Blog / Column
2022.08.25
住宅を取得する際、頭金が絶対必要かどうかを気にしている方も多いのではないでしょうか。 土地を購入して建物を建築するとなると数百万円単位、数千万円単位でお金が必要となります。 それらをすべて現金で用意できる方はあまりいないため、多くの方は住宅ローンを組むという選択肢を選びます。 しかし、それら住宅ローンの負担を少しでも減らしたいということなら、頭金を用意しておくのがおすすめです。 今回の記事ではそれら頭金として準備すべき金額目安はもちろん、貯金しておくメリット・デメリットについても解説します。 頭金がなくてもそこまで問題はないものの、やはりあった方が安心なので、余力がある方は今からでも備えられるよう、計画を進めておきましょう。 頭金とは? 夢のマイホームを手に入れる時、多くの方は住宅ローンを組みます。 住宅ローンとは金融機関から融資を受けることなので、返済することが前提となります。 あらかじめ貯金しておけば、それを頭金として活用可能です。 頭金というのは自己資金として支払う分のことで、頭金を多く用意すればするほど住宅ローンの負担も減ります。 また、家を取得する際は単に着工金や中間金や竣工金だけではなく、税金や手数料などもかかります。 これらの諸費用は原則現金で払うものとされ、それらの観点からも現金で貯金しておくことが必要です。 もちろん、頭金がなくとも住宅ローンは組めるのですが、頭金があることによって享受できるメリットもあります。 だからこそ、貯蓄や投資をする余裕があれば、頭金に回すということも考えておくことがおすすめです。 頭金の目安は? では、頭金はどれくらい準備しておくのが良いのでしょうか。 これに関しては人によって取得予定の住宅が異なるため、厳密な数字では表現が難しいです。 しかし、世間一般では「1~2割」を備えておくべきだといわれています。 つまり、住宅ローンを3,000万円ほど融資してもらうということなら、300~600万円はあった方が良いということです。 しかし、人によって頭金の目安というのは変わってきます。 仮に年収が低く今後も上がりそうにない方の場合、頭金を少しでも多く用意して住宅ローンの返済額を下げるのが理想といえます。 逆に年収が高く今後も下がることがない方は、頭金が少なくても問題はありません。 実際に頭金が200万円未満という方も少なくありませんし、逆に200~600万円という方も少なくありません。 欲をいえば600~1,000万円ほどは貯金しておきたいのですが、若い夫婦の場合現実的ではないでしょう。 なかには1,000~1,500万円以上も用意している方がいるのですが、必ずしもそこまで準備すべきとはいいません。 あくまでも頭金は今の生活を壊すことのないように貯めていくのがセオリーです。 無理に貯金に回して普段の生活が回らなくなってしまっては本末転倒です。 目安こそ1~2割といわれているものの、無理のない範囲で貯めましょう。 仮に頭金が0円であっても融資にすべて落ちるということは稀なので、「必要であれば備えておく」という感覚でも十分です。 ただし、頭金があればあるほど住宅ローンの返済総額は減りますし、毎月返済額も減ります。 経済的負担を考慮するなら、頭金はあった方が良いという結論に至るでしょう。 頭金を多く用意するメリット では、具体的に頭金を多く用意するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。 基本的に頭金を用意するデメリットはありません。 たくさんの現金があれば選択肢も増えますし、何より住宅ローンを組んでも生活基盤が崩れることもありません。 ただし、具体的な数字で見ないと実感も湧かないので、ここでは頭金を用意することによってどれくらい経済的負担が減るのかという点をまとめます。 1.借入額4,000万円、適用金利1.4%、返済期間35年の場合 仮に借入額4,000万円の場合、頭金を用意していないと毎月返済額は12万523円となります。 逆に頭金を800万円ほど準備できる場合、借入額を3,200万円まで抑えられて毎月返済額も9万6,419円となるわけです。 その差は、実に約2万4,000円以上となる計算です。 返済総額に関しても頭金がない場合は約5,062万円となるものの、頭金が800万円あれば約4,850万円まで抑えられる計算となります。 つまりは頭金が800万円あるだけで、合計約212万円の差が生まれるわけです。 これが1,000万円の頭金となればその効果はより大きくなり、半額の2,000万円まで頭金とすればその効果は計り知れません。 もちろん、これはあくまでも一例に過ぎないのですが、頭金を準備するだけで得られる効果が大きいことはわかっていただけたはずです。 2.借入額3,500万円、適用金利1.0%、返済期間35年の場合 もう1つの例でも見てみましょう。 仮に借入額3,500万円の場合、頭金を100万円用意しておくと借入額は3,400万円となり、毎月返済額が9万5,977円、返済総額が約4,031万円となります。 これを頭金700万円まで準備したとすると借入額は2,800万円となり、毎月返済額が7万9,039円、返済総額が約3,319万円となります。 一見するとそこまで差がないように思えるかもしれませんが、それでも毎月約1万7,000円の差は大きいです。 もちろん、元利均等返済なのか元金均等返済なのかなど、返済方法によっても違いが生まれるものの、合計で見るとその差は歴然といえるでしょう。 近年は低金利時代が長らく続いているので、頭金の効果はそこまで大きくないといわれています。 しかし、それでも住宅ローンは数百万円数千万円という単位で契約するため、少しでも借入額は少なくできるのが理想です。 頭金の注意点 頭金はただ貯めておけば良いというものではありません。 それこそ普段の生活を削ってまで頭金を捻出する必要はありません。 そのほかにもいくつか知っておきたい注意点があります。 最後にそれら頭金の注意点についてお伝えしましょう。 支払いタイミング 頭金を支払うタイミングは「契約締結日・融資実行日」となります。 そのため、実際に家を契約すると決めて、引き割らされた時に支払うのが一般的ということです。 しかし、新築住宅の場合はそのケースが多いですが、中古住宅などは申し込みの段階で手始めに10万円ほど現金が必要となることがあります。 これはマンションやアパートでも同様です。 さらに、その後に頭金とは別の手付金を物件価格の0.5~1割ほど支払わなくてはなりません。 つまり、それらも含めて頭金を用意しておかないと間に合わないわけです。 そのため、頭金を支払うタイミングがいつなのかをあらかじめ確認しておく必要があります。 特に詳細を聞いていない場合は、契約する工務店・ハウスメーカー・金融機関に事前に聞いておくと安心です。 諸経費も忘れないように ここまで頭金について知ると手持ちの自己資金をすべて頭金にしておいた方が良いと考える人もいるかもしれません。 しかし、それはおすすめできません。 なぜなら住宅の契約時や引き渡し時には税金や手数料がかかるためです。 不動産業者に仲介してもらった場合は仲介手数料がかかりますし、金融機関で住宅ローンを組む場合は借入手数料などもかかります。 そのほかにも印紙税などがかかるため、頭金を用意する際は諸経費も忘れてはなりません。 なかでも税金や手数料は意外と重荷となるので、頭金のほかに1割ほど準備しておくのが安心です。 頭金を用意しないリスク なかには頭金を用意しなくても良いと考えている方がいるかもしれません。 これに関しては頭金を用意せずとも住宅ローンは組めるので、普通に働いている方であれば問題はないといえるでしょう。 しかし、逆に頭金を準備していないことで想定されるリスクもあります。 まず、頭金をまったく貯めていないと借入額が増えてしまいます。 逆に借入額が高くても頭金があれば低くできるということです。 これは前述の通りなのですが、当初は4,000万円融資してもらう予定であったものの、頭金を1,000万円用意しておけば3,000万円の融資で済みます。 これらは単純に返済総額を減らすことにつながりますし、何より利息の影響も避けられます。 借入額が大きければ大きいほど利息の影響も大きいため、頭金がないとすべての利息を払わなければならない状況になります。 また、仮に住宅ローンの支払いが困難となった場合は金融機関が対象の物件を取得して売却するのですが、それでも住宅ローンが完済できない場合もあります。 そうなった場合、不足分の返済を求められてしまいます。 当然ながら、住宅ローンの支払いが困難な状態で不足分を求められても、対応できない方も多いでしょう。 仮に物件が新築であっても売却するとなると中古の扱いとなるため、8割程度まで価値が下がってしまいます。 頭金がない状態で契約すると、それら不足分の支払いが生じた際に生活そのものが立ち行かなくなってしまうこともあるわけです。 だからこそ、頭金は用意できるのならしっかり準備しておくのがおすすめといえます。 ただし、大切に貯めてきた貯金すべてを頭金に回すのは避けましょう。 あくまでも頭金は余力がある人だけ貯めておくもので、日常を削ってまで貯金するものではありません。 それでも頭金が多いことに越したことはないので、収入と支出について今一度見直しながら計画を立てていきましょう。 まとめ 頭金は絶対必要とはいえません。 しかし、不要なのかといえば、そうともいえません。 むしろ頭金があることで住宅ローンの返済総額を減らせるだけでなく、毎月返済額も減らせます。 単に借入額が減るため、金利による影響も下げられるのです。 その点も加味して考えると、結論としては頭金を用意しておいた方が良いとなるでしょう。 ただ、いきなり1,000万円も2,000万円も貯金するというのは難しい話なので、夫婦で150~300万円ずつ、合計300~600万円ほどは貯めておいた方が良いでしょう。 借入額に対して1~2割を目安に考えて貯めるところから始めてみましょう。
2022.08.25
住宅ローンを契約する際、多くの金融機関では団体信用生命保険への加入が必須とされています。 しかし、団体信用生命保険について耳にしたことはあっても、詳しい内容についてはわからないという方も多いのではないでしょうか。 今回の記事では団体信用生命保険とは何かを解説します。 ここでは団体信用生命保険の概要や種類、保障内容、注意すべきポイントや選ぶコツについて説明するので、団体信用生命保険が何かわからない方は、ぜひ最後までお読みください。 なかにはフラット35など団体信用生命保険への加入が必須ではない住宅ローンもありますが、多くの場合は必要となるものなので、ぜひこの記事で理解を深めましょう。 団体信用生命保険はどんな保険? まず団体信用生命保険を知るには、団体信用生命保険がどのような保険なのかを理解していく必要があります。 ここでは団体信用生命保険の概要についてまとめるので、まずは目を通してみてください。 そもそも団体信用生命保険ってなに? 団体信用生命保険とは住宅ローンの契約者本人が死亡もしくは高度障害によって働けなくなった際、保険会社がローン残高を返済してくれる保険をいいます。 つまり、契約者本人に万が一のことがあった時に、残された伴侶や子供を守るための保険なのです。 これら団体信用生命保険は団信ともよばれ、住宅ローンを契約する最低条件とされることもあります。 実際に、多くの金融機関では契約者本人に万が一のことあっても対応できるよう、団体信用生命保険への加入を条件として融資している場合が多いです。 逆に、団体信用生命保険に加入していないと返済する人がいなくなってしまうので、伴侶や子供の経済的負担が増えるだけではなく、返済が滞ることによって金融機関も多額のリスクを背負うことになるのです。 それを避けるために用意されているのが団体信用生命保険です。 団体信用生命保険に加入しておけば、死亡や高度障害によって返済不可能となった場合も家族が路頭に迷うことはありません。 なかにはフラット35など一部例外もあり、人によっては加入の可否を知らずに住宅ローンを申し込む人がいますが、原則としては最低限必要なものとして団体信用生命保険を考えておく必要があります。 団体信用生命保険の種類と保障内容 団体信用生命保険にはいくつかの種類があり、それら種類によって保障内容が異なります。まずは以下、代表的な団体信用生命保険の種類についてまとめます。 通常の団体信用生命保険 三大疾病特約付きの団体信用生命保険 八大疾病特約付きの団体信用生命保険 ワイド団体信用生命保険 これら団体信用生命保険は加入する種類によってカバーできる範囲が異なります。 たとえば、通常の団体信用生命保険であれば死亡や高度障害だけですが、特約付きの団体信用生命保険を選ぶことで三大疾病や八大疾病までカバーできます。 そのほか、ワイド団信とよばれる団体信用生命保険もあるので、まずは1つひとつ詳細を見ていきましょう。 1.通常の団体信用生命保険 通常の団体信用生命保険では契約者本人が死亡もしくは高度障害となった際、ローン残高を保険会社が肩代わりしてくれます。 ローン残高の金額にかかわらず肩代わりしてもらえるため、残された家族の負担になることもありません。 近年は基本保障に加えて、がん特約などを付けたものに加入する方もいます。 自分が罹患しそうな病気や怪我を予測しつつ、加入を検討してみましょう。 2.三大疾病特約付きの団体信用生命保険 日本では「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」の3つが三大疾病とされています。 これらは日本人が罹患する可能性の高い疾患です。 三大疾病特約付きの団体信用生命保険であればこれら三大疾病をカバーでき、万が一「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」に罹患した場合はローン残高がゼロとなります。 3.八大疾病特約付きの団体信用生命保険 日本では「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」の三大疾病に加え、「糖尿病・高血圧系疾患・慢性腎不全・肝疾患・慢性膵炎」の5つが五大疾病とされています。 これらも日本人が罹患する可能性の高い疾患です。 八大疾病特約付き団体信用生命保険は「三大疾病+五大疾病」の両方をカバーでき、万が一、該当する疾患に罹患した場合はローン残高がゼロとなります。 4.ワイド団体信用生命保険 例外とはなるものの、団体信用生命保険にはワイド団体信用生命保険というものもあります。 これらはワイド団信とよばれ、健康上の理由で通常の団体信用生命保険に加入できない方でも加入できる団体信用生命保険となっています。 通常の団体信用生命保険は健康状態が良好でない限り加入が許されないことも多く、泣く泣く団体信用生命保険の必要ない住宅ローンを組む方もいるかもしれません。 しかし、ワイド団信であれば条件が緩和されているため、健康上で何か問題がある方でも加入できる可能性があるのです。 団体信用生命保険で注意すべきポイント 団体信用生命保険の加入においては注意すべきポイントもあります。 これらはいくつかあるため、以下で確認しておきましょう。 カバーできないリスクがある 健康状態が悪いと加入できない 通常の生命保険と重複する 複数の団信に加入できる 以上のポイントを見ておくことで、より安心安全に団体信用生命保険を検討できます。 1.カバーできないリスクがある 団体信用生命保険は死亡・高度障害の状態となった際に保険金で返済してくれる保険となります。 しかし、団体信用生命保険では保険金が支払われない可能性もあります。 一部の病気や怪我に対しては特約を付ければ対応可能ですが、保険適用の条件はそれぞれ異なります。 死亡であれば確実なものの高度障害も実際に重篤な症状と認められない限りは、保険金が下りないという事態も発生するのです。 単に死亡や高度障害と認められないものの、病気や怪我によって働けなくなった場合は、保険金も下りず働けずという最悪の事態に陥る可能性もあります。 その点は注意が必要です。 2.健康状態が悪いと加入できない 団体信用生命保険は誰もが加入できるわけではなく、契約の際に審査があります。 これらはほかの保険と同様、本人の健康状態が重視されます。 当然ながら、すでに何かしらの疾患を抱えている場合、そもそも団体信用生命保険に加入できない可能性があります。 その場合は加入が必須ではないフラット35を利用したり、条件が緩いワイド団信を利用したりと、予防対策はいくつかあります。 しかし、何よりも健康であることが一番なので、その点も気をつけておくべきです。 3.通常の生命保険と重複する 団体信用生命保険を契約する以前からほかの民間生命保険に加入している方も少なくありません。 その場合、団体信用生命保険と民間生命保険の保障内容が重複してしまうかもしれません。 そうなると二重で保険料を支払わなくてはならないため、経済的負担も多くなります。 そのため、もしすでに民間生命保険に加入している場合は、住宅ローンを組む際に見直しするのがおすすめです。 4.複数の団信に加入できる 団体信用生命保険は1つの住宅ローンに対して1つの契約が可能です。 そのため、複数の不動産を所有する方はその都度、加入できます。 つまりは複数の団体信用生命保険に加入できるということです。 一般的な住宅ローンだけならここまで考える必要はないですが、もし、不動産投資も考えているのなら、それらの団体信用生命保険をどうすべきか考える必要があります。 銀行系住宅ローンとフラット35の団体信用生命保険の違いは? 通常の銀行系住宅ローンとフラット35では団体信用生命保険への加入の可否が変わります。 前述の通りなのでそちらは省きますが、要は契約先によって団体信用生命保険に加入すべきかどうかも変わるということです。 これら団体信用生命保険は提供している組織がそもそも異なります。 銀行系住宅ローンは民間金融機関が単体で提供している反面、フラット35は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供しているものとなります。 そこが大きな違いとなるでしょう。 では団体信用生命保険から見ると何が違うのかというと、これは条件がそもそも異なります。 銀行系住宅ローンでは団体信用生命保険への加入が必須とされていることが多いですが、フラット35では団体信用生命保険への加入が必須とはされていません。 そのため、意図的に加入しないという選択もできるわけです。 団体信用生命保険を選ぶコツ では、団体信用生命保険を選ぶ際にはどのような点を知っておくべきなのでしょうか。 ここからは団体信用生命保険を選ぶコツについてまとめます。 1.保険の特徴で選ぶ そもそも団体信用生命保険がどのような保険なのか、その特徴を知ってから選ぶことがとても重要です。 団体信用生命保険は民間生命保険とは異なり、死亡・高度障害に対して保険金が下りる保険です。 しかし、状況によっては保険金が下りないこともあります。 これは民間生命保険と同様と言えます。だからこそ、それぞれの保険の特徴を把握して選ぶべきです。 2.特約の検討で選ぶ 「団体信用生命保険にさえ加入しておけば完璧」と思っている方ほど危険です。 実際に団体信用生命保険は通常のものだと死亡・高度障害に関する疾患しかカバーされないため、保障範囲はそこまで広くありません。 なかには、特約を付けて初めてカバーできる病気や怪我もあります。 そのため、団体信用生命保険を選ぶ際は特約の有無でも検討しましょう。 それだけでなく、その他のカバーできないリスクも考えて就業不能保険など生命保険とは違う保険への加入も検討することが大切です。 3.加入の時期で選ぶ 団体信用生命保険は住宅ローンの契約時のみ加入可能です。 特約に関しても加入時に付けることとなります。 そのため、後になってから「加入したい」「特約を付けたい」と思っても手遅れです。 だからこそ加入する時期で選ぶことが重要です。 もし今は必要ないということならフラット35など団体信用生命保険が不要な住宅ローンを契約し、後から民間生命保険に加入するというのも手です。 自分が必要だと思った時期に加入しましょう。 収入保障保険は団体信用生命保険の代わりになるのか? 団体信用生命保険と似た保険に収入保障保険というものがあります。 これは死亡もしくは病気や怪我によって住宅ローンの返済が困難となった際、長期間にわたって保険金を分割して受け取れる保険です。 そのため、結論をいえば収入保障保険は団体信用生命保険の代わりになり得ます。 しかし、団体信用生命保険は契約者本人が死亡・高度障害と認定された際にローン残高を一括返済してくれるのに対して、収入保障保険は分割して受け取るものとなります。 そう考えると両者は性質こそ似ているものの、別物の保険だということです。 ただし、収入保障保険は死亡や高度障害だけではなくそのほかの疾病もカバーできるため、どちらにもメリット・デメリットがあります。 どちらかを代わりとして活用するというより、どちらの方が自分のライフスタイルやライフステージに合っているのかを検討するのがおすすめです。 まとめ 住宅ローンを契約する際、金融機関では団体信用生命保険への加入が必須です。 これらはフラット35などでは不要となるものの、加入が審査の条件となることも多いです。 そのため、団体信用生命保険の内容について詳しく知っておくことが重要です。 ただし、団体信用生命保険に加入しておけば安心というわけでもないので、特約を含めどのような団体信用生命保険が必要なのかを慎重に検討しましょう。 場合によっては就業不能保険や収入保障保険などへの加入も加味しつつ判断することが大切です。
2022.08.25
「普通に働いてさえいれば住宅ローンの審査なんて楽勝」と思っている方、油断していると足元をすくわれてしまうかもしれません。 実際に、住宅ローンの審査に通らない、いわゆる審査落ちとなる方も少なくありません。 だからこそ、住宅ローン審査に通るためのポイントを知っておくことが重要です。 今回はこれから住宅ローンの申し込みをする方に向けて、住宅ローン審査に落ちてしまった際にやるべきことを解説します。 また、併せて審査に落ちる原因や理由、審査に通りやすくする方法についてもまとめます。 この記事を読めば初めての住宅ローン審査にも臆することなく対応できるようになるので、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。 住宅ローン審査が通らなかった時にまずやること 住宅ローンの審査は仮審査(事前審査)と本審査の2段階となっており、どちらの審査にも合格しない限りは融資を受けられない仕組みとなっています。 仮審査(事前審査)に受かったからといって必ずしも本審査に受かるとは限りません。 当然ながら、事前審査に落ちたのであれば、本審査に進むことすら許されません。 では、万が一に住宅ローン審査に通らなかった場合、何から見直すべきなのでしょうか。 以下の3つから見直すことをおすすめします。 書類に不備がないかどうか 審査の項目がどうなっているか ほかの金融機関だとどうなるのか 以下で1つずつ詳しく見ていきましょう。 1.書類に不備がないかどうか 住宅ローンを契約する際、いくつかの書類を提出しなくてはなりません。 それらの書類に不備があった場合は審査に落ちる可能性があります。 たとえば、仮審査(事前審査)で提出した書類と本審査で提出した書類の内容に違いがあった場合、審査に落ちる可能性は十分に考えられるということです。 故意に虚偽の内容を提出したわけではなかったとしても、書類に間違いがあるだけで審査に落ちることがあるのです。 だからこそ、住宅ローン審査に落ちた場合は書類に不備がないかどうかを真っ先に確認しましょう。 以下、書類の不備における審査落ちへの影響をまとめたものです。 内容の不一致 書類の内容が一致しないと金融機関は疑いの目を向けます。たとえば、多めに書いた収入が事実と異なる場合など、内容が不一致であると審査に落ちてしまうことがあります。 変更の無申告 変更があるのに申告せずにいると金融機関は疑います。たとえば、転出・転居・転職・離職があったのに報告していない場合など、変更の無申告によって審査に落ちることもあります。 信用情報の変化 仮審査(事前審査)後もしくは本審査中に金融事故を起こすと信用情報に傷がつきます。いわゆるブラックリストなどに掲載されると金融機関によっては審査を見送る場合もあります。 健康状態の悪化 直近の健康診断などで健康状態が悪化していると金融機関も警戒します。きちんと返済できる健康状態かどうかが見られるため、完済できそうにない場合は審査に通らない可能性があります。 以上のように書類に不備がある場合は住宅ローン審査に通らないことがあります。 逆に住宅ローン審査に落ちた場合はこれら書類に不備があった可能性も考えられるため、一度、見直ししてみましょう。 2.審査の項目がどうなっているか 実は金融機関が実施している仮審査(事前審査)や本審査は、金融機関ごとに審査の項目が変わります。 おおよそ重視される項目は絞られてくるのですが、それでも金融機関によって見られている部分が違うことを理解しなくてはなりません。 以下は金融機関が重視する審査項目の上位10個です。 借入時年齢・完済時年齢 健康状態 勤続年数 担保評価 年収・返済負担率 融資可能額 連帯保証 営業範囲 雇用形態 返済履歴 これらをすべての詳細な解説は省略しますが、以上10個の項目は特に金融機関が重視する審査項目とされます。 もし住宅ローン審査に落ちたということなら、これらの審査項目をクリアできているかどうか見直してみましょう。 なお、これら10個の審査項目については「どのような状況で落ちてしまうのか」という点にフォーカスし、後の項目「住宅ローン審査が通らない時に考えられる理由」で詳しくまとめます。 3.ほかの金融機関だとどうなるのか もし審査に落ちたにも関わらず「自分に問題はない」と思うのであれば、ほかの金融機関に審査してもらうのも良いでしょう。 最初の金融機関では審査落ちしたものの、別の金融機関に申し込んだら通ったということもあります。 前述の通り、住宅ローン審査は金融機関ごとに異なるため、中には通りやすい金融機関と通りづらい金融機関が存在するわけです。 たとえば、大手メガバンクなどでは勤続年数を最低でも「勤続1~3年以上」としていることがある一方、中小銀行では「勤続6ヵ月~1年以上」としていることもあります。 金融機関によっては「基準なし」としているところもあるくらいです。 勤続年数はあくまでも一例であり、ほかにも審査項目ごとに差があります。 だからこそ、ほかの金融機関にも申し込んでみるのがおすすめです。 特に「絶対にここ」と決めている金融機関がないのであれば、2~3社ほどに相談してみると良いでしょう。 住宅ローン審査が通らない時に考えられる理由 住宅ローン審査に落ちた場合、必ず原因があります。 ここからは住宅ローン審査に通らない時に考えられる理由についてまとめます。 1.借入時年齢と完済時年齢が高く定年までに完済できない場合 住宅ローンは若ければ若いほど審査に通りやすくなる一方、借入時年齢が40代、50代と上がっていくと徐々に厳しくなります。 仮に35年のような長期の住宅ローンを40~50歳で申し込むとなると完済時年齢も75~85歳となってしまいます。 金融機関としては遅くとも65歳までに完済されていることが理想と考えるため、借入時年齢や完済時年齢が高く定年までに完済できそうにない場合は審査にも落ちてしまう可能性が高いです。 2.健康状態が悪く団体信用生命保険に加入できない場合 住宅ローンは金融商品の1つであり、金融機関は金利を含めて完済してもらって初めて利益となります。 そのため、途中で返済不可となりそうな方には融資していません。 それこそ健康状態が悪くて団体信用生命保険などに加入できない場合、審査にも落ちることがあります。 3.勤続年数が短く3年以下である場合 金融機関は住宅ローンを滞りなく返済してくれる人に融資する傾向が強いです。 そのため、勤続年数が短く何度も転職を繰り返している人は審査に落ちやすいかもしれません。 特に金属年数が3年以下だと安定していないと判断されることもあるので、その点は注意が必要です。 4.担保評価が低く担保価値が借入希望額を上回らない場合 住宅ローンは対象となる物件の担保評価によっても審査の合否が左右されます。 物件の担保評価が借入希望額よりも低い場合、審査に通らないことが多いです。 金融機関の多くは物件に抵当権を設定し、万が一、返済不可となっても物件を処分して資金回収します。 そのため、物件の担保評価以上の融資は行っていないのです。 5.年収と返済負担率が高く35%以上である場合 住宅ローンは年収に合わせて返済負担率というものが設定されており、年収400万円を境に30~35%まで借り入れできるようになっています。 これは一種の返済の目安となるもので、逆にこれら返済負担率を超えるような返済計画では審査に落ちることも多いです。 理想をいえば、返済負担率は15~25%ほどに留めておきたいものです。 6.融資可能額が低く頭金が少ない場合 総額の割合に対して融資可能額が高すぎると審査に落ちることも増えます。 たとえば、頭金がまったくない状態で申し込むと金融機関は警戒します。 なかでも、物件に対しての借り入れの割合が高くなればなるほど審査も厳しくなるのです。特に融資率が全体の90%を超える場合は高確率で審査に落ちます。 7.連帯保証が立たず返済能力が低い場合 住宅ローンなどの大きな融資は基本的に保証会社が対応してくれます。 しかし、契約者本人の返済能力が低い場合や借り入れの方法が特殊な場合は連帯保証人を立てなくてはなりません。 連帯保証人を立てる場合、連帯保証人本人の返済能力が重視されます。 逆にいえば、連帯保証人の返済能力が低いと審査に落ちるので、注意したいところです。 8.営業範囲に含まれていない場合 金融機関には金融庁もしくは金融機関独自に決められた営業範囲があります。 原則として、これらの営業範囲に含まれていない場合は審査にも通りづらくなってしまいます。 基本は決められたエリア内でしか住宅ローンを組めないので、その点にも注意が必要です。 9.雇用形態が不安定である場合 住宅ローンはいかに安定して返済できるかが重要となるため、雇用形態が不安定な方は残念ながら審査にも落ちやすいです。 たとえば、無職の場合は当然のように審査に落ちますし、契約社員や派遣社員などの非正規雇用も落ちやすいといわれています。 また、近年増えているフリーランスや自営業などの方も審査が厳しくなる傾向にあります。 大企業で正規雇用されているなら別ですが、不安定な職業の方は審査にも落ちやすくなることを覚えておきましょう。 10.返済履歴に滞りがある場合 過去に金融事故、いわゆる借金の破産や延滞などを起こしている方は審査も当然厳しくなります。 特に、支払いを忘れたり遅れたりすると信用情報機関に一定期間情報が記録されます。 金融機関によっては消費者金融からの借り入れが過去に一度でもあっただけで落ちることがあるため、返済履歴にも注意しておきたいです。 審査を通りやすくするため行えること では、住宅ローンの審査を通りやすくするためにはどうすれば良いのでしょうか。 まず最も確実なのは、前述の「住宅ローン審査が通らない時に考えられる理由」でまとめた内容をすべてクリアできるくらい用意周到に準備することだといえます。 たとえば、借入時年齢や完済時年齢は20~30代までに融資を受けて65歳までに完済できるようにするだけで審査に通りやすくなります。 また、健康状態が良くないのであれば団体信用生命保険への加入が必須ではないフラット35などの住宅ローンを選ぶのも良いでしょう。 勤続年数が少ない方もフラット35など、審査が若干ゆるいものに相談することをおすすめします。 そのほか、第二地銀や信用金庫など地元密着型の金融機関であれば、条件をクリアできずとも柔軟に対応してくれる可能性があります。 なお、担保評価などは物件そのものによって左右されますが、物件の評価を高める資料を添えることで審査に通りやすくなる可能性もあります。 それだけでなく、年収と返済負担率も35%未満など適正な状態にすることで、より審査も通りやすくなるでしょう。 併せて自己資金を増やし、借入額自体を減らすように返済計画を立てることで、融資の可能性はさらに高くなります。 連帯保証に関しては夫や妻だけでなく、返済能力の高い人を選定することも重要です。 近年は共働き夫婦も増えているので、借り入れの方法を工夫してみるのも良いでしょう。 さらに地元を総括する金融機関で申し込めば、営業範囲ということも相まって審査に通りやすくなります。 雇用形態に関してはどうしようもならない方もいるので、そこは相談に乗ってくれやすい金融機関に相談しましょう。 近年は雇用形態よりも働いている期間や貯金している資金などで安定性を測る金融機関もあります。 ただし、住宅ローンのほかにローンがある場合など、別口で借金している場合は要注意です。 特に、過去に金融事故を起こしている場合は、その履歴が消失されるのを待たなくてはなりません。 現在進行形で借り入れがある方は、それらを完済してから住宅ローンを申し込みましょう。 まとめ 住宅ローンの審査には、残念ながら落ちてしまうこともあります。 しかし、1回目に審査に通らなかったからといって、もう二度と審査を受けられないわけではありません。 通らなかった原因を知り、理由を明確にして対処すれば2回目で通ることも十分にあります。 もし住宅ローンに審査落ちしてしまった場合は、上記を参考に、何がダメだったのかを今一度、洗い出してみましょう。
2022.08.25
住宅ローンはただ毎月決まった金額を払っていくというものではありません。 融資を受ける内容によるものの、実は住宅ローンの返済方法には大まかに分けて2種類あります。 1つが元利均等返済で、もう1つが元金均等返済というものです。 この2つはどちらを選んでも良いのですが、選択する返済方法によって返済総額が増減します。 そのほかにも返済が進めば進むほど両者の違いを感じるようになります。 今回の記事ではこれから住宅ローンを契約する方に向けて、元利均等返済と元金均等返済のどちらを選ぶべきなのか解説します。 特に、両者の概要はもちろん、メリット・デメリットについて詳しく説明するので、どちらがお得なのかを考えて選びましょう。 記事の最後には向き不向きもまとめているので、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。 元利均等返済とは まずは元利均等返済について知っておきましょう。 ここでは元利均等返済の概要とメリット・デメリットを詳しくまとめます。 元利均等返済がどのような返済方法なのかわからない方は、ぜひ目を通してみてください。 元利均等返済の概要 元利均等返済とは、毎月の返済額が一定の返済方法です。 元利、つまりは元金と利息を合わせて均等に返済していく方法です。 そのため、元利均等返済は返済総額に占める元金と利息の割合が徐々に変化する返済方法となります。 元利均等返済のメリット・デメリット では、元利均等返済のメリットとデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。 ▼メリット 毎月の返済額が一定である 将来の家計収支を把握しやすい 元利均等返済は毎月の返済額が一定です。 つまり、1年目も10年目も20年目も30年目も同じ返済額を返済していく方法となります。 そのため、将来の家計収支を把握しやすく、着実に住宅ローンの完済に近づいていけます。 途中で繰り上げ返済をすれば返済総額をさらに減らせるため、賞与があった際に繰り上げ返済してしまうのも1つの手です。 ▼デメリット 返済総額が多くなる 元金の減りが遅い 元利均等返済は返済総額が多くなってしまいます。 借り入れる金額によっても違うものの、最終的には数十万円~数百万円ほど変わってくる場合があるわけです。 また、毎月の返済額は変わらない一方、返済総額に占める元金と利息の割合は変化します。 そのため、住宅ローンの返済開始時はローン残高が大きいために利息として支払う割合が大きく、逆に元金の返済の割合が小さくなってしまいます。 その結果、元金の減りが遅くなる点には注意しなければなりません。 元金均等返済とは 次に元金均等返済についても知りましょう。 ここでは元金均等返済の概要とメリット・デメリットを詳しくまとめます。 元金均等返済がどのような返済方法なのかわからない方は、併せて目を通しておきましょう。 元金均等返済の概要 元金均等返済とは、元金の返済額が一定の返済方法となります。 元金、つまりは借り入れた金額のみを均等に返済していく方法です。 元金均等返済はローン残高に応じて利息を計算して算出する返済方法となります。 元金均等返済のメリット・デメリット では、元金均等返済のメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。 ▼メリット 返済総額が少なくなる 元金の減りが早い 元金均等返済は元金の返済額が一定です。 しかし、利息はローン残高によって違うので、返済を経れば経るほどローン残高が減っていきます。 つまり最初に支払う金額は大きくなるものの、元金の減りは早いのが特徴です。 元金が早いうちから減っていくので、自然と返済総額も少なくて済みます。そこが大きな魅力といえるのではないでしょうか。 ▼デメリット 毎月の返済額が最初だけ多い 審査が厳しくなるかもしれない 融資限度額が少なくなるかもしれない 元金均等返済は毎月の返済額だけ多くなってしまいます。返済総額自体を減らすには最適な返済方法といえるのですが、借り入れしたばかりの時は経済的負担も大きいです。 そのため、金融機関の多くは審査基準とする年収も高く設定しているのです。 年収が一定以上あれば問題ありませんが、余裕のない年収の場合は審査にも落ちる可能性があります。 特に年収に余裕がないと融資限度額も少なくなる可能性があるので注意しましょう。 元利均等返済と元金均等返済どちらがお得? ここまで元利均等返済と元金均等返済について知ると「じゃあ結局はどちらがお得なの?」と思う方もいるかもしれません。 これに関しては結論を先にいうと、元金均等返済の方が元利均等返済に比べてお得になります。 実際にいくつかのケースを見るとわかりやすいので、ここからはいくつかの例を挙げます。 1.借入額1,000万円・利息年3%・返済回数240回・賞与なしのケース 仮に金融機関から1,000万円を融資してもらい、それを利息年3%かつ返済回数240回を例に見ていくと以下のような差が出ます。 なお、ここでは賞与による繰り上げ返済はないものとします。 元利均等返済 元金均等返済 初回の返済額 5万5,459円 6万6,666円 10年目の返済額 〃 5万4,270円 20年目の返済額 〃 4万1,770円 返済総額 約1,331万円 約1,301万円 この表からもわかるように元利均等返済に比べて元金均等返済の方がお得になることがわかります。 あくまでも条件によって変わるものの、その差は実に約30万円となるわけです。 つまりは返済方法の選び方次第で約30万円もの差がでてくるのです。 これは借入額1,000万円のケースですが、借入額が多くなればなるほどその差も大きくなります。 2.借入額3,000万円・利息年2%・返済回数420回・賞与なしのケース 次に金融機関から3,000万円を融資してもらい、それを利息年2%かつ返済回数420回を例に見ていきましょう。 その場合は以下のような差が出ます。 なお、ここでも賞与などによる繰り上げ返済はないものとします。 元利均等返済 元金均等返済 初回の返済額 9万9,378円 12万1,428円 10年目の返済額 〃 10万7,261円 20年目の返済額 〃 9万2,975円 35年目の返済額 〃 7万1,787円 返済総額 約4,174万円 約4,052万円 この表でもわかりますが、やはり元利均等返済より元金均等返済の方がお得になります。 これらは条件によって異なるのですが、その差は実に約122万円となります。 そう考えると返済方法の選び方次第で約120万円という大差が生まれるわけです。 これが借入額4,000~6,000万円となれば、さらに差も膨らんでいきます。 自分に向いているのは元利均等返済と元金均等返済のどちら? ここまで元利均等返済と元金均等返済を見てきた方の中には「元利均等返済の方が良いのかな」「元金均等返済の方が良いかも」と迷う方もいるかもしれません。 返済総額だけで見てみると元利均等返済よりも元金均等返済の方がお得になるため、多くの方は元金均等返済の方が良いと考えるかもしれません。 しかし、条件によっては元利均等返済の方が向いている方もいます。 そこで、ここでは住宅ローンの返済方法を選ぶ最終局面として、どちらが自分に向いているのかを判断する指標をまとめます。 まずはそれぞれ向いている人と向いていない人をまとめるので、自分にはどちらの方が合っているのかを見極めて選びましょう。 1.元利均等返済が向いている人 元利均等返済の特徴をおさらいすると、メリットが「毎月の返済額が一定である」「将来の家計収支を把握しやすい」でデメリットが「返済総額が多くなる」「元金の減りが遅い」となります。 そのため、毎月の返済額を一定にしたい方、将来の家計収支を把握したい方に元利均等返済が向いているといえるでしょう。 元利均等返済はローン返済当初の返済額が低いので、安定した返済計画をスタートしたい方におすすめです。 特に妊娠や出産、育児や介護などで当初の返済額を少しでも抑えたい方は元利均等返済を選ぶのも1つの手です。 逆に返済総額が多くなることや元金の減りが遅いことを気にするなら、元利均等返済は向いていません。 ただし、繰り上げ返済できるなら元利均等返済を選ぶのも良いです。 たとえば、毎年のボーナスを返済に充てていけば、返済総額を抑えつつ元金を減らしていけます。 そのため、もし返済に余裕があるということなら繰り上げ返済も加味して計画しましょう。 2.元金均等返済が向いている人 元金均等返済の特徴をおさらいすると、メリットが「返済総額が少なくなる」「元金の減りが早い」で、デメリットが「毎月の返済額が最初だけ多い」「審査が厳しくなるかもしれない」となります。 そのため、返済総額を少なくしたい方、元金を早く減らしたい方に元金均等返済が向いているといえるでしょう。 元金均等返済はローン返済当初の返済額こそ高いものの元金を早い段階から減らしていけるため、返済計画をすぐにフィニッシュしたい方におすすめです。 当初から資金に余裕がなければ難しいですが、ある程度の返済が見込めるのなら元金均等返済を選びましょう。 逆に、毎月の返済額が最初のうち多いことや審査に通りにくくなることが気になるなら、元金均等返済は向いていません。 特に元金均等返済は当初の返済額が高くなるので、借入額が少なくなってしまいます。 たとえば、仮に金利2%で返済期間35年、毎月返済額10万円の場合、元利均等返済なら3,018万円まで融資してもらえます。 しかし、それが元金均等返済となると2,496万円までしか融資してもらえなくなるのです。 実に500万円近く融資限度額に差が出ます。 それらの点も加味して返済方法を選ぶ必要があるでしょう。 まとめ 住宅ローンの返済方法には大きく分けて元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。 これらはどちらにもメリット・デメリットがあるため、自身が最適だと思う方を選ばなくてはなりません。 単純にお得なのがどちらかという観点なら元利均等返済よりも元金均等返済ということになるのですが、繰り上げ返済できる場合などはむしろ立場が逆転することもあります。 そのため、自身の返済計画に照らし合わせながら最適な返済方法を選ぶことが大切です。
2021.12.28
育休中に家を持ちたいと考える方は少なくありません。 しかし、育休中に住宅ローンを組めるのかどうか不安な方も多いのではないでしょうか。 実際、育休中は収入も夫もしくは妻どちらかに頼らざるを得ないため、心配が尽きないという方も少なくありません。 事実、育休時に住宅ローンを組む際には知っておきたいことも多々あります。 今回は、育休中に住宅ローンを組みたい方に向けて、それぞれ知っておくべきポイントをまとめます。 特に、ここでは育休中でも住宅ローンが組めるのかどうかについて説明するので、条件に当てはまる方は、最後までお読みいただけると幸いです。 目次 育休中も住宅ローンは組める場合がある 住宅ローンの審査ポイント 産休に対する金融機関の見方 産休期間の年収額はどのように評価されるか? 夫婦で住宅ローンを組むときのパターン 1.連帯債務 2.連帯保証 3.ペアローン 産休中で優遇がある住宅ローンも まとめ 育休中も住宅ローンは組める場合がある 本来、住宅ローンは仕事をしながら組むのが一般的です。 しかし、実は育休中でも住宅ローンを組める場合があります。 それを知るためには、まず、住宅ローンの審査の基準について知ることが重要です。 住宅ローンを組むには金融機関に申し込む必要があります。 その際、誰もが融資を受けられるのかというとそうではなく、審査をクリアした人のみが受けられます。 だからこそ、「育休中だと審査に通らないのでは」と思ってしまう方が多いのです。 しかし、実のところ住宅ローンは育休中の年収では審査されません。 あくまでも重要視されるのは収入が継続して入ってくるのかどうかという点です。 そのため、たとえ現在進行形で育休中であったとしても、金融機関の審査では「育休前の年収」と「復職後に想定される年収」を軸に判断されるのです。 つまり、今後、復職する予定がある育休においては問題なく住宅ローンの審査に通ることもあります。 ただし、その場合は金融機関に納得してもらわなくてはならないので、以下の書類を用意しておきましょう。 源泉徴収票 確定申告書 育児休暇証明書 年収見込み証明書 これらの書類で収入の継続性が認められれば、育休中であっても住宅ローンを組めます。 住宅ローンの審査ポイント 住宅ローンの審査は複雑なようで実はシンプルです。 金融機関は「返済が滞りなくできるか」を判断しているに過ぎません。 金融機関としては期限までに金利を含めて元金を返済してもらえれば何も問題はないわけです。 そのため、契約者の返済能力が主な審査基準となります。 しかし、それ以外に判断される点がいくつかあるのも事実です。 たとえば、安定した収入があるかどうかだけでなく、完済時の年齢や借入時の年齢、健康状態、担保評価、勤続年数なども審査の基準となります。 それらを総合して「返済能力があるかどうか」を判断するのが住宅ローンの審査です。 ちなみに、直近で金融事故を起こしている方はどちらにせよ、審査に通らない場合もあります。 たとえば、クレジットカードや奨学金の支払いを滞納したり、自己破産したりした場合は審査も自然と厳しくなります。 これらは金融機関によっても判断基準がことなるので、まずは住宅ローンを契約する予定の金融機関に相談してみましょう。 産休に対する金融機関の見方 では、金融機関では産休に対してどのような見方をしているのでしょうか。 これに関しては金融機関によっても異なるのですが、あくまでも銀行などは本人の安定性を重視しています。 そのため、産休に入ったとしてもその前に安定した収入があり、復帰してからも安定した収入があるということなら、問題ないと判断するわけです。 ただし、金融機関が注意するのはその職場への復帰ができるのかどうかという点です。 たとえば、数年単位で離職すると、職場としては「ほかの人を採用するから、退職してもらった方が良い」などと考えます。 その結果、いざ復帰しようと思っても元の職場には戻れず、新しい仕事先が見つからないこともあるのです。 そうなれば金融機関が重視する「安定した収入」は得られなくなります。 その点は注意が必要となるでしょう。 特に、働く能力はあっても保育園や幼稚園が見つからないこともあれば、体調が戻らずに心身のバランスを崩してしまうこともあります。 そうなれば、計画通りに復職できるとは限りません。 結果的に産休に対して、金融機関は厳しくならざるを得ません。 実際に融資を受けられる場合もあるものの、金融機関によっては「復職時期を示した勤務先発行の証明書」の提示を求めるところもあります。 このことからもわかるように、現状として金融機関はまだまだ産休に対して厳しい判断基準を設けているといえます。 産休期間の年収額はどのように評価されるか? 仮に産休中でも住宅ローンを組みたい場合は、産休期間の年収額がどのように評価されるのかについても考えておくことが重要となります。 これらの判断基準は金融機関によっても異なるのですが、主に以下の2つの見方で分かれます。 休暇取得前の1年分の源泉徴収票の金額 休暇取得前の3ヵ月分の給料明細とボーナス明細から割り出した金額 大きく分けて産休期間の年収額は以上の2つを基準に評価されます。 これらは具体的に産休取得前の収入を判断できる書類が必要となるため、もし紛失している場合はさらに審査が厳しくなると思っておきましょう。 これらの書類は再取得可能ですが、意外と手間も面倒もかかります。 そのため、直近の収入に関する書類は大事に保管しておきましょう。 なお、すでに産休を終えて職場に復帰している場合は、復職後の毎月の給与明細から年収を割り出す金融機関もあります。 住宅ローンを申し込んだ際にすでに復帰しているのなら現在の収入で審査されるため、産休中よりは有利に話を進められます。 ただし、復帰したのは良いものの、職場によっては非正規雇用扱いに落とされてしまうこともある他、時短勤務などで収入が減ってしまうこともあるでしょう。 その場合は収入が休暇取得前に比べて減っているため、審査も厳しくなる可能性があります。 これらは金融機関によっても判断基準が異なるため、住宅ローンを契約する予定の金融機関に相談するのが早いです。 一度、審査に落ちたからと言って二度と審査を受けられないわけではないので、そこは現状どうするのが最善なのかを金融機関とともに考えることが大切です。 夫婦で住宅ローンを組むときのパターン 育休中であっても住宅ローンの借り入れ方法によっては夫婦で組める場合もあります。 そうすればどちらかが育休中であっても、もう片方がメインの収入減を確保できれば審査に通りやすくなります。 以下、夫婦が選択できる住宅ローンのパターンです。 1.連帯債務 連帯債務は夫婦の収入を合算して審査を行う方法です。 夫婦が一緒に住宅ローンの債務者となるため、どちらかが育休中であっても審査への影響を最小限に押さえられます。 むしろ夫婦でそれぞれ連帯債務者になることで審査に通りやすくなる場合もあるなど、育休中の住宅ローンの借り入れ方法としては有効です。 2.連帯保証 連帯保証は夫婦どちらかが1人で住宅ローンを組み、どちらか1人が連帯保証人になる方法です。 たとえば、現職中の夫が住宅ローンを契約し、育休中の妻が連帯保証人になることで審査に通りやすくなります。 3.ペアローン ペアローンは夫婦それぞれの収入を元に審査を行う方法です。 夫婦が別々で住宅ローンの債務者となるので、審査にも通りやすい傾向にあります。 それでいて借入可能額なども増やせるほか、団体信用生命保険などにもそれぞれ加入できるため、復職後も安定した返済計画を立てていけます。 産休中で優遇がある住宅ローンも 金融機関が提供する住宅ローンの中には、産休中に優遇を受けられるものもあります。 優遇措置のある住宅ローンを選べば、むしろ産休中という条件を活用してうまく立ち回れるでしょう。 たとえば、以下のような優遇措置を用意している金融機関があるので、ぜひこれらも有効活用してみましょう。 元金の据え置きができる優遇措置 出産後の金利を下げてくれる優遇措置 育児中の手数料を面魚してくれる優遇措置 これらの優遇措置は金融機関によって異なるため、必ず受けられるとは限りません。 しかし、自身が契約する金融機関によってはそれぞれ優遇がある可能性も見落とせません。 金融機関ごとに違うので、住宅ローンを組もうと思っている銀行などに「産休中に受けられる優遇はありませんか」と聞いてみるのがおすすめです。 まとめ 結論としては育休中でも住宅ローンを組むことはできます。事実、産休中に住宅ローンを借り、その後に復職して返済していくという方もいます。 しかし、金融機関によっては審査が厳しくなることもあるため、その点は契約する金融機関ごとに確認が必要です。 その一方、金融機関によっては育休中・産休中だからこそ優遇措置を用意しているところもあるので、それらの住宅ローンを活用するのもおすすめです。 詳しくは契約する予定の銀行などに相談し、慎重に判断していきましょう。 土地探しに不安がある、住宅資金に不安がある、家づくりをしたいが何から始めれば良いか分からないなど住宅についてのお悩みがある方は、以下より来場にてお気軽にご相談ください。
2021.12.28
家の建て替えを考えている方の中には、いくらかかるのか曖昧な方も多いのではないでしょうか。 実際のところどのような建物でどのような土地なのか、それぞれ条件によって立て替えの費用は大きく異なります。 しかし、相場を知ることで節約するポイントも見えてくるのは間違いありません。 そこで今回の記事では家の建て替えの流れや費用、相場、注意点や対策などについて解説します。 併せて、コストを抑えるポイントについても説明するので、これから建て替えを検討中の方は参考にしてみてください。 リフォームやリノベーションを考えている方の役にも立つはずなので、併せてご確認いただけると幸いです。 目次 建て替えの前に確認しておくこと 仮住まいの確保 再建築の可否の確認 登記の再確認 建て替えの流れ 建築業者の選定&建築計画の決定 住宅ローンの申請 解体業者の選定 仮住まいの選定&引っ越しの実行 地盤の調査と改良 解体工事の実行 新築住宅の着工と竣工 建て替えにかかる費用一覧 坪数ごとの建て替え費用相場 建て替え費用の注意点と対策 1.解体工事と新築工事はまとめて依頼する 2.地盤工事が必要となることがある 3.優良住宅だと別途費用がかかる 4.完全分離型2世帯住宅は割高になる 5.支払いの順番に気をつける 建て替え費用を抑えるポイント 建て替えかリフォームか迷ったときはどう決める? 建て替えのメリット・デメリット リフォーム・リノベーションのメリット・デメリット まとめ 建て替えの前に確認しておくこと まず、いきなり家の建て替えを決めてしまうのは時期尚早です。 最初は慎重に判断するためにも、家の建て替えの前に確認しておきたいことを知っておきましょう。 以下が、家の建て替えの前に知っておくべき3つの事柄です。 仮住まいの確保 再建築の可否の確認 登記の再確認 仮住まいの確保 家の建て替えをする際には仮住まいを確保しておくことが先決です。 当然ながら、建て替え中の物件に住むことはできないので、仮住まいを見つけておきましょう。 仮住まいの候補としては実家・賃貸・その他の宿泊施設などがあります。 予算に余裕のない方は実家がおすすめですが、短期間でも賃貸可能であればマンションやアパートもおすすめです。 近年は、ウィークリーやマンスリーの賃貸物件も多く、1週間単位~1ヵ月単位で借りられる物件もあります。それらも活用したいところです。 再建築の可否の確認 また、家の建て替えをする前に再建築の可否を確認しなくてはなりません。 物件によっては再建築不可物件とよばれるものがあります。 これら再建築不可物件の場合、そもそも建て替えはできません。 なかでも、接道義務を果たしていないものは再建築不可物件といわれ、たとえ解体したとしても建て替えはできません。 その一方、住居が建つ位置を後退させるセットバックを行った場合は例外として再建築可能物件として扱われます。 そこは家の建て替えの前に再建築の可否を確認しておきましょう。 登記の再確認 不動産はそれぞれの物件ごとに不動産登記というものが行われます。 不動産登記には該当の土地や建物がどこにあり、どのような状態なのかが記載されています。 併せて所有者や住宅ローンなどの情報も記載されているのが特徴です。 これらは建て替える前に一度、確認しておきましょう。 そうすることでトラブルを未然に防げます。 建て替えの流れ ここからは家の建て替えの流れについて見ていきましょう。 これら家の建て替えの流れは対応する工務店やハウスメーカーによっても異なるものの、大まかな流れは同じです。 以下、その流れについてまとめます。 建築業者の選定 建築計画の決定 住宅ローンの申請 解体業者の選定 仮住まいの選定 引っ越しの実行 地盤の調査と改良 解体工事の実行 新築住宅の着工と竣工 建築業者の選定&建築計画の決定 まずは工務店やハウスメーカーなどの建築業者を選定し、建築計画を決定していきます。 これらはインターネットで探す他、住宅展示場やモデルルームで探すのがおすすめです。 その後、建築業者が決まったら具体的に建築計画を進めていきます。 ただし、建築業者によって建築計画も大幅に異なるため、できる限りは複数の工務店やハウスメーカーに相談しつつ、見積もりなども出してもらいましょう。 住宅ローンの申請 主にどのような住宅になるのか決まったら金融機関に住宅ローンの申請を行います。 この際、無理のない返済計画を立てていないと審査に落ちる可能性があるほか、審査に通ったとしても生活が苦しくなる場合もあります。 そのため、住宅ローンの申し込みの際には金融機関とよく相談して決めましょう。 解体業者の選定 家の建て替えは土地を選定する必要がない一方、既存の建物の解体が必要となります。 旧居が残っている状態では新居を作ることもできないので、必ず解体業者を挟まなくてはなりません。 これら解体業者はそれぞれの業者ごとに対応も異なるため、じっくりと選定していきましょう。 ただし、工務店やハウスメーカーの中には解体工事から請け負ってくれるところもあるため、そこは建築業者に相談してみることをおすすめします。 建築業者によっては地元の解体業者と太いパイプを持っていることもあり、選定の手間が省けることもあります。 仮住まいの選定&引っ越しの実行 解体の予定が決まった段階に入ったら引っ越しの準備を始めましょう。 そのためには仮住まいが必要となるため、実家に帰るなり集合住宅を契約するなり、自分たちに合った方法を選ぶ必要があります。 なお、不動産業者によっては短期間の仮住まいに対応していないことがあるので、早目に物件探しをしておくことが重要です。 もし工期が短いならウィークリーやマンスリーの賃貸物件にするなど、工夫して選ぶことで賢く立ち回れます。 地盤の調査と改良 解体を行う前にやっておきたいもう1つのこと、それが地盤の調査と改良です。 なかでも地盤の強度については、基準を満たしているかどうか調査してもらわなくてはなりません。 そのなかで万が一、強度が不十分であるということであれば改良も必要となってくるでしょう。 それら建築に取り掛かるまでの期間が長引くとコストもさらに増していくので、これら地盤関連の調査や改良も前もって進めておくことが大切です。 解体工事の実行 諸々の予定が決まったらいよいよ解体工事の実行となります。 これにより、旧居を取り壊し、新居を作るためのスペースを確保するわけです。 ただ、解体工事は騒音や振動が発生するだけではなく、粉塵や瓦礫も発生します。 そのため、近所への挨拶も必要となるでしょう。 さらには電気や水道、ガスなども一時的に停止しなくてはならないため、意外とやることは多いです。 その間、解体業者は足場や養生を設置するなど、作業に必要な準備を進めてくれます。 無事に解体工事が終われば、新築住宅の建築へと進みます。 新築住宅の着工と竣工 家の建て替えのクライマックスが新築住宅の着工と竣工です。 解体工事によって更地になり地盤も整ったら、建築業者が新築工事に入ります。 最後に完成して引き渡しが済めば、家の建て替えは完了となります。 建て替えにかかる費用一覧 では、家の建て替えにはどのような費用がかかるのでしょうか。 ここでは家の建て替えで必要となる費用を一覧にしてまとめます。 解体費用 ・木造住宅:1坪あたり2~3万円 ・鉄骨住宅:1坪あたり3~6万円 ・鉄筋コンクリート住宅:1坪あたり4~7万円 登記費用 ・約5万円 測量費用 ・約30万円 地盤費用 ・地盤調査:約5~25万円 ・地盤改良:約3万円 引越費用 ・約10~15万円 建築費用 ・1坪あたり約50万円 税金 ・不動産税:建築価格×1/2×3% ・登録免許税:不動産価格×0.4% 以上が主な建て替えの費用一覧です。 なお、解体費用は約30坪の住宅であれば最低60~100万円以上かかることもあります。 併せて登記費用が約5万円、測量費用が約30万円、地盤費用が約30坪の住宅で約100万円かかります。 さらには引越費用や建築費用、税金などもかかるため、総じて約200万円前後の建て替え費用がかかる計算です。 それらに加えて新築住宅を建てる際のコストが上乗せされるため、最低でも3,000~4,000万円ほどの建て替え費用がかかる計算となります。 ただし、これらら坪数によっても異なるため、次の項目「坪数ごとの建て替えの費用相場」もご確認ください。 坪数ごとの建て替え費用相場 立て替えは数千万円単位でお金が必要となるわけですが、それらは坪数によっても大きく異なります。 原則として立て替えする坪数が広くなるほど高く、狭くなるほど安くなると覚えておきましょう。 以下、それぞれの坪数ごとの建て替え費用相場です。 ちなみに、ここでは一般的な家庭を想定するため、30~50坪の費用相場をまとめます。 30坪 約2,653万円 40坪 約3,537万円 50坪 約4,421万円 以上が坪数ごとの建て替え費用相場です。 なお、全国の平均立て替え費用相場は約3,392万円となります。 あくまでもこれらは相場に過ぎませんが、これから家の建て替えを計画している方は「おおよそ3,000万円かかる」と覚えておきましょう。 建て替え費用の注意点と対策 立て替えをする際には注意点と対策を知っておくと有効です。 ここからは建て替え費用の注意点と対策をまとめていくので、より賢く立て替えしたいという方は併せてご確認ください。 1.解体工事と新築工事はまとめて依頼する 立て替えの際、解体工事と新築工事を別々の業者に依頼してしまうこともあるかもしれません。 事実、解体工事は解体業者、新築工事は建築業者、それぞれのプロに依頼した方が良いと考えるのが普通です。 しかし、別々に契約して話を進めていくのは大変です。 そのため、解体工事と新築工事はまとめて依頼しましょう。 特に、工務店やハウスメーカーによってはどちらも請け負ってくれるところもあるので、依頼するならまとめて任せられるところがおすすめです。 2.地盤工事が必要となることがある 解体工事後には地盤工事が必要となることもあります。 地盤がゆるい場合は強化しなくてはなりませんし、埋設物がある場合は撤去してもらわなくてはなりません。 これらを依頼するとなるとさらに別途でコストがかかります。 何も問題ない場合は良いのですが、地盤工事が必要な場合もあるということを念頭に起きておきましょう。 3.優良住宅だと別途費用がかかる 人によっては老後のことを考えてバリアフリーを導入したり、環境のことを考えて省エネを導入したり、いわゆる優良住宅にする場合は別途費用がかかります。 育児や介護でバリアフリーにする世帯があるのはもちろん、省エネで節約しながら生活する世帯もあります。 これらは非常に先進的な生活で、飛びつきたくなるかもしれませんが、それらの設備や機材を取り入れるとなると、別途費用がかかることも忘れてはなりません。 4.完全分離型2世帯住宅は割高になる もし2世帯で住居空間を完全に分けている場合、工事にかかるコストが割高になるケースもあります。 特に完全分離型の住宅は設備や機材も2世帯分が必要となるため、その分割高になってしまうのです。そのため、2世帯の方はコストの概算も多めに設定しなくてはなりません。 5.支払いの順番に気をつける 立て替えをする場合、工事ごとに支払いが発生するわけですが、実はそれぞれの支払いごとに支払うタイミングが異なります。 たとえば、契約金は契約時に支払いますが、着工金は着工時、竣工金は竣工時にそれぞれ支払わなくてはなりません。 最後には最終金として引き渡し時にもお金がかかることもあります。それら支払いの順番にも気をつけておきましょう。 建て替え費用を抑えるポイント では、建て替え費用を抑えるにはどうすれば良いのでしょうか。 これらに関しては以下のポイントを押さえておきましょう。 見積もりは複数の業者に依頼する デザインや素材は慎重に厳選する シンプルな構造や間取りにする エクステリアにこだわらない タイミングを見計らう まずは見積もりを複数の業者に依頼しましょう。 それによって安い業者と高い業者が主観的にも客観的にも判断できます。 また、コストをより抑えたい場合はデザインや素材を慎重に選ぶことも大切ですし、シンプルな構造や間取りにすることも重要です。 もしベランダやバルコニー、ウッドデッキなどのエクステリアを設置する場合も、あまりこだわらないことが重要といえます。 それだけではなく、建て替えする際はタイミングを見計らうことも重要です。 建て替えはもちろん引っ越しなどには繁忙期と閑散期があり、どちらかというと繁忙期よりも閑散期の方が割安です。 そのため、より費用を抑えたいなら、あえてタイミングをずらしてみるのもおすすめといえるでしょう。 建て替えかリフォームか迷ったときはどう決める? もしも建て替えすべきかリフォーム・リノベーションすべきか迷った場合は、両者のメリット・デメリットを比較検討して決めるのが一番です。 以下に、それぞれのメリットとデメリットをまとめるので、ぜひ参考にしながらどちらにすべきか考えてみましょう。 建て替えのメリット・デメリット 建て替えのメリット ・間取りを自由に決められる ・最新の設備や機材を導入できる ・住宅ローンを組みやすい 建て替えのデメリット ・コストが高い ・工期が長い 建て替えは間取りを自由に決められて最新の設備や機材を導入できるため、生活をまったく新しいものにしたい方が選ぶべきです。 ただし、コストが高くなりがちで工期も長いため、その点を受け入れられるかどうかが判断基準となります。 リフォーム・リノベーションのメリット・デメリット リフォーム・リノベーションのメリット ・コストを安い ・工期が短い リフォーム・リノベーションのデメリット ・間取りを自由に決められない ・改修できる範囲が限られる ・追加補修が必要となる ・地盤の工事ができない リフォーム・リノベーションはコストが安くて工期が短いので、少しでも生活を良くしたいという方が選ぶべきです。 ただし、間取りは自由に決められないことが多く、改修できる範囲も限られてしまうので、その点は慎重に判断しましょう。 まとめ 家の建て替えにはいくらかかるのか、その費用相場は約3,000万円です。 しかし、これらは坪数によっても変動し、主に2,000~4,000万円が相場となってくるでしょう。 これらは新築住宅の取得とあまりコストも変わりません。 その一方、費用に関しては節約できる部分もあります。 逆にリフォームやリノベーションでも十分に住環境を改善できるので、その点は本当に建て替えが必要なのかどうかも考えながら判断していきましょう。 それがきっと理想のマイホーム作りにつながってくるはずです。 土地探しに不安がある、住宅資金に不安がある、家づくりをしたいが何から始めれば良いか分からないなど住宅についてのお悩みがある方は、以下より来場にてお気軽にご相談ください。
2021.12.28
財形貯蓄を1年以上行うことで利用できるのが、財形住宅融資とよばれる住宅ローンです。 財形住宅融資は一定条件さえ満たせば受けられる住宅ローンであり、勤労者財産形成促進法に基づいて会社や企業が導入している福利厚生の一種とされています。 しかし、その内容に関してはわからないという方も多いのではないでしょうか? そこで今回の記事ではそれら財形住宅融資がどのようなものなのかを詳しく解説します。 ここでは融資を受けるための条件はもちろん、銀行などの金融機関が提供する住宅ローンとの違いについても説明します。 併せて財形住宅融資のメリット・デメリットなどもわかりやすくまとめていくので、これから家を手に入れようと考えている方は、ぜひ最後までお読みください。 この記事を読めば、住宅ローンの選択肢が増えるだけでなく、財形住宅融資を有効活用できる可能性が高まるかもしれません。 目次 財形住宅融資とは? 財形住宅融資の申し込み条件 融資を受けられる土地・建物の条件 新築住宅建設 新築住宅購入 中古住宅購入 財形住宅融資の申し込み方法 銀行住宅ローンと財形住宅融資の違い 1.金利見直しの違い 2.融資の手数料の違い 財形住宅融資のメリットとデメリット 財形貯蓄をしているなら「財形持家転貸融資」の利用も まとめ 財形住宅融資とは? まずは財形住宅融資とはどのようなものなのか知る必要があります。 これは冒頭でも話した通り、財形貯蓄を1年以上行った上で一定条件を満たした方のみが契約できる住宅ローンとなっています。 簡単にいえば、貯蓄型の住宅ローンといえるでしょう。 これら財形住宅融資は勤労者財産形成促進法に基づき、会社や企業が導入している福利厚生の一種です。 そのため、住宅ローンの側面を持っているものの、福利厚生としての側面も持っている特殊な住宅ローンとなるわけです。 その特徴は金利にあり、財形住宅融資は返済開始から終了までの全期間、5年ごとに適用金利を見直す5年固定金利制が採用されています。 これらは個人での加入は原則として認められておらず、勤め先を通して加入しなければならないのも特徴となっています。 そのため、ある意味では勤め人として働く方に向けて提供されている住宅ローンともいえるでしょう。 ちなみに、財形貯蓄には主に以下の3つの種類があります。 一般財形貯蓄 財形年金貯蓄 財形住宅貯蓄 以上の3つの種類から選んで加入するかたちとなります。 ただし、いずれの財形貯蓄も所属する会社や企業が一定金額を天引きするのが特徴です。 それを金融機関に送金することで貯蓄していくというかたちとなります。 いわば半強制的に貯金できる方法、それを財形貯蓄といいます。 そして、それらを活用して契約するのが財形住宅融資となるわけです。 財形住宅融資の申し込み条件 では、どのようにして財形住宅融資を申し込むのでしょうか。 これに関しては条件を先に知ることが重要です。 財形住宅融資は主に以下の5つが条件となります。 自身で所有・居住するための住宅を建築・購入する方 次のすべてに該当する方 (1)各種財形貯蓄のうち1つでも1年以上継続している (2)申込日前の2年以内に財形貯蓄に預け入れている (3)申込日における財形貯蓄残高が50万円以上ある 勤務先から住宅についての特例措置や援助を受けられる方 申込日時点で70歳未満の方 返済負担率が30~35%以下の方 以上、5つの条件を満たして初めて財形住宅融資を受けられます。 そのため、これから財形住宅融資を申し込みたいという方は、自身が条件に適合しているのかを確認しなければなりません。 特に住宅ローンだけではなく、ほかにも自動車ローンや教育ローン、カードローンなどを利用している方は、合算で計算する返済負担率に注意しましょう。 仮に年収に対して返済負担率が30~35%を超えている場合、審査に落ちてしまいます。 年齢も70歳を過ぎると審査に落ちるので注意しましょう。 何より大前提として会社や企業に属していて、なおかつ財形貯蓄をしていることが条件となるため、その点も今一度確認しておきましょう。 融資を受けられる土地・建物の条件 ここからは融資を受けられる土地や建物の条件についても見ていきましょう。 財形住宅融資は新築なのか中古なのかでも変わるほか、建築なのか購入なのかでも変わるので、その点を重点的に確認しておいてください。 新築住宅建設 土地の条件 ・申込年度の2年前の年の4月1日以降に取得した土地 ・取得予定の土地 建物の条件 ・住宅部分の床面積70m2以上~280m2以下の建物 ・機構の定める技術基準に適合する建物 新築住宅購入 申込日前2年以内に完成または工事中の建物(未着工を含む) 機構の定める技術基準に適合する建物 一戸当たりの住宅部分の床面積が次の面積である建物 ⇒共同建て(専有面積):40m2以上280m2以下 ⇒一戸建て・連続建て・重ね建て:70m2以上280m2以下 申込日前に売主から契約者本人または第三者に所有権の登記がされていない建物で、申し込み後に契約者本人の所有になる建物(土地を含む) 現在までに人が居住したことのない建物 敷地の権利が所有権または借地権(地上権・賃借権)である建物 中古住宅購入 次のいずれかに当てはまる建物(新築後の経過年数は問わない) (1)適合証明書にて財形住宅のリユース住宅のタイプのいずれかに適合する建物 (2)フラット35に掲載されている「適合証明書が省略できる中古マンション」であることが適合証明省略に関する申出書により確認された建物 (3)リユースマンション適合確認書により要件に適合すると確認された建物 2つ以上の居住室(食事室を含む)ならびに台所、トイレおよび浴室がある住宅で店舗などとの併用でない建物 建築後2年を超えた建物(建築後2年以内の場合は現在までに人が住んだことのある建物) 申込日前に売主から申し込み本人に所有権の登記がなされていない建物で、申し込み後、申し込み本人の所有になる建物(土地を含む) 敷地の権利が所有権または借地権(地上権・賃借権)である建物 財形住宅融資の申し込み方法 前述の条件を満たしている方は、財形住宅融資の申し込みを行えます。 これら財形住宅融資は住宅金融支援機構への申し込みとなるため、銀行などの金融機関と勘違いしないよう注意しましょう。 なお、必要書類は郵送にて行えるものの以下の複数の書類が必要となるため、併せて確認しておきましょう。 財形住宅資金借入申告書 負担軽減措置などの証明書 財形貯蓄残高計算依頼書 財形住宅融資の金利に関する確認書 住宅金融機構の財形住宅融資商品概要説明書 以上の書類を封筒にまとめ、82円切手を貼って郵送すれば申し込みは完了です。 これらの必要書類に漏れがある場合、原則として財形住宅融資の申し込みはできません。 必ずすべてまとめて郵送するようにしましょう。 なお、これら財形住宅融資についてわからないことがある場合は住宅金融支援機構に相談することをおすすめします。 銀行住宅ローンと財形住宅融資の違い ここまで財形住宅融資について学んだ方の中には「銀行の住宅ローンとはどう違うの?」と疑問に思うこともあるかもしれません。 ここからはそうした疑問について回答します。 結論を先にいうと、金利を見直すという違いと手数料の違いがあります。 1.金利見直しの違い 財形住宅融資の金利は約0.7%と低金利に設定されています。 これが財形住宅融資最大の魅力といっても過言ではありません。 しかし、これら財形住宅融資の金利は5年固定金利制とされています。 つまり、金利が決定してから5年間は同じ金利となるというわけです。 逆にいえば5年ごとに金利が見直しされるため、現時点から金利が下がることもあれば上がることもあることを意味します。 たとえば、現状で0.7%の金利だったものが0.5%になることもあれば、1%になることもあるということです。 これは非常に極端な例なので参考にはなりませんが、財形住宅融資は金利の影響を受けやすいということです。 銀行が提供する住宅ローンも変動金利と固定金利が用意されており、変動金利の場合は常に金利が変わっていきます。 しかし、固定金利であれば完済まで金利が変わることはありません。 このように財形住宅融資と銀行の住宅ローンでは、金利の見直しがあるかどうかが大きな違いとなるわけです。 2.融資の手数料の違い 財形住宅融資は融資の際に手数料がかかりません。 それに加え、保証料なども必要ありません。 こちらも財形住宅融資最大の魅力といえるでしょう。 端的な話、財形住宅融資は無駄に手数料を取られることがないわけです。 通常、銀行などでは手数料がかかります。 それも数万円~数十万円単位でかかることもあり、それら手数料が経済的負担につながることも少なくありません。 また、それに加えて保証料なども必要となります。 これら手数料の有無という点も財形住宅融資と銀行の住宅ローンの大きな違いとなるでしょう。 財形住宅融資のメリットとデメリット ここまで財形住宅融資について知った方は良いところも悪いところもあると気づいているかもしれません。 ここではそれら財形住宅融資のメリットとデメリットをより明確にすべく、利点欠点の両者をまとめます。 財形住宅融資のメリット ・金利が低い ・手数料がかからない ・財形貯蓄残高の10倍まで融資を受けられる 財形住宅融資のデメリット ・最高4,000万円までしか借りられない ・団体信用生命保険料は自己負担となる ・金利見直しによるリスクがある 以上が財形住宅融資のメリットとデメリットとなります。 事実、財形住宅融資は金利が低く手数料がかからないというのが最大のメリットです。 また、財形貯蓄残高の10倍まで融資を受けられるのもメリットとなります。 その一方、財形住宅融資は最高4,000万円までしか借りられないのはもちろん、団体信用生命保険料などが自己負担となります。 それでいて金利見直しによるリスクにも注意しなければなりません。 特に財形住宅融資の金利見直しには上限が設定されていないため、金利が上がれば上がるほど経済的負担も大きくなります。 金利が下がれば下がるほどその恩恵も大きくなりますが、逆のパターンとなる可能性があることは忘れてはなりません。 財形貯蓄をしているなら「財形持家転貸融資」の利用も 本来、財形住宅融資は住宅金融支援機構から融資を受ける直接融資というかたちとなります。 しかし、実はもう1つ融資の方法があります。 それが財形持家転貸融資です。 これは勤め先の事業主などを通じてから融資を受けられる制度で、長期かつ低金利で受けることのできる財形住宅融資です。 これらは財形貯蓄を行っている勤労者がマイホームを取得する際、必要な資金を事業主から融資してもらえる制度です。 住宅の建築・購入だけでなく、リフォームやリノベーションなどの増改築にも活用できるため、活用方法によってはとても便利です。 融資限度額は財形貯蓄残高の10倍以内で最高4,000万円までとなるものの、住宅の建築・購入・増改築に要するコストの90%以内であれば活用可能です。 こちらも選択肢の1つとして加味しておくと財形住宅融資の幅も広がるでしょう。 まとめ 財形住宅融資とは住宅金融支援機構が提供している住宅ローンの一種です。 住宅ローンとはいわれるものの、銀行など金融機関のものとは異なり、財形貯蓄を原資として借り入れできるものとなっています。 そのため、会社や企業に務めている方であれば、銀行の住宅ローンを契約するよりも便利に活用できる可能性があります。 ただし、財形住宅融資にもメリットとデメリットが存在するため、この記事を何度も読み返しながら財形住宅融資を活用するかどうか検討してみましょう。 もしこれから家を手に入れる予定であれば、銀行などの金融機関はもちろん住宅金融支援機構などにも相談しながら判断していくことをおすすめします。 土地探しに不安がある、住宅資金に不安がある、家づくりをしたいが何から始めれば良いか分からないなど住宅についてのお悩みがある方は、以下より来場にてお気軽にご相談ください。
2021.12.28
住宅ローンは入念な返済計画を立て、金融機関の審査を乗り越えてこそ契約できるものです。 そのため、人生が順調であれば問題なく完済できるようになっています。 しかし、実際には努めている職場が倒産したり、自営業が立ち行かなくなったり、病気をしたり、怪我をしたり、人生にはハプニングもつきものです。 それゆえ、住宅ローンが払えなくなることも決して珍しいことではありません。 しかし、当然ながら住宅ローンが払えなくなるとリスクも大きく、最悪の場合はせっかく手に入れたマイホームを手放すことになってしまいます。 だからこそ、住宅ローンを払えなくなったらどうなってしまうのかを知っておく必要があります。 今回は現在進行形で住宅ローンを組んでいる人はもちろんこれから住宅ローンを借りる人にも向けて、住宅ローンを払えなくなった場合にどうすれば良いのかについて解説します。 ここでは特に、住宅ローンが払えなくなる原因や払えなくなる前の予防、払えなくなった際の対策などについて説明します。 この記事を読めば先の見えない将来に備えられるので、リスクを回避できるよう早目に手を打つことを心がけましょう。 目次 住宅ローンを払えなくなったらどうなる? 滞納状況別で見る債務者に起きること 住宅ローンを払えなかった場合のリスク 住宅ローンが払えない理由や原因 無理のある返済計画を立ててしまった場合 何らかの理由で収入が減ってしまった場合 病気や怪我によって働けなくなってしまった場合 住宅ローンが払えないときにやってはいけない注意点 住宅ローンを払えなくなったときの対処法 住宅を手放したくない場合 住宅を手放してもいい場合 住宅ローンを支払えなくなる前にすべきこと 1.家計の見直し 2.ローンの借り換え 3.保険や給付金の確認 4.金融機関への相談 まとめ 住宅ローンを払えなくなったらどうなる? 住宅ローンを払えなくなった場合、滞納状況によって債務者に起こることが変わってきます。 最初は問題なかったとしても、滞納を重ねていくうちに追い込まれ、最後には自分の家が競売にかけられてしまうこともあります。 まずは住宅ローンの返済を滞納した際、債務者にどのようなことが起こるのかを見ていきましょう。 滞納状況別で見る債務者に起きること まずは住宅ローンを滞納するとどのような流れで競売にかけられてしまうのかをご紹介します。 以下はそれらの流れを大まかに6つに分けてまとめたものです。 起こること1 住宅ローンを延滞する 起こること2 金融機関から債務者に督促状・催告書が届く(約3ヵ月) 起こること3 金融機関から保証会社へ一括返済請求される(約6ヵ月) 起こること4 保証会社から金融機関に対して残高が返済される 起こること5 保証会社が債務者に不動産競売の申し立てする 起こること6 競売にかけられる 以上からもわかるように、住宅ローンを滞納したからと言っていきなり競売にかけられるわけではありません。 しかし、住宅ローンを滞納することで金融機関から債務者に督促状・催告書が届き、保証会社へは一括返済請求が実行されます。 これらは約3~6ヵ月ほど滞納すると実行されるもので、さらに滞納を続けると取り返しのつかないことになります。 事実、滞納がずっと続いた場合、保証会社から金融機関に対して残高が返済されてしまいます。 こうなると保証会社も債務者に対して不動産競売の申し立てをしなくてはなりません。 その結果、物件が競売にかけられてしまうことになるのです。 その一方で競売までには猶予があるため、事態が深刻になる前に金融機関等へ相談することをおすすめします。 住宅ローンを払えなかった場合のリスク では、住宅ローンを払えなかった場合にはどのようなリスクがあるのでしょうか。 具体的には、以下のリスクがあります。 信用情報機関へ登録 全額一括返済の請求 対象物件の競売 損害金の発生 ▼信用情報機関へ登録 住宅ローンを払えなかった場合、信用情報機関へ登録されます。 これらはいわゆるブラックリストとよばれるもので、一度でも掲載されると債務者が滞納した記録が金融機関に共有されてしまいます。 その結果、クレジットカードを持てなくなったり、ほかのローンを組めなくなったり、さまざまな影響によるリスクが発生します。 ▼全額一括返済の請求 住宅ローンを払えない場合、保証会社が金融機関に対して残高の返済を行います。 一見するとそれで解決したように思えるかもしれませんが、事態は良くなるどころか悪くなる一方です。 実際に金融機関に返済をした保証会社は債務者に対し、残高の全額一括返済を請求します。 もちろんほとんどの方は全額一括返済などできるはずもなく、競売にかけられてしまうことになります。 ▼対象物件の競売 住宅ローンを払わないままでいると最終的には対象物件が競売にかけられてしまいます。 競売で住宅ローンの残高を補えれば良いのですが、実際には相場の約50~70%まで物件としての価値は下がってしまいます。 そのため、住宅ローンを完済できないという事態にも発展するわけです。 そうなれば家を手放した後も返済を続けなくてはならず、返済計画はおろか人生計画すらも頓挫する可能性が出てきてしまいます。 ▼損害金の発生 競売にかけられたとしても返済が続くことがあるのはもちろん、状況によっては損害金を支払わなくてはならない場合もあります。 これらは遅延したことに対する損害金とされ、返済日の翌日から遅延している元金に対して年14~14.6%ほどの利息がかかります。 遅延機関が長引くほど損害金も大きくなるため、住宅ローンが返済できない場合は一刻も早く金融機関に相談することが必須です。 住宅ローンが払えない理由や原因 住宅ローンを完済した人からすれば「延滞など言語道断」と思うかもしれませんが、人生は何があるかわかりません。 実際に住宅ローンが払えなくなる理由や原因も多数存在します。 以下はその代表的な例です。 無理のある返済計画を立ててしまった場合 何らかの理由で収入が減ってしまった場合 病気や怪我によって働けなくなってしまった場合 無理のある返済計画を立ててしまった場合 金融機関では適正な返済計画かどうか審査した上で、住宅ローンの融資を実行します。 しかし、人によっては返済負担率が適正ではなく、借入可能額の上限まで借りている場合もあります。 その場合、適正借入額を大幅に超えていて、返済に無理が生じることもあるわけです。 何らかの理由で収入が減ってしまった場合 勤め先の会社が倒産したり、勤め先の企業からリストラされたり、誰もが安定収入を継続して得られるとは限りません。 特に住宅ローンは10~35年など長い返済期間となるため、その間に収入が減ってしまう可能性もあります。 その場合、返済にも無理が出てくるわけです。 病気や怪我によって働けなくなってしまった場合 健康に気をつけていたとしても、長い人生では病気や怪我をすることもあるでしょう。 単に体を傷めて働けなくなることもあれば、心を病んで働けなくなることもあります。 そういった病気や怪我は予測不可能であり、住宅ローンの滞納にも直結してしまいます。 住宅ローンが払えないときにやってはいけない注意点 住宅ローンが払えなくなった際、ついやってしまいがちなこともあります。 以下、住宅ローンを滞納した際にやってはいけない注意点です。 金融機関に相談しない 新たな借り入れをする 踏み倒す・夜逃げする 住宅ローンが払えないにもかかわらず、金融機関に相談しない方や新たな借り入れをする方、踏み倒す方、夜逃げする方などが稀にいます。 しかし、住宅ローンの滞納は何もしなければ傷口も次第に広がっていきます。 そのため、金融機関だけではなく司法書士や弁護士、消費者団体に相談できる法テラスなどを活用するのがおすすめです。 住宅ローンに関するプロであれば、何かしらの突破口を見つけてくれます。 逆に新たな借り入れをしたり、踏み倒したり、夜逃げしたりするのは絶対に避けてください。 新たな借り入れは元本や利息が増えるだけで解決にはつながりませんし、踏み倒したり夜逃げしたりしても競売からは逃れられません。 そこは滞納を受け入れ、現状でできるベストな方法を模索すべきです。 住宅ローンを払えなくなったときの対処法 実際に住宅ローンを払えなくなった際にはどう対処するのが良いのでしょうか。 ここからは返済できなくなった場合にどう対処すべきなのかをまとめます。 特にここでは「住宅を手放したくない場合」と「住宅を手放してもいい場合」の2つの観点から見ていきましょう。 住宅を手放したくない場合 まず住宅を手放したくない場合はリースバックという方法をおすすめします。 リースバックは売却した自身の物件を賃貸として住み続ける方法です。 つまり、第三者に家を購入してもらい、家賃を支払いながら生活するという方法なのです。 リースバックなら引っ越しをする必要もありませんし、近所の人にも知られずに済むので安心です。 最終的には買い戻すこともできるので、一度、賃貸に切り替えて資金を貯蓄するのも1つの方法です。 また、親子間売買や親族間売買も活用可能です。 この方法なら親子間や親戚間で売買でき、身内に引き渡すことで継続して住めます。 そのため、もし身内がいるのなら家族間で売買できないか検討してみましょう。 ただし、これらの売買は融資してくれる金融機関は少なく、家族間でのトラブルにもつながりやすいです。その点も加味して検討すべきです。 そのほか、個人再生という方法もあります。 個人再生の手続きには債務者が家を手放さずに済むよう、住宅ローン特則が設けられています。 こちらを利用すれば住宅ローンを支払うことを条件として、物件を手放さずに済むのです。 ただ、個人再生には条件もいくつかあるため、金融機関ごとに確認が必要です。 住宅を手放してもいい場合 もし住宅を手放してもいい場合は任意売却という方法があります。 本来、住宅ローンを滞納し続けると競売にかけられてしまうのですが、その前に自身にて任意売却するという選択肢です。 任意売却であれば市場価格に近い価格で売却できることが多く、滞納などの事情も知られずに手放せます。 それだけではなく、持ち出し金も一切なく、早目に対処することで住宅ローンの残高も少なくなる可能性すら出てきます。 さらには無理のない範囲で分割返済ができますし、何より自分の意思で手放せるわけです。 住宅ローンを支払えなくなる前にすべきこと 本来、住宅ローンは完済することが前提です。 そのため、返済が滞りそうになる前に最善を尽くすことが重要です。 以下に、住宅ローンを支払えなくなる前にやっておくべきことを簡単にまとめます。 1.家計の見直し 住宅ローンは予測不可能な事態に巻き込まれて返済不能となる場合もあります。 しかし、毎日の生活そのものに無理があり、浪費をしている可能性も否めません。 そのため、まずは収入と支出のバランスが適正かどうかを見直してみましょう。 2.ローンの借り換え 住宅ローンは固定金利や変動金利などの利息があるわけですが、これらが高い時期に契約をしてしまった場合は経済的負担も大きいです。 そのため、安い利息の住宅ローンに借り換えるという方法もあります。 この方法だと手数料などの諸費用がかかるものの、返済総額を減らせる可能性があります。 ▼住宅ローンを借り換えた場合の効果とシミュレーション 仮に元利均等返済で30年、金利3%で3,000万円借り入れている場合、月々の返済額は約12万6,481円となります。 しかし、金利を1.2%のものに借り換えた場合、月々の返済額は約9万9,272円となります。このように住宅ローンの借り換えはかなり有効です。 3.保険や給付金の確認 返済が難しくなりそうな場合は保険や給付金が受け取れないかどうか確認することも大切です。 たとえば、住宅ローン契約時に加入する団体信用生命保険などは万が一の理由で高度障害となったり死亡したりした場合、住宅ローンの返済を肩代わりしてくれます。 利用できる保険や給付金は最大限に活用しましょう。 4.金融機関への相談 最終的にどうしても支払いが困難ということなら金融機関への相談が必須です。 金融機関によっては返済計画の変更に対応してくれることもあるため、生活が苦しくなってきた場合は自身が契約している金融機関に事情を相談するのもおすすめです。 ▼住宅ローンの支払い計画を変更した場合の効果とシミュレーション 仮に元利均等返済で30年、金利1%で3,000万円借り入れる場合、月々の返済額は約9万6,491円となります。 しかし、期間を35年に変更した場合、月々の返済額は約8万4,685円となります。 このように金融機関に相談して返済計画を変更するのも有効です。 まとめ 住宅ローンを払えなくなった際、最悪の場合は夢のマイホームが競売にかけられてしまいます。 いきなり競売にかけられるということはありませんが、約3~6ヵ月ほど滞納すると最悪の事態に陥ってしまう可能性があります。 そのため、もし住宅ローンが困難となった場合は、まず金融機関に相談しましょう。 ただし、住宅を手放しても構わないのか手放したくないのかによって対処が変わるため、自分がどうしたいのかを考える必要があります。 金融機関だけではなく法テラスを通して専門家にも相談するなど、何かしらの解決につながらないか考えてみることが大事です。 土地探しに不安がある、住宅資金に不安がある、家づくりをしたいが何から始めれば良いか分からないなど住宅についてのお悩みがある方は、以下より来場にてお気軽にご相談ください。
2021.12.28
住宅ローンは安定性や継続性が審査されるため、転職直後だと「契約できないのではないか」と不安になっている方も多いかもしれません。 転職直後は収入も安定していないことがあるだけでなく、継続して稼げるかどうかも不透明です。 そのため、金融機関としても慎重にならざるを得ません。 しかし、結論を先にいうと、転職直後でも金融機関が適正だと判断した場合は住宅ローンを組めます。 実際に、転職直後に住宅ローンを借り、返済を続けているという方も少なくありません。 今回は、転職直後の住宅ローン事情について解説します。 この記事を読めば、たとえ転職したとしても住宅ローンを活用できるようになるため、迷っている方は最後まで一度お読みいただけると幸いです。 目次 転職直後は住宅ローンが組めない? 住宅ローンの審査項目 住宅ローンの申込は転職の前と後、どちらにすべき? 転職後の住宅ローン契約で注意するポイントは? 1.年収の計算に注意 2.年収の変動に注意 審査落ちした場合の対処法 1.前職と合算できないか相談 2.条件がゆるい借り入れ方法を利用 3.仕事が落ち着くまで待機 住宅ローン返済中に転職をするときの注意点 1.住宅ローン控除の申請方法が変わることに注意 2.金融機関に対する転職の報告に注意 3.年収の上下に注意 住宅ローンの申し込みは転職後何ヵ月目が目安? まとめ 転職直後は住宅ローンが組めない? 転職直後というのは一般的に見て生活基盤が構築できておらず、まだまだ見通しが立たないと考えられがちです。 それは金融機関から見ても同じです。 むしろ金融機関は返済能力のある方にのみ融資を行うのが原則なので、転職直後だとどうしても審査が厳しくなることは否めません。 しかし、だからといって住宅ローンが組めないわけではありません。 実際に、転職直後でも住宅ローンを借り、返済ができている方もいます。 その一方、金融機関によっては審査に落ちることもあるということは覚悟しておかなくてはなりません。 もちろん、その際も予防や対策はあるので、詳しくは後の項目「審査落ちした場合の対処法」をご覧ください。 住宅ローンの審査項目 まずは住宅ローンでどのような審査項目が設定されているのか見ていきましょう。 これに関しては金融機関ごとに異なるのですが、主に以下の8つが主要な審査項目とされます。 完済時年齢 借入時年齢 健康状態 担保評価 融資可能額 年収 連帯保証 勤続年数 以上、8つの審査項目はどの金融機関も重視する場合が多く、これらの審査項目に引っかかると審査落ちしてしまう可能性が高まります。 逆にこれらの審査項目をクリアできさえすれば、審査も通りやすくなるわけです。 なかでも特に、完済時年齢と借入時年齢は返済計画に直結するほか、健康状態や担保評価も返済計画に関連してきます。 これらの審査項目は実に金融機関の約80~90%以上が考慮していると考えられており、契約者本人の返済能力をシビアに判断される傾向にあります。 それに加えて転職時はさらに年収の安定性や継続性、連帯保証、勤続年数なども審査されます。 そのため、今後、転職と住宅の取得の両方を考えているのなら、住宅ローンの審査項目についてもクリアできるよう準備を進めなくてはなりません。 住宅ローンの申込は転職の前と後、どちらにすべき? では、住宅ローンの申し込みは転職の前と後、どちらにすべきなのでしょうか。 これに関しては結論を先にいうと、転職の後に申し込むのが望ましいです。 なぜなら転職前は年収が確定していないため、今後年収が上がる望みがあったとしても実際の収入より低い金額で審査されてしまうことになるからです。 逆に転職前は年収が下がることも想定しなくてはならないため、そうなってくると返済計画自体にも無理が生じる可能性があります。 だからこそ、住宅ローンの申し込みは転職の後が最適です。 転職した後であれば年収が確定しており、それらの収入を見て審査を受けられます。 これによって借入可能額なども決定するため、返済計画も立てやすくなります。 特に、適用金利や返済総額、借入期間などは入念に検討しなくてはならないため、年収が確定してから申し込んだ方が安全です。 なかには事前審査中に転職することもあるかもしれませんが、その場合は提出書類を再提出しなければならないこともあります。 そのため、やはり転職してから住宅ローンを申し込んだ方が諸々の手続きも楽といえるでしょう。 逆に転職の前に住宅ローンを申し込むと、再審査や違約金が発生するリスクもあります。 これらは多大な手間と面倒がかかるので、極力、転職の後に申し込みましょう。 転職後の住宅ローン契約で注意するポイントは? ここからは転職後の住宅ローン契約で注意しておきたいポイントをまとめます。 気になる注意点を1つずつまとめていくので、転職後に住宅ローン契約する方はこちらも併せてご確認ください。 1.年収の計算に注意 転職後に年収が確定しているのなら、そちらの収入を軸に審査が進められるのですが、金融機関によっては年収が確定していない場合は、見込み額で計算することもあります。 仮にフラット35だと最低1ヵ月分の収入を軸に計算されるため、月収が20万円だった場合はその12ヵ月分で年収240万円とみなされるわけです。 これらは月収30万円であれば年収360万円、月収40万円であれば年収480万円という計算となります。 これらはボーナスなど、計算対象期間外にあるものは見込み額に含まれません。 そのため、実際の年収よりも見込み額が低くなることもあるわけです。 その場合は借入可能額も減ってしまうので、より注意が必要となります。 2.年収の変動に注意 転職後は必ずしも年収が上がるとは限りません。 変わらないかもしれないし、逆に減るかもしれません。 この年収の変動の何が怖いのかというと、返済負担率が変わってしまうことにあります。 本来、住宅ローンは返済負担率というものが設定されており、年収400万円を境に30~35%までが借り入れできる計算となります。 これは年収400万円を超える方であれば返済負担率も35%まで借り入れできるのですが、年収400万円未満の方だと返済負担率が30%までとなります。 これが何を意味するのかというと、単に融資してもらえる金額が上下することを指します。 もちろん、無理のない返済計画を立てるならそもそも返済負担率は20~25%ほどまで落とすべきなので、そこまで上限ギリギリで住宅ローンを借りる人は稀でしょう。 しかし、より良い土地や建物を手に入れようと思ったら、それら返済負担率が変わるだけで選択肢も変わってきます。 だからこそ、年収の変動にも注意が必要となるわけです。 審査落ちした場合の対処法 転職直後は金融機関もシビアになる傾向が強いため、審査落ちしてしまうこともあります。 しかし、だからといって諦める必要はありません。 もし審査落ちしたなら、以下でまとめる対処法を実践してみましょう。 1.前職と合算できないか相談 住宅ローンの審査項目は無数にありますが、金融機関の中には勤続年数などから本人の安定性や継続性を判断するところもあります。 仮に数週間や数ヵ月で転職を繰り返すような人であれば、さすがに金融機関も融資を渋る可能性があります。 しかし、審査落ちしてしまった際はその一部だけを見られてしまっている可能性もあるわけです。 たとえば、転職したばかりの方は勤続年数も数週間数ヵ月だと判断されてしまいます。 しかし、仮に前職で数年数十年と務めていたということなら、その素質も加味されるべきです。 だからこそ、金融機関に前職の勤続年数を合算できないか相談してみるのがおすすめです。 これらはすべてが通るわけではありませんが、同業種への転職であれば年収が上がるかもしれませんし、知識や技術が上がることもあるでしょう。 その点も判断してもらえれば、再審査で通る可能性が高くなります。 特に、役職に就いていた方もしくは今後役職に就く予定の方は前職と合算して、さらに審査に通りやすくなる可能性もあります。 2.条件がゆるい借り入れ方法を利用 住宅ローンは借り入れ方法も無数にあります。 借り入れ方法によっては条件がゆるいものもあります。 たとえば、フラット35などの借り入れ方法であれば、勤続年数などの審査項目がありません。 そのため、転職直後であっても年収の見込み額などだけで判断してくれます。 ほかにも金融機関ごとの借り入れ方法によっては勤続年数が1年に満たなくても融資してくれる場合があります。 これらはフラット35のほか、金融機関によっても審査項目が異なるので、一度落ちた場合は他の金融機関に申し込むのもおすすめです。 3.仕事が落ち着くまで待機 住宅ローンは本人に返済能力があると認められない限り、審査落ちすることがあります。 そのため、あえて転職直後ではなく転職してから1~3年ほど経ってから申し込むという方法もあります。 それなら年収が確定しているほか、勤続年数などの条件もクリアしやすいです。 今すぐに家が欲しいという方には向いていませんが、仕事が落ち着くまでは待機するのも1つの方法です。 その間に頭金を貯金するなど、住宅ローンの融資額自体を減らすことでさらに審査にも通りやすくなります。 時間を有効に活用して、審査に通りやすい状況を作っていきましょう。 住宅ローン返済中に転職をするときの注意点 ここまでは転職直後に住宅ローンを契約することについてまとめてきました。 しかし、逆に住宅ローンをすでに組んでいる状態で転職する際はどうすれば良いのでしょうか。 ここからは住宅ローン返済中に転職する際の注意点をまとめます。 1.住宅ローン控除の申請方法が変わることに注意 仮に住宅ローン控除を適用している状態で転職した場合、転職の時期によっては住宅ローン控除の申請方法が変わってしまいます。 たとえば、退職した年内に転職した場合は転職先の年末調整によって住宅ローン控除を受けられます。 しかし、退職した翌年に転職した場合は年末時点でどの組織にも属していないと判断されるわけです。 その場合、住宅ローン控除の手続きは自身にて確定申告しなければならないので、余計な手続きが増えてしまいます。 その点は注意しましょう。 2.金融機関に対する転職の報告に注意 住宅ローンの返済中に転職した場合、返済計画にも影響が出る場合があります。 そのため、転職した場合は速やかに契約している金融機関に報告しなければなりません。 これは契約者本人だけではなく転職先も住宅ローン契約における届出事項となるため、転職が決まった時点で伝えておく必要があると覚えておきましょう。 3.年収の上下に注意 転職によって年収が上がる場合は良いのですが、下がる場合は要注意です。 なぜなら返済計画は前職の年収を軸に計算しているものなので、年収が下がった場合は返済に無理が生じる可能性が出てきます。 逆に年収が上がった場合は返済に余裕が出てくるので、そちらも併せて返済計画の変更を試みることが重要です。 住宅ローンの申し込みは転職後何ヵ月目が目安? 最後に住宅ローンの申し込みは転職後何ヵ月目が目安となるのかを確認しておきましょう。 これに関しては結論をいうと転職して数ヵ月後が目安となります。 転職直後は年収が確定していないため、実際の年収よりも低い年収で審査されてしまう場合があります。 その一方、年収見込証明書があれば、そちらの情報を参考にして審査が進められるのです。 あくまでも金融機関によって必要となる書類は異なりますが、年収見込証明書を手に入れてから住宅ローンに申し込むのが最適です。 より確実に審査に通りたいということなら、転職後1年続けて働き、その後に住宅ローンの審査を受けるのが確実です。 金融機関ごとにも異なるため、まずは契約しようと考えている金融機関に相談してみましょう。 まとめ 転職直後でも住宅ローンは借りられるのかどうか、その結論は「借りられる場合もあるが審査に落ちる場合もある」となります。 転職直後は年収も不確実なため、金融機関も厳正な審査ができません。 そのため、もしどうしても転職後に住宅ローンを申し込みたいのなら、前職の年収から見込み額を計算してもらったり、転職先の1ヵ月分の月収から見込み額を計算してもらったりするのがおすすめです。 ただし、それでも審査に落ちる場合もあるので、その際は諦めずに他の金融機関にも相談してみましょう。 金融機関によっては前職と合算して考えてくれるところもあるため、諦めずに申し込めば審査に通る可能性もゼロではありません。 土地探しに不安がある、住宅資金に不安がある、家づくりをしたいが何から始めれば良いか分からないなど住宅についてのお悩みがある方は、以下より来場にてお気軽にご相談ください。
2021.11.30
住宅購入をする際に多くの方が住宅ローンを利用されます。 しかし、住宅ローンは必ず使わなければならないというわけではなく、戸建てを現金一括で買うことにもメリットはいくつかあります。 ただし、実際にはデメリットもあるため、必ずしも「現金一括でマイホームを手に入れるべきだ」とは断言できません。 実際にローンを組まないことで得られる利点もあるものの、欠点も忘れてはなりません。 今回の記事ではこれから家を購入する方に向けて、一括購入のメリット・デメリットの観点から解説します。 なかには現金一括で取得できる余裕があったとしても住宅ローンを組んだ方がお得な場合もあるため、専門家などとも相談しながら慎重に判断していきましょう。 目次 住宅ローン利用時にはこれだけお金がかかる 現金一括購入のメリット 1.購入から入居までが早い 2.住宅ローンの審査がない 3.数百万円の金利が不要に 4.肉体的にも精神的にも楽になる 5.カーローンなどのほかの融資を組みやすくなる 現金一括購入のデメリット・注意点 1.住宅ローン控除を受けられない 2.給付金や補助金を受けられない 3.手持ちの資金がなくなる 4.税務調査が入ることがある 5.保険への加入を忘れることがある 住宅ローン利用時のシミュレーション 住宅ローン減税によるメリットの低下も まとめ 住宅ローン利用時にはこれだけお金がかかる まずは住宅ローン利用時にかかるお金について知っておきましょう。 住宅ローン利用時には、金利だけではなく諸経費もかかります。 諸費用は利用する住宅ローンによっても変わるため、自身の条件に合わせて諸経費を計算する必要があります。 ここでは仮に3,000万円の住宅ローンを組んだ場合にどれくらいのお金がかかるのかを紹介します。 まずは以下の諸経費一覧をご覧ください。 住宅ローンの融資:数千万円 住宅ローンの金利:数百万円 ローン保証料:状況次第 事務手数料:約3~5万円 登記手数料:約3~5万円 融資手数料:約3~5万円 仲介手数料:状況次第 火災保険料:約15~40万円 地震保険料:約1~3万円(保険金額1,000万円当たり) 団体信用生命保険料:約10~12万円 登録免許税:約3~5万円 印紙代:約2万円 以上で挙げた住宅ローン利用時のお金はあくまでも一例となるのですが、諸経費だけでも数10万円~100万円近くかかる場合があります。 住宅ローンを利用すれば金利分もお金が必要となりますし条件次第でさらにお金がかさむこともあります。 単に現金一括購入とはいっても土地と建物の代金を用意すれば良いということでもありません。 余裕のある資金計画を立てておく必要があります。 現金一括購入のメリット 現金一括で購入する際はメリットもいくつかあります。 ここからは現金一括購入のメリットを1つずつまとめるので、ぜひ参考になさってください。 1.購入から入居までが早い 現金一括購入の場合、面倒で手間のかかる手続きを削減できます。 契約の段階で必要となる手続きがあるのですべて省略できるわけではありませんが、それでも現金一括購入なら購入から入居までが早いです。 そのため、すぐにでも新生活を始めたい方に最適です。 2.住宅ローンの審査がない 現金一括購入なら住宅ローンを借りる必要がないため、審査も受けずに済みます。 住宅ローンを借りるためには審査に通らなくてはならず、なかには適正ではないと判断されて審査に落とされることもあります。 現金一括購入ならそれら煩わしい審査も必要ありません。 3.数百万円の金利が不要に 現金一括購入であれば住宅ローンはもちろん金利もかかりません。 住宅ローンを借りるとなると融資だけで数千万円かかり、そこに金利が数百万円ほど上乗せされます。 現金一括購入で取得すればそもそもそれら住宅ローンを組む必要もないため、金利を払う必要もありません。 つまり、それは経済的な負担が減ることを意味します。 また、契約の際にかかる諸経費も最小限に抑えられます。 4.肉体的にも精神的にも楽になる 多額の住宅ローンを抱えながら生活するのは決して楽ではありません。 毎月の返済が数年数十年と続くため、人によっては「病気や怪我で働けなくなったらどうしよう」と不安になる方も少なくありません。 それらが心配で肉体的にも精神的にも気が休まらない方もいるくらいです。 しかし、現金一括購入しておけば少なくとも路頭に迷うことはありません。 その最後のセーフティゾーンを守れるだけで、体も心も楽になります。これは現金一括購入の大きな魅力といえるでしょう。 5.カーローンなどのほかの融資を組みやすくなる 融資を受ける際、返済負担率というものが設定されています。 これは本人の年収を基準に定められているもので、原則として年収に対して30~35%を超える融資は受けられないようになっています。 住宅ローンを組むと、返済負担率をかなり圧迫してしまうため、ほかの融資を受けようと思った際に足枷となることもあるわけです。 しかし、現金一括購入しておけば、そもそも住宅ローンの返済がないため、カーローンなどの審査に通りやすくなります。 家のほかに何か大きな買い物をしようと考えている方は、そういった点でも現金一括購入の恩恵を受けられるのではないでしょうか。 現金一括購入のデメリット・注意点 現金一括で購入する際はデメリットも忘れてはなりません。 ここからは現金一括購入のデメリットを注意点と併せてまとめるので、ぜひ参考になさってください。 1.住宅ローン控除を受けられない 現金一括購入は住宅ローンを組まないため、住宅ローン控除を受けられません。 住宅ローン控除は住宅ローン残高に応じて1%までを所得税や住民税から控除できる制度です。 年間40万円前と定められているものの、住宅ローン控除は10年間(一定条件を満たした場合13年間)適用されますので、満額まで控除できれば相当な節税効果を生みます。 しかし、現金一括購入であればそれら住宅ローン控除の恩恵を丸ごと手放すことになってしまいます。 住宅ローン控除についての詳細はこちら 2.給付金や補助金を受けられない 現金一括購入を行うと国や自治体の給付金や補助金を受けられなくなる可能性があります。 たとえば、消費税引き上げ分の負担を減らす目的で実施された「すまい給付金」などが受けられなくなることがあります。 それら補助金が受けられないのも痛手です。 3.手持ちの資金がなくなる 現金一括購入は長い目で見るとお金にも余裕が生まれやすくなるわけですが、短い目で見るとお金に余裕が亡くなるかもしれません。 苦労して貯めた貯金をすべてマイホームの購入資金に充てた場合、貯金が付きてしまったという状況にもなりかねません。 そうなると当面の生活で苦労することも増えます。 あくまでも現金一括購入は余裕のある方が行うべきものであり、余裕がない方が行うと生活破綻のリスクが潜んでいるわけです。 4.税務調査が入ることがある 税務署は不穏なお金の動きに目を光らせています。 そのため、現金一括購入をすると税務署から連絡や「お買いになった資産の買い入れ価格などについてのお尋ね」という文書が送られてくることもあります。 ほとんどは相続や贈与の有無などを確認するための連絡なのですが、場合によっては不正な資金が使用されていないかどうかの税務調査が入ることもあるわけです。 そのため、資金の流れがわかる書類などをあらかじめ管理しておくことをおすすめします。 5.保険への加入を忘れることがある 住宅ローンを組む際は保険への加入が条件となっていることも多いですが、現金一括購入の場合は任意となります。 そのため、火災保険や地震保険などに加入し忘れてしまう方もいます。 保険は必要なければ加入する必要もありませんが、火災保険や地震保険は最低でも加入しておくべき保険といえるでしょう。 特に、現金一括購入だと忘れがちなので、注意してください。 住宅ローン利用時のシミュレーション 住宅ローン利用時にはどれくらいのお金がかかるのでしょうか。 ここからは3,000万円の住宅ローンを頭金200万円、返済期間35年、固定金利1.5%、元利均等返済で組んだと仮定してシミュレーションを紹介します。 なお、この場合は頭金を差し引いた2,800万円の融資を受けることになるわけですが、その際の諸費用は約100万円かかることを前提とします。 詳しい諸経費は前述の項目「住宅ローン利用時にはこれだけお金がかかる」をご参照ください。 今回の一例で考えると、完済までの総返済額は約3,600万円となります。 そこに諸経費の約100万円が追加されるため、合計で約3,700万円かかることになります。 もしも、仮に現金一括購入をしていた場合は3,000万円だけで済むので、その差額700万円を無駄に支払うこととなります。 そのため、マイホームの購入資金を準備できるということなら、一括で支払ってしまった方が楽ではあります。 しかし、住宅ローン控除を10年間適用すれば、差額700万円のところ約400~500万円まで圧縮可能です。 より頭金を多く用意できれば金利も抑えられる住宅ローンもいくつかあるため、条件次第では現金一括購入とさほど差が大きくならない場合もあります。 現金一括購入の方が経済的に楽になるのは事実ですが、人によっては住宅ローンという選択肢もありです。 住宅ローン減税によるメリットの低下も 住宅ローンはすべての負担をそのまま背負わなくてはならないわけではありません。 事実、公式な制度として住宅ローン減税とよばれるものも用意されています。 これは前述の住宅ローン控除と同じものであり、年間40万円の控除、10年間で400万円の控除を受けられる制度となっています。 むしろ住宅ローン控除を満額で受けられるのなら、現金一括購入をすることで逆にその恩恵を受けられなくなる可能性もあるので注意しましょう。 年間40万円の控除は所得税や住民税から差し引かれるため、それだけでも大きな節税効果となります。 それを10年継続すれば400万円の控除が所得税や住民税から差し引かれるわけです。 これらのメリットは現金一括購入では受けられません。 むしろ住宅ローン減税だけで見ると現金一括購入することがデメリットに繋がる場合もあるわけです。 住宅ローン減税を受けることが前提なら、現金一括購入に慎重になるべきです。 もし、これら税金の計算がわからないという場合は、税理士などのプロにも相談しながら決めることをおすすめします。 まとめ 戸建てを現金一括で買うメリットは十二分にあります。 購入から入居まで早いのはもちろん、住宅ローンの審査もなく経済的負担も少なくなります。 家の現金一括購入では住宅ローンを借りずに済むため、肉体的にも精神的にも楽なだけでなく他の融資も受けやすくなるのが強みです。 ただし、現金一括購入することで住宅ローン控除を受けられず、助成金や補助金も受けられないなどのデメリットもあります。 また、手持ちの資金が少なくなったり、税務調査が入ったりする可能瀬もあります。 それだけでなく保険への加入を忘れることもあるので、その点は十分に注意してどちらの選択肢を選ぶか考えてみましょう。 土地探しに不安がある、住宅資金に不安がある、家づくりをしたいが何から始めれば良いか分からないなど住宅についてのお悩みがある方は、以下より来場にてお気軽にご相談ください。