所得の税額の計算方法を見ていきましょう。計算式は以下の通りです。
税額={譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除}×税率 |
譲渡価額は不動産を売った金額のことです。売却した金額から、費用として控除できる項目があります。
上記の項目を控除して得た金額に税率を掛けて税額を求めます。
取得費とは、土地や建物を取得するためにかかった費用のことです。土地の場合は購入価格、建物の場合は購入代金、または建築代金から減価償却費相当額を差し引いた金額です。
取得費を求める計算式は、以下の通りです。
取得費=土地購入代金+(建物代金−減価償却費相当額) |
減価償却費相当額を求める計算式は以下の通りです。
減価償却費相当額=建物取得価額×0.9×償却率×経過年数 |
償却率は建物構造や使用用途が事業用か非事業用かによって異なります。売却したい建物の構造や事業用か否かはチェックしましょう。
マイホームは非事業用建物に分類されます。構造ごとに決められている非事業用建物の償却率は以下の通りです。
<非事業用建物の償却率>
建物の構造 | 償却率(%) |
木造 | 0.031 |
木造(モルタル) | 0.034 |
(鉄骨)鉄筋コンクリート造 | 0.015 |
鉄骨造(鉄骨の厚み3mm以下) | 0.036 |
鉄骨造(鉄骨の厚み3mm超〜4mm | 0.025 |
経過年数は、6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月未満の端数は切り捨てて計算します。
譲渡費用とは、不動産を売却するときに発生する費用のことで、具体的には以下が該当します。
上記の費用も、長期譲渡所得にかかる税額を低減してくれます。
特別控除は、土地や建物を売却するときに一定の要件をクリアすれば、譲渡価額から一定額を差し引いてくれる控除です。
いずれも高額の控除のため、自分の売買に適用されるか否かを以下で十分に確かめましょう。
ここでは、前述した長期譲渡所得の特例(特別控除)を見ていきます。
紹介する特例は、以下の4つです。
1つずつ解説します。
居住用財産であるマイホームを令和5年12月31日までに売却して新たにマイホームを買ったとき、一定要件を満たせば特例を利用できます。
特例は、買い換えたマイホームを将来売却するときまで譲渡益に対する課税を繰り延べられるものです。ただし、最初の売却時の譲渡税は非課税になるわけではなく、買い換えたマイホームを将来売却するときに上乗せして課税されることに注意しましょう。
特例を受けられる適用要件は、以下の通りです。
※:断熱等性能等級4以上及び一次エネルギー消費量等級4以上であることを指す
上記の要件を満たすかチェックし、必要に応じて特例を利用しましょう。
10年超所有軽減税率の特例は、自分が居住していたマイホームを売却したときに、その不動産を10年超で所有していれば税率を軽減してくれるものです。
10年超所有軽減税率の特例が持つ最大のメリットは、居住用財産の3,000万円の特例と併用できることです。
以下の表で軽減される税率を確認しましょう。
<10年超所有軽減税率>
譲渡所得が6,000万円以下 |
譲渡所得が6,000万円超 | ||
6,000万円以下の部分 | 6,000万円超の部分 | ||
所得税(復興特別税含む) | 10.21% | 10.21% | 15.315% |
住民税 | 4% | 4% | 5% |
計 | 14.21% | 14.21% | 20.315% |
譲渡所得が6,000万円以下の場合、税率が6%以上軽減されるため、忘れず利用しましょう。
居住用財産の3,000万円特別控除とは、マイホームを売却したときに、所有期間の長さに関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度のことです。
この特例が受けられる要件は以下の通りです。
控除額が大きいため、特例が受けられるかどうかを十分に確認しましょう。
空き家の3,000万円特別控除とは、相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋(空き家)またはその敷地を期間内に売却する場合に、所定の金額を控除できる制度です。
対象となる売却の期間は平成28年4月1日から令和5年12月31日までです。譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除されます。
控除されるためには、下記の要件を満たす必要があります。
※参考:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
特例の適用要件が煩雑であるため、事前に税務署や税理士に特例が受けられるか否かを確認すると良いでしょう。
ここでは、長期譲渡所得税にかかる税額をシミュレーションしていきます。
3,000万円の特別控除が適用できる場合とできない場合をシミュレーションします。設定する条件は以下の通りです。
【条件1:譲渡価額など】
● 取得日:2018年2月1日 ● 売却日:2024年1月15日(購入後15年経過) ● 譲渡価額:6,000万円 ● 取得費:3,744万5,000円 ● 譲渡費用:500万円 |
【条件2:売却物件の購入時期・価格など】
● 土地価格:2,000万円 ● 建物価格:3,000万円 ● 建物構造:木造 |
税額の計算式を整理します。
減価償却費相当額 | 建物取得価額×0.9×償却率×経過年数 |
取得費 | 土地購入代金+(建物代金−減価償却費相当額) |
長期譲渡所得税額 | {譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除}×税率 |
この計算式より、減価償却費相当額と取得費は以下の通りです。
減価償却費相当額 | 3,000万円×0.9×0.031(木造償却率)×15年=1255万5,000円 |
取得費 | 2,000万円+(3,000万円−1,255万5,000円)=3,744万5,000円 |
続いて、長期譲渡所得税額を、3,000万円の特別控除が適用できる場合とそうでない場合について整理します。
<3,000万円の特別控除が適用できる場合>
長期譲渡所得税額 | {6,000万円−(3,744万5,000円+500万円)−3,000万円}×20.315%=0円 |
3,000万円控除があるため、課税譲渡所得金額が0円になり譲渡所得税は課税されません。
<3,000万円の特別控除が適用できない場合>
長期譲渡所得税額 | {6,000万円−(3,744万5,000円+500万円)−0円}×20.315%=356万6,298円 |
納付税額は100円未満切り捨てで計算されるので、356万6,200円です。
3,000万円の特別控除の有無によって、納税額が350万円以上も異なります。
したがって、利用できる特別控除はぜひ利用しましょう。
長期譲渡所得についてよくある質問は以下の通りです。
それぞれ回答していきます。
マイホームを売却して譲渡所得が発生する場合(売却益が発生する場合)は、確定申告が必要です。
逆に、譲渡損失が発生した場合(売却損が発生する場合)は、納税額はゼロになり確定申告は不要です。
ただし、納税額がゼロであっても、特例を適用した場合には確定申告が必要になるので忘れず申告しましょう。
相続した土地を3年以内に売却すれば、相続税の取得費加算の特例が適用できて節税になります。
この特例は、譲渡所得税を計算する際に譲渡価額から控除される取得費に相続税の一部を上乗せできる制度です。
相続した不動産3年以内の売買の場合には、ぜひ利用しましょう。
所得税の課税所得金額を計算する場合、全ての人の所得金額から48万円の基礎控除が認められています。
すなわち、譲渡所得などの金額が48万円以下の場合、税金は課税されず確定申告の必要もありません。
不動産を売却すると売却益が発生しますが、売却した不動産の所有期間に応じてその売却益に対して譲渡所得税が発生します。
譲渡所得税の税率は5年以内の短期譲渡所得のほうが高く、投資目的で購入した不動産をすぐ売却する場合、40%近い税率が適用されてしまいます。
5年を超える長期譲渡所得の場合でも20%を超える税率が適用されるので、この記事で紹介した特例や特別控除を活用して節税しましょう。
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