Blog / Column
スタッフブログ・コラム
家づくりコラム
資金(ローン)について
2021.11.30
住宅購入をする際に多くの方が住宅ローンを利用されます。
しかし、住宅ローンは必ず使わなければならないというわけではなく、戸建てを現金一括で買うことにもメリットはいくつかあります。
ただし、実際にはデメリットもあるため、必ずしも「現金一括でマイホームを手に入れるべきだ」とは断言できません。
実際にローンを組まないことで得られる利点もあるものの、欠点も忘れてはなりません。
今回の記事ではこれから家を購入する方に向けて、一括購入のメリット・デメリットの観点から解説します。
なかには現金一括で取得できる余裕があったとしても住宅ローンを組んだ方がお得な場合もあるため、専門家などとも相談しながら慎重に判断していきましょう。
まずは住宅ローン利用時にかかるお金について知っておきましょう。
住宅ローン利用時には、金利だけではなく諸経費もかかります。
諸費用は利用する住宅ローンによっても変わるため、自身の条件に合わせて諸経費を計算する必要があります。
ここでは仮に3,000万円の住宅ローンを組んだ場合にどれくらいのお金がかかるのかを紹介します。
まずは以下の諸経費一覧をご覧ください。
以上で挙げた住宅ローン利用時のお金はあくまでも一例となるのですが、諸経費だけでも数10万円~100万円近くかかる場合があります。
住宅ローンを利用すれば金利分もお金が必要となりますし条件次第でさらにお金がかさむこともあります。
単に現金一括購入とはいっても土地と建物の代金を用意すれば良いということでもありません。
余裕のある資金計画を立てておく必要があります。
現金一括で購入する際はメリットもいくつかあります。
ここからは現金一括購入のメリットを1つずつまとめるので、ぜひ参考になさってください。
現金一括購入の場合、面倒で手間のかかる手続きを削減できます。
契約の段階で必要となる手続きがあるのですべて省略できるわけではありませんが、それでも現金一括購入なら購入から入居までが早いです。
そのため、すぐにでも新生活を始めたい方に最適です。
現金一括購入なら住宅ローンを借りる必要がないため、審査も受けずに済みます。
住宅ローンを借りるためには審査に通らなくてはならず、なかには適正ではないと判断されて審査に落とされることもあります。
現金一括購入ならそれら煩わしい審査も必要ありません。
現金一括購入であれば住宅ローンはもちろん金利もかかりません。
住宅ローンを借りるとなると融資だけで数千万円かかり、そこに金利が数百万円ほど上乗せされます。
現金一括購入で取得すればそもそもそれら住宅ローンを組む必要もないため、金利を払う必要もありません。
つまり、それは経済的な負担が減ることを意味します。
また、契約の際にかかる諸経費も最小限に抑えられます。
多額の住宅ローンを抱えながら生活するのは決して楽ではありません。
毎月の返済が数年数十年と続くため、人によっては「病気や怪我で働けなくなったらどうしよう」と不安になる方も少なくありません。
それらが心配で肉体的にも精神的にも気が休まらない方もいるくらいです。
しかし、現金一括購入しておけば少なくとも路頭に迷うことはありません。
その最後のセーフティゾーンを守れるだけで、体も心も楽になります。これは現金一括購入の大きな魅力といえるでしょう。
融資を受ける際、返済負担率というものが設定されています。
これは本人の年収を基準に定められているもので、原則として年収に対して30~35%を超える融資は受けられないようになっています。
住宅ローンを組むと、返済負担率をかなり圧迫してしまうため、ほかの融資を受けようと思った際に足枷となることもあるわけです。
しかし、現金一括購入しておけば、そもそも住宅ローンの返済がないため、カーローンなどの審査に通りやすくなります。
家のほかに何か大きな買い物をしようと考えている方は、そういった点でも現金一括購入の恩恵を受けられるのではないでしょうか。
現金一括で購入する際はデメリットも忘れてはなりません。
ここからは現金一括購入のデメリットを注意点と併せてまとめるので、ぜひ参考になさってください。
現金一括購入は住宅ローンを組まないため、住宅ローン控除を受けられません。
住宅ローン控除は住宅ローン残高に応じて1%までを所得税や住民税から控除できる制度です。
年間40万円前と定められているものの、住宅ローン控除は10年間(一定条件を満たした場合13年間)適用されますので、満額まで控除できれば相当な節税効果を生みます。
しかし、現金一括購入であればそれら住宅ローン控除の恩恵を丸ごと手放すことになってしまいます。
住宅ローン控除についての詳細はこちら
現金一括購入を行うと国や自治体の給付金や補助金を受けられなくなる可能性があります。
たとえば、消費税引き上げ分の負担を減らす目的で実施された「すまい給付金」などが受けられなくなることがあります。
それら補助金が受けられないのも痛手です。
現金一括購入は長い目で見るとお金にも余裕が生まれやすくなるわけですが、短い目で見るとお金に余裕が亡くなるかもしれません。
苦労して貯めた貯金をすべてマイホームの購入資金に充てた場合、貯金が付きてしまったという状況にもなりかねません。
そうなると当面の生活で苦労することも増えます。
あくまでも現金一括購入は余裕のある方が行うべきものであり、余裕がない方が行うと生活破綻のリスクが潜んでいるわけです。
税務署は不穏なお金の動きに目を光らせています。
そのため、現金一括購入をすると税務署から連絡や「お買いになった資産の買い入れ価格などについてのお尋ね」という文書が送られてくることもあります。
ほとんどは相続や贈与の有無などを確認するための連絡なのですが、場合によっては不正な資金が使用されていないかどうかの税務調査が入ることもあるわけです。
そのため、資金の流れがわかる書類などをあらかじめ管理しておくことをおすすめします。
住宅ローンを組む際は保険への加入が条件となっていることも多いですが、現金一括購入の場合は任意となります。
そのため、火災保険や地震保険などに加入し忘れてしまう方もいます。
保険は必要なければ加入する必要もありませんが、火災保険や地震保険は最低でも加入しておくべき保険といえるでしょう。
特に、現金一括購入だと忘れがちなので、注意してください。
住宅ローン利用時にはどれくらいのお金がかかるのでしょうか。
ここからは3,000万円の住宅ローンを頭金200万円、返済期間35年、固定金利1.5%、元利均等返済で組んだと仮定してシミュレーションを紹介します。
なお、この場合は頭金を差し引いた2,800万円の融資を受けることになるわけですが、その際の諸費用は約100万円かかることを前提とします。
詳しい諸経費は前述の項目「住宅ローン利用時にはこれだけお金がかかる」をご参照ください。
今回の一例で考えると、完済までの総返済額は約3,600万円となります。
そこに諸経費の約100万円が追加されるため、合計で約3,700万円かかることになります。
もしも、仮に現金一括購入をしていた場合は3,000万円だけで済むので、その差額700万円を無駄に支払うこととなります。
そのため、マイホームの購入資金を準備できるということなら、一括で支払ってしまった方が楽ではあります。
しかし、住宅ローン控除を10年間適用すれば、差額700万円のところ約400~500万円まで圧縮可能です。
より頭金を多く用意できれば金利も抑えられる住宅ローンもいくつかあるため、条件次第では現金一括購入とさほど差が大きくならない場合もあります。
現金一括購入の方が経済的に楽になるのは事実ですが、人によっては住宅ローンという選択肢もありです。
住宅ローンはすべての負担をそのまま背負わなくてはならないわけではありません。
事実、公式な制度として住宅ローン減税とよばれるものも用意されています。
これは前述の住宅ローン控除と同じものであり、年間40万円の控除、10年間で400万円の控除を受けられる制度となっています。
むしろ住宅ローン控除を満額で受けられるのなら、現金一括購入をすることで逆にその恩恵を受けられなくなる可能性もあるので注意しましょう。
年間40万円の控除は所得税や住民税から差し引かれるため、それだけでも大きな節税効果となります。
それを10年継続すれば400万円の控除が所得税や住民税から差し引かれるわけです。
これらのメリットは現金一括購入では受けられません。
むしろ住宅ローン減税だけで見ると現金一括購入することがデメリットに繋がる場合もあるわけです。
住宅ローン減税を受けることが前提なら、現金一括購入に慎重になるべきです。
もし、これら税金の計算がわからないという場合は、税理士などのプロにも相談しながら決めることをおすすめします。
戸建てを現金一括で買うメリットは十二分にあります。
購入から入居まで早いのはもちろん、住宅ローンの審査もなく経済的負担も少なくなります。
家の現金一括購入では住宅ローンを借りずに済むため、肉体的にも精神的にも楽なだけでなく他の融資も受けやすくなるのが強みです。
ただし、現金一括購入することで住宅ローン控除を受けられず、助成金や補助金も受けられないなどのデメリットもあります。
また、手持ちの資金が少なくなったり、税務調査が入ったりする可能瀬もあります。
それだけでなく保険への加入を忘れることもあるので、その点は十分に注意してどちらの選択肢を選ぶか考えてみましょう。
土地探しに不安がある、住宅資金に不安がある、家づくりをしたいが何から始めれば良いか分からないなど住宅についてのお悩みがある方は、以下より来場にてお気軽にご相談ください。