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資金(ローン)について
2021.12.28
住宅ローンは入念な返済計画を立て、金融機関の審査を乗り越えてこそ契約できるものです。
そのため、人生が順調であれば問題なく完済できるようになっています。
しかし、実際には努めている職場が倒産したり、自営業が立ち行かなくなったり、病気をしたり、怪我をしたり、人生にはハプニングもつきものです。
それゆえ、住宅ローンが払えなくなることも決して珍しいことではありません。
しかし、当然ながら住宅ローンが払えなくなるとリスクも大きく、最悪の場合はせっかく手に入れたマイホームを手放すことになってしまいます。
だからこそ、住宅ローンを払えなくなったらどうなってしまうのかを知っておく必要があります。
今回は現在進行形で住宅ローンを組んでいる人はもちろんこれから住宅ローンを借りる人にも向けて、住宅ローンを払えなくなった場合にどうすれば良いのかについて解説します。
ここでは特に、住宅ローンが払えなくなる原因や払えなくなる前の予防、払えなくなった際の対策などについて説明します。
この記事を読めば先の見えない将来に備えられるので、リスクを回避できるよう早目に手を打つことを心がけましょう。
住宅ローンを払えなくなった場合、滞納状況によって債務者に起こることが変わってきます。
最初は問題なかったとしても、滞納を重ねていくうちに追い込まれ、最後には自分の家が競売にかけられてしまうこともあります。
まずは住宅ローンの返済を滞納した際、債務者にどのようなことが起こるのかを見ていきましょう。
まずは住宅ローンを滞納するとどのような流れで競売にかけられてしまうのかをご紹介します。
以下はそれらの流れを大まかに6つに分けてまとめたものです。
起こること1 | 住宅ローンを延滞する |
起こること2 | 金融機関から債務者に督促状・催告書が届く(約3ヵ月) |
起こること3 | 金融機関から保証会社へ一括返済請求される(約6ヵ月) |
起こること4 | 保証会社から金融機関に対して残高が返済される |
起こること5 | 保証会社が債務者に不動産競売の申し立てする |
起こること6 | 競売にかけられる |
以上からもわかるように、住宅ローンを滞納したからと言っていきなり競売にかけられるわけではありません。
しかし、住宅ローンを滞納することで金融機関から債務者に督促状・催告書が届き、保証会社へは一括返済請求が実行されます。
これらは約3~6ヵ月ほど滞納すると実行されるもので、さらに滞納を続けると取り返しのつかないことになります。
事実、滞納がずっと続いた場合、保証会社から金融機関に対して残高が返済されてしまいます。
こうなると保証会社も債務者に対して不動産競売の申し立てをしなくてはなりません。
その結果、物件が競売にかけられてしまうことになるのです。
その一方で競売までには猶予があるため、事態が深刻になる前に金融機関等へ相談することをおすすめします。
では、住宅ローンを払えなかった場合にはどのようなリスクがあるのでしょうか。
具体的には、以下のリスクがあります。
▼信用情報機関へ登録
住宅ローンを払えなかった場合、信用情報機関へ登録されます。
これらはいわゆるブラックリストとよばれるもので、一度でも掲載されると債務者が滞納した記録が金融機関に共有されてしまいます。
その結果、クレジットカードを持てなくなったり、ほかのローンを組めなくなったり、さまざまな影響によるリスクが発生します。
▼全額一括返済の請求
住宅ローンを払えない場合、保証会社が金融機関に対して残高の返済を行います。
一見するとそれで解決したように思えるかもしれませんが、事態は良くなるどころか悪くなる一方です。
実際に金融機関に返済をした保証会社は債務者に対し、残高の全額一括返済を請求します。
もちろんほとんどの方は全額一括返済などできるはずもなく、競売にかけられてしまうことになります。
▼対象物件の競売
住宅ローンを払わないままでいると最終的には対象物件が競売にかけられてしまいます。
競売で住宅ローンの残高を補えれば良いのですが、実際には相場の約50~70%まで物件としての価値は下がってしまいます。
そのため、住宅ローンを完済できないという事態にも発展するわけです。
そうなれば家を手放した後も返済を続けなくてはならず、返済計画はおろか人生計画すらも頓挫する可能性が出てきてしまいます。
▼損害金の発生
競売にかけられたとしても返済が続くことがあるのはもちろん、状況によっては損害金を支払わなくてはならない場合もあります。
これらは遅延したことに対する損害金とされ、返済日の翌日から遅延している元金に対して年14~14.6%ほどの利息がかかります。
遅延機関が長引くほど損害金も大きくなるため、住宅ローンが返済できない場合は一刻も早く金融機関に相談することが必須です。
住宅ローンを完済した人からすれば「延滞など言語道断」と思うかもしれませんが、人生は何があるかわかりません。
実際に住宅ローンが払えなくなる理由や原因も多数存在します。
以下はその代表的な例です。
金融機関では適正な返済計画かどうか審査した上で、住宅ローンの融資を実行します。
しかし、人によっては返済負担率が適正ではなく、借入可能額の上限まで借りている場合もあります。
その場合、適正借入額を大幅に超えていて、返済に無理が生じることもあるわけです。
勤め先の会社が倒産したり、勤め先の企業からリストラされたり、誰もが安定収入を継続して得られるとは限りません。
特に住宅ローンは10~35年など長い返済期間となるため、その間に収入が減ってしまう可能性もあります。
その場合、返済にも無理が出てくるわけです。
健康に気をつけていたとしても、長い人生では病気や怪我をすることもあるでしょう。
単に体を傷めて働けなくなることもあれば、心を病んで働けなくなることもあります。
そういった病気や怪我は予測不可能であり、住宅ローンの滞納にも直結してしまいます。
住宅ローンが払えなくなった際、ついやってしまいがちなこともあります。
以下、住宅ローンを滞納した際にやってはいけない注意点です。
住宅ローンが払えないにもかかわらず、金融機関に相談しない方や新たな借り入れをする方、踏み倒す方、夜逃げする方などが稀にいます。
しかし、住宅ローンの滞納は何もしなければ傷口も次第に広がっていきます。
そのため、金融機関だけではなく司法書士や弁護士、消費者団体に相談できる法テラスなどを活用するのがおすすめです。
住宅ローンに関するプロであれば、何かしらの突破口を見つけてくれます。
逆に新たな借り入れをしたり、踏み倒したり、夜逃げしたりするのは絶対に避けてください。
新たな借り入れは元本や利息が増えるだけで解決にはつながりませんし、踏み倒したり夜逃げしたりしても競売からは逃れられません。
そこは滞納を受け入れ、現状でできるベストな方法を模索すべきです。
実際に住宅ローンを払えなくなった際にはどう対処するのが良いのでしょうか。
ここからは返済できなくなった場合にどう対処すべきなのかをまとめます。
特にここでは「住宅を手放したくない場合」と「住宅を手放してもいい場合」の2つの観点から見ていきましょう。
まず住宅を手放したくない場合はリースバックという方法をおすすめします。
リースバックは売却した自身の物件を賃貸として住み続ける方法です。
つまり、第三者に家を購入してもらい、家賃を支払いながら生活するという方法なのです。
リースバックなら引っ越しをする必要もありませんし、近所の人にも知られずに済むので安心です。
最終的には買い戻すこともできるので、一度、賃貸に切り替えて資金を貯蓄するのも1つの方法です。
また、親子間売買や親族間売買も活用可能です。
この方法なら親子間や親戚間で売買でき、身内に引き渡すことで継続して住めます。
そのため、もし身内がいるのなら家族間で売買できないか検討してみましょう。
ただし、これらの売買は融資してくれる金融機関は少なく、家族間でのトラブルにもつながりやすいです。その点も加味して検討すべきです。
そのほか、個人再生という方法もあります。
個人再生の手続きには債務者が家を手放さずに済むよう、住宅ローン特則が設けられています。
こちらを利用すれば住宅ローンを支払うことを条件として、物件を手放さずに済むのです。
ただ、個人再生には条件もいくつかあるため、金融機関ごとに確認が必要です。
もし住宅を手放してもいい場合は任意売却という方法があります。
本来、住宅ローンを滞納し続けると競売にかけられてしまうのですが、その前に自身にて任意売却するという選択肢です。
任意売却であれば市場価格に近い価格で売却できることが多く、滞納などの事情も知られずに手放せます。
それだけではなく、持ち出し金も一切なく、早目に対処することで住宅ローンの残高も少なくなる可能性すら出てきます。
さらには無理のない範囲で分割返済ができますし、何より自分の意思で手放せるわけです。
本来、住宅ローンは完済することが前提です。
そのため、返済が滞りそうになる前に最善を尽くすことが重要です。
以下に、住宅ローンを支払えなくなる前にやっておくべきことを簡単にまとめます。
住宅ローンは予測不可能な事態に巻き込まれて返済不能となる場合もあります。
しかし、毎日の生活そのものに無理があり、浪費をしている可能性も否めません。
そのため、まずは収入と支出のバランスが適正かどうかを見直してみましょう。
住宅ローンは固定金利や変動金利などの利息があるわけですが、これらが高い時期に契約をしてしまった場合は経済的負担も大きいです。
そのため、安い利息の住宅ローンに借り換えるという方法もあります。
この方法だと手数料などの諸費用がかかるものの、返済総額を減らせる可能性があります。
▼住宅ローンを借り換えた場合の効果とシミュレーション
仮に元利均等返済で30年、金利3%で3,000万円借り入れている場合、月々の返済額は約12万6,481円となります。
しかし、金利を1.2%のものに借り換えた場合、月々の返済額は約9万9,272円となります。このように住宅ローンの借り換えはかなり有効です。
返済が難しくなりそうな場合は保険や給付金が受け取れないかどうか確認することも大切です。
たとえば、住宅ローン契約時に加入する団体信用生命保険などは万が一の理由で高度障害となったり死亡したりした場合、住宅ローンの返済を肩代わりしてくれます。
利用できる保険や給付金は最大限に活用しましょう。
最終的にどうしても支払いが困難ということなら金融機関への相談が必須です。
金融機関によっては返済計画の変更に対応してくれることもあるため、生活が苦しくなってきた場合は自身が契約している金融機関に事情を相談するのもおすすめです。
▼住宅ローンの支払い計画を変更した場合の効果とシミュレーション
仮に元利均等返済で30年、金利1%で3,000万円借り入れる場合、月々の返済額は約9万6,491円となります。
しかし、期間を35年に変更した場合、月々の返済額は約8万4,685円となります。
このように金融機関に相談して返済計画を変更するのも有効です。
住宅ローンを払えなくなった際、最悪の場合は夢のマイホームが競売にかけられてしまいます。
いきなり競売にかけられるということはありませんが、約3~6ヵ月ほど滞納すると最悪の事態に陥ってしまう可能性があります。
そのため、もし住宅ローンが困難となった場合は、まず金融機関に相談しましょう。
ただし、住宅を手放しても構わないのか手放したくないのかによって対処が変わるため、自分がどうしたいのかを考える必要があります。
金融機関だけではなく法テラスを通して専門家にも相談するなど、何かしらの解決につながらないか考えてみることが大事です。
土地探しに不安がある、住宅資金に不安がある、家づくりをしたいが何から始めれば良いか分からないなど住宅についてのお悩みがある方は、以下より来場にてお気軽にご相談ください。